環境・エネルギー対策資金(GX関連)とは?流れについて解説

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環境・エネルギー対策資金にはGX(グリーントランスフォーメーション)を対象とするものがあり、最大で7億2,000万円の融資を受けられます。

GXとは、環境に優しいエネルギーの利用拡大を目指す取り組みのことです。

今回の記事では環境・エネルギー対策資金(GX関連)について、以下の事項を解説します。

  • 事業の概要
  • メリット・デメリット
  • 対象事業者
  • 全体の流れ
  • 提出書類と申請方法
  • 審査基準と採択のコツ
  • 融資後の義務

本記事を通じて融資の対象事業者や利率、返済期間の基本情報に加え、効果的な事業計画の策定方法を理解できます。

目次

環境・エネルギー対策資金(GX関連)とは?

環境・エネルギー対策資金は、日本政策金融公庫が提供している融資の1つで、「国民生活事業」と「中小企業事業」に分かれています。

国民生活事業は7種類に、中小企業事業は9種類に区分されます。

国民生活事業

(画像をタップしてご確認ください)

※具体的な利率は日本政策金融公庫のホームページを参照

参照:環境・エネルギー対策資金|日本政策金融公庫

中小企業事業

(画像をタップしてご確認ください)

※具体的な利率は日本政策金融公庫のホームページを参照 

参照:環境・エネルギー対策資金|日本政策金融公庫

本記事で取り扱うのは、環境・エネルギー対策資金における中小企業事業のGX関連です。
GX関連の詳細を以下の表にまとめました。

項目詳細
融資の対象者温室効果ガス排出量を算定し、GX(グリーントランスフォーメーション)に取り組む事業者
利用可能な資金グリーントランスフォーメーション推進計画実施のための設備資金(更新・増強も対象)長期運転資金(温室効果ガス排出量の把握、第三者検証費用など)
融資限度額直接貸付:最大7億2,000万円代理貸付:最大1億2,000万円
返済期間設備資金:20年以内(据置期間2年以内)運転資金:7年以内(据置期間2年以内)
利率※設備資金:4億円まで特別利率①(0.80~1.80%)、4億円を超えた金額は基準利率(1.20~2.20%)運転資金:基準利率(1.20~2.20%)
特別利率条件J-クレジット制度エコアクション21ISO14064-1SBT認定を受けた場合に特別利率を適用
担保・保証人担保の設定や種類は相談後に決定直接貸付では一定の条件下で経営責任者の個人保証が必要
申込方法直接貸付:日本公庫各支店の中小企業事業窓口代理貸付:日本公庫中小企業事業の代理店窓口

※具体的な利率は日本政策金融公庫のホームページを参照 

参照:環境・エネルギー対策資金|日本政策金融公庫

環境・エネルギー対策資金(GX関連)のメリット

環境・エネルギー対策資金(GX関連)には、以下のようなメリットがあります。
メリットが事業目的と合致するか確認しましょう。

長期の資金調達

環境・エネルギー対策資金を利用することで、長期の資金調達が可能です。
環境やエネルギー関連の設備導入には施設の建設や運営に高額な資金が必要になります。

そのため長期間にわたる投資回収期間を考慮しなければならず、投資に踏み切れないケースも少なくありません。

長期的な資金提供により企業は財務の安定性を獲得できるため、短期的な資金調達では難しい事業計画の策定ができます。
たとえば再生可能エネルギーへの転換、大がかりな省エネ設備の導入などです。

長期的な資金調達は、企業が環境対策と経済成長を両立させるうえで重要な役割を果たし、持続可能な社会の構築に貢献します。

参照:よくあるご質問 事業を営む方 中小企業の方|日本政策金融公庫 Q2

長期的な返済期間

環境・エネルギー対策資金(GX関連)は、返済期間を最大20年までと長期に設定可能です。
財務負担を長期にわたって分散できるため、資金繰りの負担を軽減し、企業の事業における安定的な運営を支えるのです。

