地球温暖化による異常気象が、世界中で様々な被害を及ぼしています。日本でも、大雨による洪水被害や、猛暑による熱中症被害など、私たちの暮らしにも影響がでています。これ以上、地球温暖化を進行させないために、私たちに出来ることはなんでしょうか。本記事では未来を変えるために私たちが今からできる、地球温暖化対策についてわかりやすく解説していきます。

今からできる地球温暖化対策4選

地球温暖化対策と聞くと、国や企業が行うことで私たちには関係のない話だと考えていませんでしょうか。しかし地球温暖化の進行を止める為に、私たちが今からでもすぐにできる対策はいくつもあります。ここでは大きく4つの地球温暖化対策を紹介します。

省エネ

省エネとは、省エネルギーの略で使用するエネルギーの無駄をなくし、必要な分を上手に効率よく使うことを言います。エネルギーとは電気やガス、ガソリンといった、家庭でも良く使用する身の回りのエネルギーを指します。地球温暖化は、CO2等の温室効果ガスが主な原因とされています。エネルギーの生産時には大量のCO2が排出されるため、省エネを行うことで、エネルギー生産で発生するCO2排出量を削減することができ、地球温暖化対策に繋がるのです。

節水

地球温暖化には関係が無いように思える節水も、地球温暖化対策に繋がります。普段飲む水や洗濯、お風呂などで使用している水は、上下水道によって運ばれる過程や浄水場で処理される過程で、大量のエネルギーを使用しています。節水を行うことで、水利用にかかっているエネルギーを省エネすることに繋がるのです。

例えば、取水段階から各家庭に水道水を運ぶまでに発生するCO2排出量は、1㎥あたり235gと試算されています。水道を継続して出していれば、その間、CO2が排出されていることになります。こまめな節水が、CO2排出量の削減に繋がるのです。

参照:CO2計算ツール | くらしと水道 | 東京都水道局 (tokyo.lg.jp)

公共交通機関の利用

電車やバスなどの公共交通機関は、一度に多くの人を運ぶため個人が車で移動するよりも1人当たりのCO2排出量が削減できます。また近距離の移動では、徒歩や自転車で移動することで化石燃料自体を使用せずCO2排出量を0に抑えることが可能です。

1人を1キロメートル運ぶ際のCO2排出量は、自家用車が130g、バス57g、鉄道17gとそれぞれ半分以下に抑えることが可能になります。

参照:交通機関の種類とCO2排出量|東京都環境局 (tokyo.lg.jp)

エコバックの利用

エコバックの利用は廃棄物削減による環境保護だけでなく、地球温暖化対策にもなります。多くのレジ袋は、プラスチックを原料としています。プラスチックは製造過程で大量のCO2を排出し、またごみとして焼却する際にもCO2を排出します。エコバックを利用することで、レジ袋の使用量を削減することができ、結果的にCO2の排出量を削減することに繋がります。

そもそも地球温暖化対策は、なぜ必要なのか?

どうして地球温暖化対策をしなくてはいけないのでしょうか。IPCC第6次評価報告書によると、世界の平均気温は工業化以前と比べ、2011年〜2020年までで1.09℃上昇しています。また1970年以降、世界の平均気温は少なくとも過去2000年にわたって経験したことのない速度で上昇をしています。今後CO2排出量が大幅に減少しない限り、気温はさらに上昇すると予測されており、21世紀中に工業化以前と比べて1.5〜2.0℃を超える気温上昇が予想されています。

参照:気象庁 Japan Meteorological Agency (jma.go.jp)

これらの急激な気温上昇により、世界各地で異常気象が増加するなど、人々の暮らしに大きな影響を及ぼし始めています。このまま地球温暖化が進行すれば、今後大きな課題が私たちに降りかかることになります。

地球温暖化が進むとどうなる?

それでは、このまま地球温暖化が進むとどうなるのでしょうか。地球温暖化の進行により、私たちの暮らしに大きな影響を及ぼすような課題が深刻化すると予想されます。ここでは、地球温暖化による課題を4つ紹介します。

海面上昇がおき陸地が消滅する

海面上昇の主な原因は、地球温暖化による氷河や氷床の融解であると言われています。1901年から2010年のおよそ100年の間に、世界の海面は19cm上昇しました。このまま地球温暖化が進行すれば、21世紀中に最大82cm上昇すると予測されています。

すでに、フィジー諸島共和国などの海抜の低い多くの島国では、高潮による被害が大きくなり、潮が満ちると海水が住宅や道路に入り込む被害も出ています。平均海抜が1.5mしかない ツバルでは、隣国への移民を余儀なくされる「環境難民」が発生する事態になっています。

日本では、1m海面が上昇すると、日本全国の砂浜の9割以上が失われると予測されています。さらに大阪では、北西部から堺市にかけて海岸線がほぼ水没し、東京でも江東区や墨田区、江戸川区、葛飾区などのほぼ全域が影響を受けると予想されています。

