省エネ効果が高く、家計にも優しい給湯器を補助金を活用してお得に導入出来ることをご存知でしょうか。本記事を読めば、給湯器交換に使えるお得な補助金の概要から申請方法までくまなく理解することができます。
家庭で出来る脱炭素!給湯省エネ補助金の魅力と仕組み
これまでお湯を沸かす際はガスを使う家庭が日本では一般的でしたが、2000年頃から「エコキュート」等に代表される電気でお湯を沸かす給湯器が普及してきました。環境省の2019年度の調査によると、電気ヒートポンプ給湯器の普及率は、14.8%(戸建て24.4%・集合住宅3.0%)であり、戸建て住宅を中心に普及が進んでいます。
参照:おすすめのエコキュートは?メリット・デメリット、補助金制度を解説 |電気のトラブルなら東京電力パワーグリッド (tepco.co.jp)
ガス給湯と電気給湯の主なメリットデメリットは以下の通りになります。電気給湯はガス給湯と比較し優れた省エネ効果があり、光熱費が安く抑えられる点で普及率を拡大しています。また電気給湯器の省エネ効果を国としても最大限に活かす為、特に省エネ効果の高い電気給湯器の導入を支援する補助金制度が設けられ普及率の拡大に貢献しています。
メリット | デメリット | |
ガス給湯器 | ・設備がコンパクトで設置場所を取らない・瞬間的にお湯を沸かすことが可能でお湯切れの心配がない | ・電気給湯器と比較し光熱費が高い・作動時にファンが回り、独特の動作音がする |
電気給湯器 | ・タンクのお湯を非常時に使用できる・作動時の音が静か・ガス給湯器と比較し光熱費が抑えられる | ・お湯を為て置くタンクが必要で設置場所を取る・瞬間的にお湯を沸かせない為、お湯切れのリスクがある |
省エネ効果抜群の給湯器の活用法
電気給湯器が高い省エネ効果を発揮する仕組みを、特に省エネ効果が高い電気給湯器であるエコキュート(ヒートポンプ給湯器)を例に見ていきます。
エコキュートは「ヒートポンプ」と「貯湯タンク」の2つで構成されています。ヒートポンプは、エアコンの室外機と同じ形状をしており、熱をつくり出す役割を担います。貯湯タンクは、沸かした湯を貯めておくタンクのことで、冷蔵庫のような形状をしています。 エコキュートの特徴は、ヒートポンプにより空気の熱を使ってお湯を沸かすことにあります。沸かしたお湯は貯湯タンクに貯められ、使用する際に設定温度に希釈され給湯されます。
ヒートポンプが空気を使ってお湯を沸かす仕組み
1:ファンを回転させて外気をヒートポンプ内に取り込み、ユニット内の冷媒(二酸化炭素)を温める。
2:温められた冷媒を圧縮機に送り、圧縮することで約90℃の高温にする。
3:高温になった冷媒を、別の熱交換器を介してタンク内の水を温める。
4:その後、冷媒を膨張弁にかけて膨張させ低温にする。
5:タンク内の高温のお湯に設定温度になるよう水を混ぜて、お風呂や台所、洗面などに給湯される。
参照:エコキュートとは?ガス給湯器との違いや導入のメリットは? | エディオンリフォームサイト (edion.jp)
エコキュートは空気の熱を集めてお湯を沸かすため、給湯にかかる光熱費が一般的な電気給湯器に比べ約3分の1になります。 資源エネルギー庁の省エネ性能カタログによると、2022年3月1日現在、エコキュートのエネルギー消費効率は、もっとも効率がよいもので4.2という数値であり、1の電気から1の熱を出すヒーターと単純比較すると、4.2倍効率がよい(1の電気で4.2の熱を出すことができる)ということになります。
参照:おすすめのエコキュートは?メリット・デメリット、補助金制度を解説 |電気のトラブルなら東京電力パワーグリッド (tepco.co.jp)
補助金対象となる家庭と設備
エコキュートのような高い省エネ効果を持つ給湯器(高効率給湯器)は、その導入に補助金を活用することができます。その補助金は「給湯省エネ補助金(高効率給湯器導入促進による家庭部門の省エネルギー推進事業費補助金)」と呼ばれるもので、経済産業省の資源エネルギー庁が管轄しています。給湯省エネ補助金は、 家庭のエネルギー消費の多くを占める給湯器について 高効率給湯器の導入支援を行うことで、家庭での省エネを推進していく事を目的としています。補助金の対象となる家庭は、戸建、共同住宅等に寄らず、以下の住宅に高効率給湯器を設置する場合に該当します。
