補助金・助成金

需要家主導型太陽光発電の補助金とは?対象・要件・補助率と公募状況を解説

タンソーマン 事務局・

この記事は2026年10月時点の情報です。需要家が発電事業者・小売電気事業者と連携して太陽光発電設備を導入する取組を支援する資源エネルギー庁の補助事業は、令和3年度補正予算から実施されてきました。令和5年度補正予算と令和6年度予算では「需要家主導型太陽光発電・再生可能エネルギー電源併設型蓄電池導入支援事業」として実施され、令和6年度予算分の公募は2024年に締め切られ、採択事業者も決定しています。執行団体である一般社団法人太陽光発電協会のサイトで確認できる最新の公募は令和6年度予算分で、2026年10月時点では、令和7年度・令和8年度予算による新たな事業者公募は確認できません。

本記事では、この制度の仕組みと、直近の令和6年度公募の要件・補助率、これまでの公募の経緯を整理します。今後同様の事業が公募される場合に備えた基礎情報として活用してください。

需要家主導型太陽光発電の補助事業とは

この補助事業は、地域共生を前提に、需要家が小売電気事業者および発電事業者と一体となって取り組む太陽光発電の導入や、再生可能エネルギー設備への蓄電池の併設を支援するものです。再生可能エネルギーの導入の加速化と最大限の活用を促し、エネルギー危機に強い経済構造への転換を図ることが目的とされています。

補助の対象となるのは、FIT制度・FIP制度を利用しない新設の太陽光発電設備です。発電した電気は、長期の利用契約に基づいて特定の需要家に供給されます。需要家が自ら土地や初期費用を用意しなくても、発電事業者の設備から長期に再生可能エネルギーの電気を調達できる点が特徴です。

三者の役割

主体 役割
需要家 発電された電気を長期契約で利用する企業・団体
発電事業者(補助対象事業者) 太陽光発電設備を新たに設置・所有し、補助金の申請者となる
小売電気事業者 発電事業者から電気を調達し、需要家に供給する

令和6年度予算公募の主な要件

直近の令和6年度予算「需要家主導型太陽光発電導入支援事業」の公募(2024年9月19日開始)では、主に次の要件が定められていました。

  • 特定の需要家に電気を供給するために、新たに太陽光発電設備を設置・所有する者であること
  • 再エネ特措法の認定計画に含まれない設備(非FIT・非FIP)であること
  • 新設設備の合計が2MW以上30MW未満、設備単価が23.9万円/kW(ACベース)未満であること(複数地点の合計も条件付きで可)
  • 蓄電池を導入する地点は15.8万円/kW(DCベース)未満で、蓄電池の補助対象経費の上限は12万円/kWh
  • 申請時に、原則として系統連系の接続検討の回答を得ていること
  • 8年以上にわたり、交付決定時の計画発電量の7割以上を需要家が利用する契約を結ぶこと(自己託送は対象外)
  • 運転開始期限:単年度事業は2025年2月28日、複数年度事業は最長で2027年2月26日まで(いずれも原則)
  • 再エネ特措法の事業計画策定ガイドラインと、説明会等の事前周知措置ガイドラインを遵守し、説明会を実施すること
  • リース・レンタルによる設備設置は対象外。他の国庫補助金との併用は不可

補助率(令和6年度公募)

区分 補助率
自治体連携型(地方公共団体の所有地に設置する場合、または地方公共団体が資本金の過半を出資する事業者等が当該地方公共団体内の需要家に供給する場合) 2/3以内
自治体連携型以外(原則) 1/3以内
自治体連携型以外で、中小企業等の電力買取量が51%以上、サプライチェーン・地域連携・地域裨益の要件を満たす場合など 1/2以内(事業全体)
自治体連携型以外で、蓄電池を設置した発電所、荒廃農地を再生利用する営農型や水上設置型の発電所 1/2以内(対象発電所のみ)
過去の本事業で5MW以上の導入実績がある事業者(グループ企業を含む) 1/3以内
蓄電池の設置に係る経費 1/3以内(新規技術開発蓄電システム、電動車用蓄電池モジュールの2次利用、系統側への定格出力1,000kW以上の場合は1/2)

補助対象経費

項目 内容
設計費 設備導入に必要な設計に要する経費(土地造成等の関係工事に係る工事用図面の作成等を含む)
設備購入費 太陽電池モジュール、蓄電池、パワーコンディショナ、モニターシステム、架台、接続箱、受配電設備、遠隔監視・制御装置、その他の付属機器
土地造成費 設備設置に必要な土地造成費(土地の取得・賃貸借、既存建物の除去や躯体の補強に係る費用は対象外)
工事費 基礎、設備の据付、電気配管および柵塀(柵塀の購入費を含む)に係る工事費
接続費 送配電事業者の系統への電源線、遮断器、計量器、系統設備に対する工事費負担金

需要地の敷地内や、居宅・集合住宅の屋根に設置する設備は補助対象外です。

申請方法

令和6年度公募では、gBizIDを取得したうえで、Jグランツの事業者申請用ページから電子申請する方式でした。申請様式や申請書作成ガイドは執行団体のサイトで公開されていました。

補助事業の一般的な流れ

  1. 需要家・小売電気事業者との条件調整、系統連系の接続検討
  2. 公募への申請(発電事業者)
  3. 審査・採択
  4. 交付申請・交付決定
  5. 設備の設置工事(交付決定後に着手)
  6. 運転開始・完了実績報告
  7. 検査・補助金額の確定
  8. 補助金の請求・交付
  9. 事業終了後も、経済産業省や執行団体の求めに応じた発電事業の状況報告

