再生可能エネルギーは、カーボンニュートラルの実現に欠かせない資源であり、その資源量の確保が脱炭素化の行く末を決めることになります。
本記事では、そんな脱炭素の達成要件ともいえる、再生可能エネルギーの発電量について解説していきます。
脱炭素が達成されると再エネだけで供給が必要
脱炭素が達成されたときに、私たちの社会や事業活動は再生可能エネルギーだけで回していかなければなりません。
現状、世界的に主流となっている再生可能エネルギー資源には、風力発電や太陽光発電があげられます。
日本は広大な荒野や砂漠地帯がないため、大規模な風力発電や太陽光発電施設を展開するのに適していません。
その一方でバイオマスや地熱資源は豊富なため、それらを活用したバイオマス発電や地熱発電に適しているという特徴があります。
後ほど詳しく触れますが、日本では供給可能な再生可能エネルギー量は「3兆メガジュール程度」という試算があります。
これは、国内で供給されているエネルギー量である13兆メガジュールの4分の1程度の量しかありません。
つまり再生可能エネルギーだけで社会を回していくためには、再生可能エネルギーの技術進化や新しいエネルギーの開発が必須条件となってくるのです。
再生可能エネルギーの技術進化とトレンド
再生可能エネルギーの技術や、新エネルギーの開発は世界中で日々進んでいます。
日本において期待されている「新しい再生可能エネルギー」についてご紹介します。
洋上風力発電
洋上風力発電とは、海の上に風車を設置し、洋上の風を利用して風力発電を行う技術です。
現在、商業的に活用されている風力発電施設は、沿岸部や山岳部の風通しが良い陸上に風車を設置していることが主流です。
しかし、陸上よりも洋上のほうが一般的に風は強く安定的です。
また、陸上より洋上の方が、設置場所が生活エリアから離れることになり、騒音や景観問題が少ないというメリットもあります。
このような背景から、近年洋上風力発電の開発に世界各国が注力しています。
洋上風力発電には、海底に杭などの基礎構造物を設置しその上に風車を乗せる「着床式」と、浮体の上に風車を乗せて発電する「浮体式」の2つのタイプがあり、コストの面から「着床式」の開発が先行して進んでいます。
海流発電
海流発電は、黒潮などの日本の外洋を流れる大きな水の流れを利用し、海中に設置した水車を回して発電する技術です。
海流は、昼夜問わず活用できる点が太陽光より優れており、また季節による流れの速さや向きの変動が少ない点は季節変動の影響を大きく受ける風力より優れています。
そのため、これまでの再生可能エネルギーと比較しても、年間を通じて安定的で大きな発電量が期待できると考えられています。
領土の四方を海に囲まれた日本にとって、これらの海を活用する新しい再生可能エネルギーは、将来の日本のエネルギーを担う事になりえる有望な技術として期待されています。
再エネの合計供給量はどれくらいあるのか
再生可能エネルギーの開発に各国が国を挙げて取り組んでいる理由は、現状の技術でまかなえる再生可能エネルギー量では、経済や事業活動を回すことが不可能だからです。
それでは、現状日本国内には、再生可能エネルギーはどの程度あるのでしょうか?
現在、国内で供給可能な再生可能エネルギー量は3兆メガジュール程度という試算があります。
これは、現状国内で供給されているエネルギー量である13兆メガジュールの4分の1程度の量しかありません。
国内の少子化の影響を考慮し、2050年頃の国内人口を9000万人と仮定しても、9兆メガジュール程度のエネルギーは必要とされています。
現状の再生可能エネルギーでは3分の1程度しかまかなえない計算になります。
つまり、将来的に脱炭素を実現するためには、今の3倍の量の再生可能エネルギーを確保する技術を開発しなければならないのです。
「国内で供給可能な再生可能エネルギー量」
水力 | 4500億メガジュール |
風力 | 2500億メガジュール |
太陽光 | 6000億メガジュール |
地熱 | 6000億メガジュール |
バイオマス | 7500億メガジュール |
藻類 | 3500億メガジュール |
合計 | 3兆メガジュール |
まとめ
ここまで「再生可能エネルギーの発電量」について解説してきました。
現状のままでは、脱炭素の実現は難しいです。
脱炭素を実現するには、新しい再生可能エネルギーの開発が大きな鍵を握ります。
ニーズがある技術は、開発に人やお金が集まります。
一人一人の意識を再生可能エネルギーに向けることが、新しい再生可能エネルギーの開発にはとても重要なことです。
著者のプロフィール
- タンソーマンプロジェクト発起人であり、タンソチェック開発を行うmedidas株式会社の代表。タンソーマンメディアでは、総編集長を務め、記事も執筆を行う。