参照:事業概要|給湯省エネ事業【公式】 (meti.go.jp)
設置する住宅 | 補助事業者 | リースの場合の共同事業者 |
新築注文住宅 | 住宅の建築主 | 給湯器の所有権を有するリース事業者 |
新築分譲住宅 | 住宅の購入者 | |
既存住宅(リフォーム) | 工事発注者 |
また対象となる給湯器設備とその補助額は以下のとおりです。
設置する給湯器 | 補助額 | 補助上限 |
家庭用燃料電池(エネファーム) | 15万円/台 | 戸建住宅:2台まで共同住宅等:1台まで |
電気ヒートポンプ・ガス瞬間式併用型給湯器 (ハイブリッド給湯器) | 5万円/台 | |
ヒートポンプ給湯器(エコキュート) |
エコキュートとハイブリッド給湯器
ハイブリッド給湯器は、電気とガスの両方を使いお湯を沸かす給湯器です。本記事の前半でご紹介した通り、電気給湯器とガス給湯器にはそれぞれメリットとデメリットがあります。ハイブリッド給湯器は、電気とガスそれぞれのメリットを活かしながら効率よくお湯を沸かす事が可能になります。
電気給湯器として広く普及しているエコキュートと比較して、ハイブリッド給湯器の特徴や性能を見ていきましょう。
それぞれの給湯器の特徴とメリット
エコキュートは、ヒートポンプによって空気の熱を集めてお湯を沸かすため、給湯にかかる光熱費が抑えられるメリットがあります。 また、電気を使うため電気料金が安い夜間にお湯を沸かしタンクに貯めておく事で、より安い費用で給湯することも可能です。しかしタンクのお湯が切れてしまうと、再びお湯を沸かすのに30分ほど時間がかかってしまうデメリットがあります。そのため、お湯の使用量が多い家庭ではお湯切れのリスクがどうしても出てしまいます。
一方で、ハイブリッド給湯器はエコキュートのように電気を使ってお湯を沸かすことが出来ますが、お湯切れを起こした場合、瞬時にガスを使ってお湯を沸かすことも可能です。お湯の量に制限があるエコキュートでは心配な場合に、それを補填する形でガスを使ってお湯を沸かせるメリットがハイブリッド給湯器にはあります。
補助金申請の手続きと注意点
それでは、ヒートポンプ給湯器やハイブリッド給湯器の導入に活用できる「給湯省エネ補助金」の申請方法を詳しく見ていきます。給湯器の設置業者が代行して申請を行う点が大きな特徴となっており、事前の手続きが少しややこしい点に注意が必要です。
申請手続きの流れ
まず補助対象者(給湯器を導入する人)と契約を行う事業者(給湯器設置業者)が、設備の設置前に自社の情報を事務局に登録する「事前登録」を行います。登録が完了後、給湯器の設置を行い、完了すれば補助金の交付申請を手続き代行者(給湯器設置業者)が事務局に対して行います。事務局での審査が完了次第、補助金の交付が決定されます。
必要書類と申請期間のチェック
申請に必要な書類は、契約日や着工日が確認出来るような契約書の写しと、着工前の写真(日付入り)と機器設置後の写真 (日付入り)、給湯器の個別番号(品番等)が確認出来る写真や書類等となります。給湯器の設置が行われたかを確認出来る資料が求められます。申請期間は、2023年3月31日以降から予算上限に達するまで(最大で2023年12月31日まで)となっています(2022年11月8日〜2023年12月31日に契約したものが対象)。
他の補助金や制度との併用について
給湯省エネ補助金は、新築を対象とする場合に以下の補助事業と併用が出来ませんので注意が必要です。
・こどもエコすまい支援事業
・地域型住宅グリーン化事業
・LCCM住宅整備推進事業
・次世代ZEH+実証事業
・超⾼層ZEH-M実証事業
・ZEH等(ZEH+含む)支援事業
・低層ZEH-M支援事業・中⾼層ZEH-M支援事業
参照:sanko_kyutouki.pdf (meti.go.jp)
省エネリフォームで脱炭素化に貢献!