長期の返済期間は、環境改善やエネルギー効率化に関わる大規模な投資に適しています。
このような投資はしばしば高額であり、短期間内に回収が難しいです。

たとえば産業用にメガソーラー発電設備を導入する場合、4~6億円かかると試算されています。

参照:再生可能エネルギーの導入見込量について p.11

長期的な返済期間は企業が財務面での安定性を保ちながら、環境への貢献と事業の成長を可能にするのです。

信頼性のある情報受信

環境・エネルギー対策資金(GX関連)を利用するメリットの1つは、信頼できる情報の提供を受けられることです。
日本公庫の中小企業事業では、単に融資を提供するだけでなく、中長期的な視点で企業経営に役立つ情報を提供します。

公庫から提供される情報は、公庫が長年にわたり培ってきた審査力とさまざまな顧客データに基づいたものです。
環境やエネルギー関連の事業においては、市場の動向、技術の進化、法規制の変更など、多岐にわたる要素が経営に影響を及ぼす可能性があります。

公庫から提供される情報は変化に対応したものであり、各企業の具体的な状況に合わせた「生きた情報」として、非常に価値が高いものです。

情報の活用により、企業は適切な経営戦略を立てられるため、市場の変動に迅速かつ効果的に対応することができるでしょう。

日本公庫からの情報提供は、企業の成長と持続可能な経営に向けた強力な支援となるのです。

参照:よくあるご質問 事業を営む方 中小企業の方|日本政策金融公庫 Q2

環境・エネルギー対策資金(GX関連)のデメリット

長期にわたる資金提供や返済期間などのメリットが環境・エネルギー対策資金(GX関連)にはありますが、デメリットも存在します。

返還の義務

環境・エネルギー対策資金(GX関連)を利用する際に考慮すべきデメリットの1つは、返還の義務です。

資金は融資形式で提供されるため、借りた金額に利息を付けて返済する必要があります。
不正行為がない限り返済の必要がない補助金や助成金とは、大きく異なります。

環境・エネルギー対策資金(GX関連)は通常の銀行融資に比べて低い利率での提供が可能ですが、それでも返済は企業の財務計画に影響を及ぼすでしょう。

特に大きな金額を借り入れる場合、返済期間が十年単位に及ぶこともあります。

したがって、融資を受ける際には、企業は長期的な返済計画を慎重に立て、将来の財務状況に十分な注意を払う必要があります。

綿密な計画を策定することで、資金の有効活用と返済義務のバランスを適切に維持できるでしょう。

特別利率の取り消しリスク

環境・エネルギー対策資金(GX関連)の利用において、融資当初に適用されていた特別利率が取り消されるリスクがあります。

資金制度は国の政策に基づいており、資金の使用目的が厳格に定められています。
契約後、資金が予定通りに使用されない場合、特別利率の適用を失う可能性があるのです。

事業計画や資金使途の変更には、注意しなければなりません。

特別利率が取り消されると貸付当初の基準利率に戻され、特別利率と基準利率の差額が追加で請求されます。
さらに残っている元金の繰り上げ返済が必要になることがあります。

企業の財務負担が増大し、計画していた事業運営に影響を及ぼすかもしれません。

環境・エネルギー対策資金を利用する際には、契約時に定められた資金の使用目的を守り、事業計画や資金計画に変更が生じた場合は速やかに担当者に相談することが重要です。

特別利率の取り消しリスクを最小限に抑え、企業が計画した事業展開を安定的に行うことが可能になります。

融資後の厳格な管理

環境・エネルギー対策資金(GX関連)の融資を受けた後は、資金の厳格な管理が必要です。

資金制度を利用する企業は、定められた資金の使途に従って資金を使用し、関連する書類を整理して保存しなければなりません。

具体的には決算関係書類や固定資産台帳などの資産計上証拠書類、帳簿類の整理などです。
実際に書類確認が行われることもあります。

事業計画や資金計画に変更が生じた際に融資の条件と異なると判断されると、特別利率の適用が取り消される可能性もあります。
その結果、貸付当初の基準利率への戻しと、残っている元金の繰り上げ返済が必要になるかもしれません。

