補助金・助成金

SHIFT事業のセミナー・説明会の活かし方と申請前の準備ポイント

直樹細田・

この記事は2026年10月時点の情報です。環境省のSHIFT事業は、令和8年度(2026年度)は「脱炭素技術等による工場・事業場の省CO2化加速事業(SHIFT事業)」として実施されています。令和8年度の公募は6月12日に始まり、9月11日に始まった追加公募(省CO2型システムへの改修支援事業の三次公募、DX型CO2削減対策実行支援事業の二次公募)も2026年10月15日正午に締め切られました。執行団体は一般社団法人温室効果ガス審査協会です。

本記事では、環境省のセミナーや執行団体の公募説明会、公開されている説明資料・説明動画をどのように活用すればよいか、また申請前にどのような準備(CO2排出量の把握、CO2削減計画、支援機関による診断)が必要かを、公式資料に基づいて解説します。SHIFT事業の制度全体の概要や脱炭素化の進め方は、関連記事もあわせてご覧ください。

元記事で紹介したセミナーについて

本記事の初版(2024年1月)では、2023年1月に開催された「SHIFT事業セミナー」の講演資料などを紹介していました。これらのセミナーはすでに終了しています。その後も環境省は「工場・事業場における脱炭素セミナー」を開催しており、令和7年度のセミナーは2026年1月29日に開催され、資料と動画が2026年3月15日に公開されています。過去の講演資料は、SHIFT事業ウェブサイトの「セミナー講演資料・過年度資料」のページでまとめて閲覧できます。

令和8年度SHIFT事業の要点

セミナーや説明資料を読む前提として、令和8年度の事業区分と公募スケジュールを整理します。

事業区分 補助率 補助上限 事業期間
省CO2型システムへの改修支援事業 1/3 CO2排出削減量が4,000t-CO2/年未満は1億円、4,000t-CO2/年以上は5億円 3カ年以内
DX型CO2削減対策実行支援事業 3/4 200万円 2カ年以内
公募 期間・締切
初回公募 2026年6月12日開始。改修支援事業は一次公募7月15日、二次公募8月26日(いずれも12時)締切。DX型は8月26日12時締切
追加公募 2026年9月11日開始。改修支援事業(三次公募)は第1回10月1日、第2回10月15日(いずれも12時)締切。DX型(二次公募)は10月15日12時締切

なお、令和7年度補正予算によるSHIFT事業の公募も、2026年3月19日から実施されました。事業の予算額は、令和8年度が5,786百万円、令和7年度補正予算が3,500百万円です。

公開されている説明会・セミナー・資料の種類

SHIFT事業に関する情報は、主に環境省のSHIFT事業ウェブサイトと、執行団体(温室効果ガス審査協会)のウェブサイトの2か所で公開されています。目的に応じて使い分けると効率的です。

情報 掲載場所 主な内容
工場・事業場における脱炭素セミナー SHIFT事業ウェブサイト(環境省) 政策動向、脱炭素化の進め方、事業者の取組事例の講演資料
公募説明会・説明動画 執行団体ウェブサイト 公募要領、応募書類の書き方、算定ツールの説明
公募要領説明資料 執行団体ウェブサイト 公募要領の主な項目・重要記載・適用要件をマーキングした資料
支援機関リスト・マッチング 執行団体ウェブサイト、省エネルギーセンター SHIFT事業に登録された支援機関の一覧と、事業者とのマッチング
CO2削減事例集 SHIFT事業ウェブサイト(環境省) 過年度事業の取組事例

環境省の「工場・事業場における脱炭素セミナー」

SHIFT事業ウェブサイトに講演資料が掲載されている近年のセミナーは次のとおりです。

開催時期 セミナー 主な講演テーマ
2026年1月 令和7年度 工場・事業場における脱炭素セミナー 知る・測る・減らすから始める脱炭素化、脱炭素化の実践的ステップ、DXシステムを活用した省CO2活動、事業者の取組事例
2025年1月 令和6年度(第2回)工場・事業場における脱炭素セミナー バリューチェーン全体の脱炭素化、CO2削減効果の簡易的な算定ツール、Scope3と連携した取組
2024年6月 令和6年度(第1回)工場・事業場における脱炭素セミナー 政策動向、SHIFT事業の支援実績を踏まえた有効対策、DXシステムの活用による運用改善
2024年2月 工場・事業場における脱炭素セミナー 中小企業等における脱炭素化の推進、脱炭素化のステップとSHIFT事業、設備更新・燃料転換の事例

セミナーの開催案内も同じページに掲載されます。令和7年度のセミナーは、2026年1月8日に開催情報が掲載されました。

執行団体の公募説明会と説明動画

令和7年度補正予算の公募では、2026年3月5日に公募説明会の参加申込受付が始まり、3月26日に説明会が開催されました。説明会資料は3月24日に、説明会の動画は4月7日に執行団体のウェブサイトに掲載されています。

令和8年度の公募資料のページには、公募要領・様式・記入例に加えて、DX型と改修支援それぞれの公募要領説明資料、算定ツールの説明資料、説明動画(公募要領、応募書類、算定ツールの説明)が掲載されています。応募を検討する場合は、まず公募要領説明資料で要件と重要事項を確認し、次に説明動画を見ながら記入例と照らし合わせて応募書類を作成する、という順に進めると理解しやすくなります。