給湯省エネ補助金のように、家庭でできる脱炭素を支援する事業を国は他にも用意しています。その代表的なものに「こどもエコすまい支援事業」と「先進的窓リノベ事業」があります。どちらも住宅リフォームでの省エネ施策を補助する目的で設けられている事業になります。
住宅リフォームでの省エネ施策
「こどもエコすまい支援事業」は、住宅をリフォームする際に、外壁や屋根、天井、床の断熱改修を行う場合や、太陽光パネルや節水型トイレなどの省エネに繋がる住宅設備を設置する場合に、補助金が交付される事業になります。また「先進的窓リノベ事業」では、既存の住宅窓を高い断熱性能を持つ窓へリフォームする場合に、かかる費用の1/2相当を補助してもらえます。住宅リフォームでの省エネ施策を実施する場合は、ぜひ活用したい補助金になります。
参照:住宅省エネ2023キャンペーン【公式】 (mlit.go.jp)
よくある質問
給湯省エネ補助金について、よくある質問をまとめました。
エコキュート補助金2023はいつから申請できますか?
2023年3月31日以降から申請が可能です。申請可能期間は予算上限に達するまでで、最大でも2023年12月31日までとなります。なお、申請の対象となる設備は2022年11月8日〜2023年12月31日に契約したものとなります。
エコキュート補助金2023の対象は?
対象となる設備は高い省エネ効果を持つ給湯器(高効率給湯器)等で、家庭用燃料電池(エネファーム)や電気ヒートポンプ・ガス瞬間式併用型給湯器(ハイブリッド給湯器)、ヒートポンプ給湯器(エコキュート)が対象となります。
給湯省エネの補助金額はいくらですか?
家庭用燃料電池(エネファーム)が1台当たり15万円、電気ヒートポンプ・ガス瞬間式併用型給湯器(ハイブリッド給湯器)とヒートポンプ給湯器(エコキュート)が1台当たり5万円となっています。補助上限は、戸建住宅は2台まで、共同住宅等で1台までとなります。
まとめ
ここまで、給湯省エネ補助金の概要からその活用方法まで紹介してきました。家庭で省エネや脱炭素に取り組む場合に、初期費用の負担は大きな障壁となります。給湯省エネ補助金を活用すれば、省エネ設備をお得に導入することが可能になります。家庭から脱炭素化に取り組みたい方は、ぜひ本記事を参考に給湯省エネ補助金の活用を検討してみてください。
給湯省エネ補助金に関する重要用語
項目 | 説明 |
ヒートポンプ給湯器 | 空気中からくみ上げた熱をコンプレッサーで圧縮し高温化し、熱交換器で水に熱を伝えることでお湯を沸かす給湯器。沸かしたお湯はタンクで貯められ使用時に給湯される。 |
ハイブリッド給湯器 | ヒートポンプ給湯器とガス給湯器の両方の機能を持つ給湯器。通常は電気でお湯を沸かすが、タンクのお湯切れ時など瞬間的にお湯が必要な場合にガスを使用しお湯を沸かす。 |
家庭用燃料電池 | ガス等を使用し家庭で電気を発電する設備。送電時のロスが少なく、排熱を給湯や暖房に活用出来る為、エネルギー利用率が高い特徴を持つ。 |
著者のプロフィール
- タンソーマンプロジェクト発起人であり、タンソチェック開発を行うmedidas株式会社の代表。タンソーマンメディアでは、総編集長を務め、記事も執筆を行う。