省エネ性能が高い冷蔵庫に買い替えると、全国各地の自治体から補助金が交付されることを知っていますでしょうか。高性能な冷蔵庫に更新するだけで、年間の電気代を大きく削減することも可能です。
今回の記事では、冷蔵庫の買い替えに補助金を提供している自治体や制度概要、申請方法について解説します。補助金を活用して購入費を抑えるとともに、省エネで環境保全にも貢献しましょう。
冷蔵庫買い替え補助金制度概要
冷蔵庫を買い替えると補助金が提供されるとは、具体的にどういうことなのでしょうか。以下では、補助金制度の概要について説明しています。
事業目的と環境への貢献
事業目的は一般家庭での高性能家電の普及を促進することにより、エネルギー消費量を削減することです。具体的には、新しい技術を採用した省エネ性能の冷蔵庫を使うことで、家庭全体のエネルギー効率が向上します。
使用するエネルギーを効率化することで、電力消費の減少に直結し、最終的にはCO2排出量を減らすことに貢献するのです。取り組みによって、各家庭が地球温暖化防止や気候変動対策が可能になると期待されています。さらに、消費者も省エネ効果による電気代の節約を実感できるため、環境と経済の両面でメリットがあります。
対象家電と補助金額
補助対象となる家電は自治体によって異なりますが、一般的には冷蔵庫、エアコン、テレビ、給湯器、LED照明などが含まれます。補助金の額は大体3万円前後に設定されていることが多いですが、自治体によって異なります。具体的な額については、地元の自治体のホームページで確認することが必要です。
補助金制度を利用することで、消費者は省エネ家電の導入にかかる初期投資を抑えることができ、長期的には電気代の削減にもつながります。結果として、補助金制度は環境に優しい生活様式を推進し、地域コミュニティの持続可能な発展に貢献することが期待されています。
対象者と対象エリア
補助金制度は、補助金を提供している地方自治体に居住している人々を対象としています。対象エリアは補助金を実施している自治体に限られており、それぞれの自治体が独自の基準や条件を設けています。
2023年9月の時点で、多くの地方自治体が補助金制度を採用し、住民に対して省エネ家電の購入に対する支援を提供しています。具体的には、以下の自治体が補助金制度を採用しています。
都道府県名 | 自治体名 |
北海道 | 札幌市、函館市、旭川市、釧路市、帯広市、網走市、苫小牧市、鹿追町 |
青森県 | 青森県、青森市 |
岩手県 | 一関市、盛岡市、宮古市 |
宮城県 | 仙台市、大崎市 |
秋田県 | 秋田県 |
山形県 | 山形県、山形市、東根市 |
茨城県 | 筑西市、鉾田市、日立市 |
栃木県 | 栃木県、小山市、佐野市、鹿沼市、真岡市、那須塩原市、上三川町、益子町 |
群馬県 | 前橋市、富岡市 |
埼玉県 | 熊谷市、坂戸市、川越市、春日部市、上尾市、越谷市、朝霞市、北本市、白岡市 |
千葉県 | 松戸市、野田市、流山市、四街道市 |
東京都 | 東京都、小平市 |
神奈川 | 横浜市、相模原市 |
富山県 | 富山県 |
石川県 | 石川県、七尾市 |
福井県 | 福井県 |
山梨県 | 山梨県 |
長野県 | 長野県、千曲市、飯山市、佐久市 |
岐阜県 | 岐阜県 |
愛知県 | 一宮市、江南市、長久手市 |
滋賀県 | 滋賀県、甲賀市 |
大阪府 | 豊中市、泉大津市、泉佐野市、牧方市、八尾市、東大阪市 |
兵庫県 | 宍粟市、豊岡市、芦屋市 |
広島県 | 広島県、呉市 |
山口県 | 周防大島町、和木町、岩国市一部地区(通津、長野、由宇町、桂島、端島、黒島) |
香川県 | 高松市、観音寺市 |
愛媛県 | 今治市 |
高知県 | 須崎市 |
福岡県 | 小郡市、大牟田市、吉富町 |
佐賀県 | 三養基郡上峰町 |
熊本県 | 合志市、八代市、阿蘇郡南阿蘇村 |
大分県 | 大分市、杵築市 |
宮崎県 | 宮崎県、日南市 |
鹿児島 | 曽於市、枕崎市 |
引用:(参考)「省エネ家電」関連の補助金等を実施している自治体一覧 | デコ活(脱炭素につながる新しい豊かな暮らしを創る国民運動)
上記の自治体では、対象となる冷蔵庫やその他の家電製品についても情報を提供しています。自治体のウェブサイトや公共施設での案内を通じて、補助金に関する規定や補助金額を確認しましょう。
令和時代の補助金たる点
2050年のカーボンニュートラル実現に向けて、日本政府は環境保護とエネルギー効率の向上に注力しています。カーボンニュートラルとは、人間の産業活動で排出するCO2量と植林活動などを通じて吸収するCO2量を等しくすることです。