参照:2-2 海面上昇の影響について | JCCCA 全国地球温暖化防止活動推進センター

異常気象が増加する

近年、世界中で起きている異常気象ですが、世界気象機関(WMO)によると、台風や洪水、干ばつなどの気象災害の発生件数は、1970年から2019年の50年間で5倍近くに増加しています。

参照:世界の気象災害、50年間で5倍に 経済損失は3.6兆ドル=世界気象機関 – BBCニュース

これらの異常気象は、気温上昇や海水温度の上昇、海面の上昇などが原因となって発生しており、地球温暖化が進めばますます被害が大きくなることが予想されます。日本においても集中豪雨による洪水被害や、猛暑日の増加による熱中症被害が深刻な課題となってきており、私たちの暮らしにも大きな影響がでています。

食糧不足が深刻化する

地球温暖化による、大規模干ばつや水不足は、世界の食糧生産量に大きな影響を与える事が予想されます。地球上の人口が増え続けている中で、食糧の生産量が減少するような事があれば世界中で食糧の取り合いが生まれます。日本の食糧自給率は、1965年には73%でしたが、2021年には38%にまで低下し、実に食糧の62%が輸入品で占められている状況です。このような状況では、今後世界的な食糧不足が起きた際に、非常に大きな影響を受けることが予想されます。また自給率の高い米も平均気温の上昇による生育不良などが起き、収穫量が減少することも予想されます。

参照:数字で学ぶ「日本の食料」:農林水産省:農林水産省 (maff.go.jp)

感染病の被害が拡大する

地球温暖化は、自然生態系にも大きな影響を及ぼします。マラリアやデング熱などの感染症を媒介する蚊も、地球温暖化の影響により、その生息域に大きな影響を受ける生き物のひとつです。蚊は温暖な地域で活発に活動する為、地球温暖化によって生息域を広げる傾向にあり、それにより感染症の流行エリアも拡大することになります。

気候変動に関する政府間パネル(IPCC)によると、2100年までに世界の平均気温が3℃〜5℃上昇すれば、マラリアの年間感染者数は世界で5〜8千万人増加すると予測されています。

参照:マラリアについて : 野口英世アフリカ賞 – 内閣府 (cao.go.jp)

未来を変えるために、私たちができること

地球温暖化が進行した未来を変えるために、私たちが今できることはなんでしょうか。普段の生活の中で、少しだけ意識をするだけで、私たちに出来る地球温暖化対策は沢山あります。ひとつひとつは非常に些細なことですが、1人1人が行動することで長い目で見ると非常に大きなCO2削減に繋がります。

ここでは、私たちができる地球温暖化対策の例を紹介します。

私たちができる地球温暖化対策
節電(省エネ)家族がなるべく同じ部屋で過ごす
エアコンの設定温度を±1℃する
照明を使わない時はこまめに消す
テレビを見ていない時は電源を消す
冷蔵庫は開閉をなるべく少なくする
しばらく使わない家電はコンセントを抜く
省エネ家電に買い替える
蛍光灯をLED証明に変える
節水シャワーや洗い物の時に流しっぱなしにしない
蛇口に節水栓や水量調節ができるフィルターを付ける
お風呂は冷めないように家族が続けて入る
お風呂の残り湯を活用する
洗濯する時はまとめて洗う
普段の買い物近くの移動は徒歩や自転車を使う
遠くの移動は電車やバスなどの公共交通機関を使う
詰め替え製品を購入する
エコバックを利用する

1人1人の行動が大きな成果を生む

地球温暖化対策を、個人が取り組んでもあまり意味がないと思っている方もいるかもしれませんが、決してそのようなことはありません。個人1人1人の行動が、地球温暖化対策には重要なのです。ここでは、大阪府高槻市の例を挙げます。

高槻市の試算では、平成29年度に市内の家庭から排出されたCO2量は、約39.6万トンとなりこれは京セラドーム大阪(延床面積156,400㎡)のおよそ168杯分の量に相当します。そこで高槻市は、「1人1日1キログラム削減」の取り組みを掲げ、高槻市民全員が、1日1キログラムのCO2排出削減に取り組んだ場合の成果を試算しました。結果として、1年間で約32.3%である12.8万トンを削減できることがわかりました。

参照:地球温暖化対策 一人一人が将来の地球のためにできることを – 高槻市ホームページ (city.takatsuki.osaka.jp)

1人だけでは大きな成果には繋がりませんが、全員が同じ意識をもって、できることから地球温暖化対策に取り組むことで、必ず大きな成果に繋がります。

まとめ

ここまで、未来を変えるために私たちが今からできる地球温暖化対策について紹介してきました。

このまま何もしなければ、地球温暖化が進行していくことはほぼ間違いなく、私たちの未来には今よりも過酷な地球環境が待っています。

地球温暖化対策として、私たちができることに取り組んでいけば未来はよい方向に変える事ができるでしょう。

著者のプロフィール

直樹細田