2023年、エルニーニョ現象による史上最高気温が記録される中、欧米では「global wariming/地球温暖化」なんて簡単なことではない「global boiling/地球沸騰化」の段階にきていると言われます。
自然災害のリスクも他人事ではなくなっている昨今、気象リテラシーの向上と人材確保の重要性が注目され始めています。
気象リテラシーと地球温暖化
世界中が脱炭素に取り組む一番の理由は、地球温暖化による気候変動、気候変動がもたらす破壊的な自然災害を避けるたです。
ここ数年で自然災害の発生率は劇的に増え、2023年だけでも相当数にのぼります。
脱炭素を加速させることで、気候変動によるこれらの自然災害は回避できるとされていますが、今すぐカーボンニュートラルを実現して災害を終始させることは不可能です。
地球温暖化をどう予想するのか
- 1月:南スーダンで歴史的大洪水
- 4月:インドとバングラディシュで史上最悪の熱波
- 6月:日本で台風2号
- 7月:カナダ森林火災
- 8月:ハワイ・ギリシャが炎上
というように大規模な被害が記録され続けています。
ドイツの気象アナリスト(Nadine Fleishhut)によると、「自然災害による大規模な被害は、まさに温暖化への予想や気象予報がいかに不十分であるかの現れでもある」と対策の不備と気象リテラシーの欠如を指摘しています。
ここで、今すぐ地球温暖化を回避できないとするなら、その影響をどう予想するかが、被害を最小減に抑えるために重要だとの見解です。
もし、現在のように相次ぐ災害が予想できていたなら、相応の備えができていたはずです。
参照:【2023年の異常気象】洪水・干ばつ・猛暑・森林火災 – 国際NGOグリーンピース
参照:Weather Literacy in Times of Climate Change – AMS Journal
気象リテラシーを高める必要性
沸騰状態だといわれる地球温暖化に向けて、企業がすべきことは一般的にいわれる脱炭素経営だけでは不十分だということです。
脱炭素経営は、
- ①CO2排出削減
- ②環境保全への貢献
- ③次世代に向けた経営革新
と3つの柱で構築されます。
これらに加えてさらに必要となるのが、
- ④温暖化へ備え
です。
温暖化がもたらす、数々の気候変動から事業が受ける影響を適切に分析・評価し、経営計画に織り込む必要があります。
近年の気象情報と災害との関連性を正しく理解・分析・予想し、備えていかねばなりません。
地球温暖化への取り組みとして、緩和作用をもつ脱炭素と同時に、適応力となる気象リテラシーを高めていくことが企業の緊急課題ともいえるのです。
参照:気候変動への適応に向けて企業のとるべき戦略 – 三菱UFJリサーチ
気象予報士とは
高い気象リテラシーを有する専門職に、気象予報士という業種があります。
気象予報士とは、高度な気象情報・データを読み解く技術や知見を持つことを、気象庁によって認定されている者のことです。
気象情報を読み取るのは難しい
気象情報は、従来から気象庁や民間業者による気象観測や予報などが提供されてきました。
近年の解析技術・インターネット事業の進展に伴い、非常に高度で複雑化しています。
気象衛星等の観測データ・気象レーダー、スーパーコンピューターを用いた数値分析など、精密でかつ膨大な数の情報があります。
利用者の約9割が、予報業務以外の他業者であるといわれています。
おもな気象情報データの利用者は、電力会社、損害保険、小売り、建設、農業、鉄道、物流などです。
すでに気候変動や災害リスクを織り込んだ商品・サービスの開発が行われています。
利用者のほとんとが、豊富な情報に満足する一方で、効果的に活用を行う場合は、気象に対する高いリテラシーが必要だという意見もあります。
参照:DX社会に対応した気象サービスの推進 – 交通政策審議会気象文科会
気象予報士制度とは
気象予報士制度とは、気象業務法の改正によって導入された制度のことで、国家資格の1つです。
防災情報とダイレクトな関係を持つ気象情報が、不適切に使われることがないよう創設されました。
予報業務を行う事業者は、現象の予想を気象予報士に行わせることが義務づけられています。
気象予報士となるためには、気象予報士テストに合格し、気象庁長官の登録を受けることが必要です。
試験の合格率は4.0%程度だといわれています。
気象予報士レベルの人材確保
気象庁によると、2023年4月時点での気象予報士の数は11,690名が登録、そのうち3,000名以上が「一般社団法人日本気象予報士会の会員」です。
日本気象予報士会では、気象技能の研鑽、安全知識の普及啓発、気象情報の利活用推進など社会貢献活動を行っています。
気象予報士レベルの人材育成や、人材確保に関して相談・利用してみてもよいでしょう。
著者のプロフィール
- 太陽光発電・蓄電池等を専門とする住宅設備会社での勤務歴10年。再エネの専門知識からエネルギー系の株式投資と記事執筆を開始する。エネルギー専門の投資家兼ライターとして独立して7年。過去にNY、ロンドンの移住歴あり、国内・海外メディアを駆使した情報収集が強み。
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