カーボンニュートラル達成のためには事業者だけでなく、一般国民の省エネ活動が不可欠です。補助金制度は、国民の積極的な省エネ活動を促進する重要な役割を担っています。補助金を提供することで、国民の高性能で環境に優しい家電製品の購入を促し、個々の家庭がCO2排出量の減少に貢献できるように働きかけているのです。
補助金制度によって一般家庭が環境に配慮した選択をしやすくなり、結果として国全体の環境保護への取り組みが拡大するでしょう。
補助金申請手続きの詳細
単に冷蔵庫を購入するだけでは、補助金は受け取れません。以下では、補助金を受け取るために必要な申請手続きの詳細を解説します。
事前に確認すべき基準
補助金制度の申請にあたって、対象となる家電製品は特定の省エネ基準を満たしていなければなりません。基準は、統一省エネラベルによる省エネ性能の多段階評価に基づいています。多段階評価では、1.0から5.0までの41段階で省エネ性能が評価され、5に近いほど高性能です。
補助金制度の対象となる家電製品は自治体によって異なるものの、多くは多段階評価で3.0以上を取得している製品が基準となっています。補助金の申請を検討する際には、対象製品がこの基準を満たしているかを確認することが重要です。基準を満たした製品は小売事業者によってわかりやすくラベルで表示されるため、迷わずに選べます。
参照:統一省エネラベルが変わりました|経済産業省・資源エネルギー庁
購入後の設置と領収書
補助金の申請手続きには購入した製品の領収書だけでなく、設置場所を示す書類の提出が求められることが多いです。例えば、横浜市で実施されている事業では、申請には複数の書類が必要です。
まずは申請チケットが必要であり、チケットがない場合は申請できません。加えて、申請者の住所や携帯電話番号、現住所が確認できる本人確認書類の画像なども必要です。製品の購入を証明するためにはレシートまたは領収書の写真と、購入した製品の保証書の写真の提出が求められます。
製品が設置された場所を示す書類も提出が求められるため、購入店舗から発行される取付工事注文書や配送注文書などの書類を用意しなければなりません。複数の書類を不足なく揃えて申請手続きを行うことで、補助金の受給が可能になります。
申請方法と書類の郵送
補助金の申請は、多くの自治体でオンラインまたは郵送のいずれかの方法で可能です。横浜市の事業では、登録店舗で対象製品を購入した後に店舗から「申請チケット」を受け取り、チケットからオンライン申請ができます。
一方で、郵送による申請の場合は店舗または特設サイトから郵送用の申請書類を取得し、記入した後に申請チケットを同封して事務局へ提出します。
オンラインと郵送のどちらの方法も手続きの便宜を図るために設計されており、利用者が簡単に補助金の申請を行えるようになっています。都合のよい方法を選び、申請を行いましょう。
申請の確認と交付までの流れ
申請後、オンライン上でも郵送でも、審査が行われます。この審査では、記入漏れや申請内容の誤り、購入した製品が補助金の条件を満たしているかどうかが確認されます。何も問題がなければ、キャッシュレスポイントでの還元や商品券の自宅への送付など、予定された形式で補助金が交付されます。
このプロセスは、補助金制度の公平性と効率性を保つために重要です。審査により、適切な申請者が適切な金額の補助を受けることが保証され、補助金制度の目的が達成されます。利用者は、自分の申請が正確かつ完全に行われていることを確認するために、提出書類に注意を払う必要があります。
省エネ家電の選び方
補助の対象となる家電製品を選ぶ際は「統一省エネラベル」が役立ちます。以下では、統一省エネラベルの概要と、具体的にどのように省エネ家電を選べばよいのかを説明します。
省エネルギーラベルの活用
省エネ家電を選ぶ際には、省エネルギーラベルの活用が重要です。省エネルギーラベルは、業界トップクラスの省エネ性能を持つ製品と比較し、どの程度の省エネ性能を持っているのかを示すものです。
例えば、冷蔵庫だと市場における製品の省エネ性能は5.0~1.0の41段階で評価され、多段階評価点(★の数)が表示されます。多段階評価は、出荷数量が多い区分の省エネ基準と製品の省エネ性能の比率を基に算出されます。
%で表示される省エネ基準達成率は、高いほど優れた省エネ性を持つことを示す指標です。年間消費電力量(kWh/年)や年間の目安電気料金(円)も表示されます。複数の省エネ指標を参考にすることで、消費者は自宅の状況に最適な家電を選択できるのです。
参照:統一省エネラベルが変わりました|経済産業省・資源エネルギー庁
性能と予算のバランス
省エネ家電を選ぶ際は、性能と予算のバランスを考えましょう。統一省エネラベルからは、製品の省エネ性能を理解できますが、最高クラスの性能を持つ家電は予算的に手が届かないこともあります。