セミナー資料の活かし方

環境省の資料では、脱炭素化の進め方を「知る」「測る」「減らす」の3つのステップで整理しています。セミナー資料は、自社がどの段階にいるかに合わせて読むと活用しやすくなります。

  • 知る:政策動向の講演資料で、国の削減目標や支援策の方向性を把握する
  • 測る:CO2排出量の算定方法や算定ツールの説明資料で、自社の排出量と削減対象を整理する
  • 減らす:事業者の取組事例や有効対策の講演資料で、自社の設備に近い対策を探す

申請前に確認すべき準備

説明会や資料で全体像をつかんだら、次の準備を進めます。以下は令和8年度の公募要領に基づく内容です。次回以降の公募では要件が変わる可能性があるため、必ずその回の公募要領で確認してください。

CO2排出量を把握する

SHIFT事業で対象となるのは、燃料や電気・熱の使用に伴うエネルギー起源CO2です。CO2排出量は「エネルギー使用量(×単位発熱量)×排出係数」で求め、所定の「CO2排出量計算書」にエネルギー使用量を入力すると自動計算されます。エネルギー使用量は、電気事業者や燃料販売会社から入手する使用量証明書のほか、月ごとの請求書などでも確認できます。

  • 改修支援事業:基準年度排出量が50t-CO2以上の工場・事業場が対象。基準年度排出量は直近3年間(令和5〜7年度)の平均値または令和7年度の値
  • DX型:年間CO2排出量が50t以上3,000t未満の工場・事業場が対象(参考年度は令和7年度)

CO2削減計画を作成する

改修支援事業に応募するには、CO2削減計画を策定し、所定の様式(CO2排出量計算書およびCO2削減計画書)にまとめる必要があります。対策の効果は、環境省の「設備更新等によるCO2削減効果の算定ツール」で算定します。算定ツールは環境省の「工場・事業場の脱炭素化推進支援サイト」に掲載されており、その使い方は執行団体の説明資料・説明動画でも解説されています。

改修支援事業の主な数値要件は次のとおりです。

  • 工場・事業場単位で年間CO2排出量を15%以上、または主要なシステム系統で30%以上削減すること
  • 補助事業の投資回収年数が3年以上であること
  • 費用対効果が10万円/t-CO2以下であること
  • 蒸気・空調・給湯システム、工業炉、CGSの単純な高効率化改修は補助対象外
  • 太陽光発電設備は補助対象外(自主的対策として削減量に算入することは可能)
  • 大企業は、基準年度排出量について第三者検証を受けること(費用は自己負担)

支援機関による診断を活用する

支援機関とは、工場・事業場の脱炭素化を技術面から支援する専門機関で、毎年の審査を経てSHIFT事業に登録されます。CO2排出量の算定、削減余地の診断、削減計画の策定、対策の実行までを支援します。

  • DX型では、DX型支援に対応可能な登録支援機関の支援を受けることが要件です。支援機関リストの中から2者以上に見積もりを依頼して選定し、支援内容について合意したうえで交付申請します。
  • 改修支援事業では、過年度のSHIFT事業で作成したCO2削減計画や、令和8年度の支援機関リストに掲載された支援機関の支援を受けて策定したCO2削減計画が、審査の加点項目になっています。
  • 過去にCO2削減ポテンシャル診断やその他の省エネ診断を受けていても、DX型に応募できます。

スケジュールと手続きの注意点

  • 発注・契約は交付決定日以降でなければならず、交付決定前の支出は補助対象外です。
  • 令和8年度の単年度事業は、2027年2月13日までに事業を完了させる必要があります。
  • 執行団体への問い合わせは、公募要領の定めにより締切前に受付を終了します(追加公募では2026年10月8日に終了)。疑問点は早めに確認してください。
  • DX型と改修支援事業を、同一の支援範囲(支援対象設備機器)で併願することはできません。
  • 事業完了後は、所定の期間(3年間)、CO2排出削減効果などの事業報告を行う義務があります。

よくある質問

令和8年度もCO2削減計画策定支援はありますか?

令和8年度の事業区分は「省CO2型システムへの改修支援事業」と「DX型CO2削減対策実行支援事業」の2つです。DX型では、支援機関による削減余地診断や対策提案、実施計画の作成を補助対象として受けることができます。

セミナーに参加できなかった場合はどうすればよいですか?

環境省のセミナーは講演資料がSHIFT事業ウェブサイトに掲載されており、令和7年度のセミナーは動画も公開されています。公募の手続きについては、執行団体のウェブサイトに公募要領説明資料と説明動画が掲載されています。

まとめ

令和8年度のSHIFT事業は、追加公募を含めて2026年10月15日に締め切られました。次の公募に備えるには、環境省のセミナー資料で脱炭素化の進め方と事例を把握し、執行団体の公募要領説明資料と説明動画で要件と書類の作り方を確認したうえで、CO2排出量の把握、支援機関の選定、CO2削減計画の作成を早めに進めておくことが有効です。新しいセミナーや公募の情報は、SHIFT事業ウェブサイトと執行団体のウェブサイトで告知されます。

関連記事:SHIFT事業(工場・事業場における脱炭素化取組推進事業)とは?流れについて解説

参考資料

著者のプロフィール

直樹細田

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