事業終了後に要件を満たさなくなった場合は、補助金の返還を求められることがあります。また、利用契約期間中は需要家・小売電気事業者を変更できません。

これまでの公募の経緯

予算 事業名・主な内容
令和3年度補正 需要家主導による太陽光発電導入促進補助金。交付決定額は約80.9億円(事業終了時)
令和4年度 需要家主導による太陽光発電導入促進補助金。交付決定額は約80.3億円(事業終了時)
令和4年度第2次補正 需要家主導型太陽光発電導入支援事業/再生可能エネルギー電源併設型蓄電池導入支援事業
令和5年度 需要家主導太陽光発電導入促進事業。応募期間は令和5年6月23日〜8月10日。補助率1/2以内(自治体連携型2/3以内)、蓄電池1/3以内。合計2MW以上、23.6万円/kW未満、8年以上の利用契約、2024年2月29日までの運転開始などが条件。交付決定額は約74.6億円(事業終了時)
令和5年度補正 需要家主導型太陽光発電・再生可能エネルギー電源併設型蓄電池導入支援事業。2025年1月の第三次公募で締切。執行団体サイトでは次年度の募集予定はないとしています
令和6年度 需要家主導型太陽光発電導入支援事業/再生可能エネルギー電源併設型蓄電池導入支援事業。2024年10〜11月に申請締切、同年12月に採択決定

このように、補助率や設備単価の上限、運転開始期限は年度ごとに変更されてきました。次に公募が行われる場合も、要件が変わる可能性があります。

需要家主導型で太陽光発電を導入するメリット

長期間の再エネ電気を確保できる

8年以上の長期契約に基づいて、特定の発電所から再生可能エネルギーの電気を調達できます。新設の発電設備から電気を受けるため、再生可能エネルギーの導入量そのものを増やす取組になります。

電気料金の見通しを立てやすい

長期の契約条件をあらかじめ定めるため、契約内容によっては市場価格の変動の影響を受けにくい調達方法になります。例えば下記のパナソニックの事例では、20年間の固定価格契約が結ばれています。

エネルギー危機への備え

国内で発電する再生可能エネルギーの割合を高めることは、輸入燃料の価格変動の影響を受けにくい経済構造への転換につながります。本事業も、エネルギー危機に強い経済構造への転換を目的に掲げています。

事例

執行団体は、過去の事業の活用事例を公表しています。

パナソニック オペレーショナルエクセレンス株式会社(令和3年度補正予算)

需要家・小売電気事業者はパナソニック オペレーショナルエクセレンス株式会社、発電事業者は関電エコスタイル太陽光発電合同会社です。1サイトあたり49.5kWの小規模な太陽光発電所を各地に設置し(合計18MW)、大阪・兵庫・和歌山・徳島の11工場に20年間の固定価格契約で供給しています(2022年10月供給開始)。

一般財団法人泉佐野電力(令和4年度予算)

自治体新電力の一般財団法人泉佐野電力が小売電気事業者となり、泉佐野市が公募で選んだ三井住友建設株式会社が発電事業者として、市が所有するため池に太陽光発電設備を設置した事例です。自治体連携型として最大2/3の補助率が適用されました。令和3年度補正予算の公募には間に合わず、令和4年度予算で申請したと紹介されており、早めの準備の重要性がうかがえます。

関連する制度:環境省のストレージパリティ事業

自社の敷地内で自家消費型の太陽光発電設備と蓄電池を導入する場合は、環境省の「ストレージパリティの達成に向けた太陽光発電設備等の価格低減促進事業」が関連します。こちらはオンサイトPPA等による自家消費型の設備が対象で、需要家主導型(オフサイトの発電所から長期契約で供給を受ける形)とは仕組みが異なります。令和8年度は、二次公募が2026年10月2日正午に締め切られています。

よくある質問

どの省庁が所管していますか?

資源エネルギー庁(省エネルギー・新エネルギー部 新エネルギー課)が所管し、令和3年度補正予算以降の事業では、一般社団法人太陽光発電協会(JPEA)が執行団体を務めてきました。

現在、申請することはできますか?

2026年10月時点で、執行団体のサイトで確認できる最新の公募は令和6年度予算分で、すでに締め切られています。新たな公募の有無は、資源エネルギー庁と執行団体の発表を確認してください。

FIT・FIPの設備は対象になりますか?

対象になりません。再エネ特措法の認定計画に含まれない、非FIT・非FIPの新設設備が対象です。

まとめ

需要家主導型太陽光発電の補助事業は、需要家・発電事業者・小売電気事業者が連携し、非FIT・非FIPの太陽光発電設備を新設して長期契約で電気を供給する取組を支援するものです。令和6年度公募では、2MW以上30MW未満、23.9万円/kW未満、8年以上の利用契約などが要件で、補助率は原則1/3以内(自治体連携型2/3以内、類型により1/2以内)でした。2026年10月時点では新たな公募は確認できないため、導入を検討する場合は、資源エネルギー庁と執行団体の情報を確認しながら、需要家・小売電気事業者との条件調整や系統連系の検討を前もって進めておくことが大切です。

需要家主導型太陽光発電に関する用語

用語 説明
需要家 電気の供給を受けて使用する企業・団体など
非FIT・非FIP 固定価格買取制度(FIT)やFIP制度の認定を受けていない発電設備
FIP制度 再生可能エネルギーの発電事業者が市場で売電する際、売電価格に一定の補助額(プレミアム)を上乗せする制度
オフサイトPPA 需要家の敷地外に設置した発電所から、送配電網を通じて電気を長期契約で調達する方式
自治体連携型 地方公共団体の所有地への設置や、地方公共団体が出資する事業者による供給など、自治体と連携した事業類型

参考資料

著者のプロフィール

タンソーマン 事務局
株式会社タンソーマンGXのメディア編集長です!日々、脱炭素に関わる情報を発信しています♪

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