重要なのは、求めている性能と予算を照らし合わせて家庭に合った製品を選ぶことです。省エネ性能が高い製品ほど長期的なコスト削減に貢献しますが、初期投資の大きさも考慮する必要があります。性能と予算のバランスを見極めることが、賢い家電選びの鍵となるのです。
リサイクル対策と注意点
冷蔵庫買い替え補助金の申請を行ううえで、注意しなければならない点がいくつかあります。新しく冷蔵庫を購入したのに補助金が交付されない事態を避けるためにも、きちんと確認しましょう。
古い冷蔵庫のリサイクル方法
補助金申請の条件の一つに、古い冷蔵庫を適切に処理していることの証明が求められることがあります。例えば、大阪府の冷蔵庫買い替え制度では、家電リサイクル法に基づく古い家電の処分が条件の一つになっています。家電リサイクル法の目的は、以下の家電から有用な部分や材料をリサイクルし、廃棄物を減量することです。
- エアコン
- テレビ(ブラウン管、液晶・プラズマ)
- 冷蔵庫・冷凍庫
- 洗濯機・衣類乾燥機
家電リサイクル法を中心に、法律で家電製品の資源の有効利用が推進されています。そのため、補助金申請時には古い冷蔵庫が法律に従って適切に処理されたことを証明する必要があるのです。
参照:家電リサイクル法(特定家庭用機器再商品化法) (METI/経済産業省)
補助金対象外品注意事項
補助金の対象となる冷蔵庫を選ぶ際には、統一省エネラベルの多段階評価点が基準となっている自治体が多いです。しかし、多段階評価点を満たしていても、目標年度との基準のずれがあると補助の対象外となるケースがあります。実際に、大阪府では目標年度も基準としています。
すべての自治体が多段階評価点だけを基準にしているわけではないため、購入予定の冷蔵庫が補助金の対象となるかどうかを事前に確認しましょう。補助金の対象外となる製品を誤って購入してしまわないよう、自治体ごとの基準を理解して適切な選択を行うことが求められます。
参照:【令和5年度】省エネ家電買換え促進事業補助金 | 枚方市ホームページ
よくある質問
冷蔵庫買い替え補助金に関するよくある質問に回答します。
省エネ家電補助金の対象となる冷蔵庫は?
省エネ家電補助金の対象となる冷蔵庫は、自治体ごとに異なります。今回の記事で取り上げている神奈川県(横浜市)と大阪府(枚方市)では、統一省エネラベル3つ星以上を基準としています。なお、横浜市では購入する冷蔵庫のサイズが450L以下の場合は2つ星以上が基準です。
参照:
【令和5年度】省エネ家電買換え促進事業補助金 | 枚方市ホームページ
2024年!国に申請したらエアコンにいくらお金もらえる?
省エネ家電補助金は、エアコンにも活用できる自治体が多いです。交付される金額も自治体ごとに違いはあるものの、3万円前後に設定されています。詳細は、各地方自治体のホームページより確認してください。
エアコン補助金2024はいつまで申請できますか?
省エネ家電補助金の申請期間は、自治体により異なります。すでに予算を使い果たし事業を終了している自治体もあれば、2024年でも申請を受け付けている自治体もあります。補助金の申請を受け付けているかどうかは「省エネ家電 補助金 都道府県名または自治体名」で検索すると確認可能です。
まとめ
統一省エネラベルの多段階評価点において、一定以上の点数がつけられている冷蔵庫を購入すると3万前後の補助金を受け取れます。補助金の申請には領収書の他、設置場所の写真や古い冷蔵庫を適切に処理したことを証明する書類の提出が求められることもあります。
各自治体が公表している補助金のホームページを前もって確認すれば、特別難しいことはありません。補助対象となる冷蔵庫の性能や申請書類を理解し、効果的に省エネに取り組みましょう。
また、省エネに取り組むことは脱炭素化にもつながります。2050年までにカーボンニュートラルを実現させるという日本の目標に向けて、各家庭でもできることを積極的に行いましょう。冷蔵庫の買い替えも、カーボンニュートラルに向けた取り組みの一つです。
冷蔵庫買い替え補助金に関する重要用語
項目 | 説明 |
統一省エネラベル | 業界トップクラスの省エネ性能を持つ製品と比べて、どの程度の性能を持っているのかを消費者に向けてわかりやすく伝える表示のこと。 |
多段階評価点 | 省エネ性能の高さを1.0から5.0の41段階で示す指標のこと。5に近ければ近いほど、高い省エネ性能を持っている。 |
省エネ家電補助金 | 冷蔵庫や冷凍庫、エアコン、テレビなどの家電を省エネ性能がより高いものに買い替える時に交付される補助金のこと。 |
著者のプロフィール
- 小学校教員として、カーボンニュートラルや脱炭素に関する授業を行った経験がある。子どもたちが理解できるように、専門用語を分かりやすく、かみ砕いて説明することを心がけた。この経験を活かし、脱炭素化の重要性を広く伝えるために、誰にとっても理解しやすい記事を作成している。