そのため融資を受けた企業は必要な書類は適切に管理し、計画の変更や資金の使途に関しては事前に融資機関に相談し、承認を得ることが重要です。

企業は、融資後の管理においても注意深く対応する必要があります。

環境・エネルギー対策資金(GX関連)の対象企業

環境・エネルギー対策資金(GX関連)の対象となるのは、温室効果ガス排出量を算定し、GX(グリーントランスフォーメーション)に取り組む中小企業です。

GXとは、化石燃料の代わりに環境に優しいエネルギーを活用するために必要な改革や取り組みを行うことです。

参照:知っておきたい経済の基礎知識~GXって何? | 経済産業省 METI Journal ONLINE

中小企業の定義については、以下の表を確認してください。

業種資本金従業員数
製造業、建設業、運輸業など3億円以下300人以下
ゴム製品製造業(特定業種)3億円以下900人以下
卸売業1億円以下100人以下
小売業・飲食店5,000万円以下50人以下
サービス業(特定業種を除く)5,000万円以下100人以下
旅館業(サービス業内)5,000万円以下200人以下
ソフトウェア業、情報処理サービス業(サービス業内)3億円以下300人以下

参照:融資対象 | 日本政策金融公庫

中小企業の定義を満たしていたとしても、以下の業種は融資の対象外となります。

  • 農業
  • 林業
  • 漁業
  • 金融・保険業の一部
  • 不動産業のうち住宅および住宅用の土地の賃貸業
  • 非営利団体
  • 一部の風俗営業
  • 公序良俗に反する事業
  • 投機的な事業
  • 独立行政法人福祉医療機構の融資対象となる事業

参照:融資対象 | 日本政策金融公庫

環境・エネルギー対策資金(GX関連)の事業アイデア

環境・エネルギー対策(GX関連)の取り組みに関する事業アイデアを考える際には、現状の温室効果ガス排出量を正確に算定することが重要です。

どの分野で改善が可能か、どの程度の削減が実現可能かが明確になります。
その後、エネルギー効率の高い機器への更新や、再生可能エネルギーへの切り替えなど、具体的な施策を検討しましょう。

たとえば太陽光発電や風力発電の導入、エネルギー効率の高い製造機械への更新、廃棄物のリサイクルや再利用システムの導入などが考えられます。

このような施策は、J-クレジット制度エコアクション21ISO14064-1SBT認定などの認証取得にもつながるため、特別利率の適用を受けやすくなります。

現在の環境負荷を理解し、どのように改善できるかを検討することも重要です。

環境に配慮した改善策を考える際には、業界の最新動向や技術革新にも注目し、持続可能で効果的な解決策を考えましょう。
改善策をうまく事業計画に落とし込めれば、融資を受けやすくなります。

参照:環境・エネルギー対策資金|日本政策金融公庫

環境・エネルギー対策資金(GX関連)の流れについて

環境・エネルギー対策資金(GX関連)の大まかな流れは、以下の通りです。

1.相談

環境・エネルギー対策資金(GX関連)の利用を考えている企業は、日本公庫の各支店に訪れるか、電話や商工会議所での定例相談を利用して事業に関する相談を行いましょう。

相談時に会社案内や決算書、事業計画書などの資料を持参すると、より具体的で詳細な相談が可能になります。

2.申し込み

相談後は、融資の申し込みに移ります。
申し込みには、法人の登記事項証明書や最新3期分の決算書・税務申告書、納税証明書などの必要書類の提出が求められます。

設備投資を予定している場合は、設備の概要がわかる資料や見積書などの提出も必要です。
担保に関する資料も、必要に応じて準備しましょう。

3.審査

申し込みが完了した後は、日本公庫の職員が企業の本社や事業計画予定地を訪問し、事業内容や計画の理解を深めるための審査を実施します。

審査を通じて、融資の可否が決定されます。

4.融資

融資が承認されると、次は貸付契約の打ち合わせです。

打ち合わせでは、貸付契約の条件や抵当権の設定などの手続きが進められ、手続き完了後に融資金が送金されます。

5.返済

融資を受けた後、返済が開始されます。
返済は通常、元金均等割賦返済方式で行われ、企業の取引金融機関の口座から自動振替での支払いが基本です。

設備資金を利用した場合は、取得が適切に行われたかの報告や固定資産台帳への計上、現地での確認が求められます。

返済方法には元利均等払い方式など他の選択肢もありますので、詳細は日本公庫に直接問い合わせると良いでしょう。

参照:中小企業の方|日本政策金融公庫

申請手続きの事前準備と必要書類

環境・エネルギー対策(GX関連)を申請する際に必要な事前準備として、日本公庫の各支店に設置されている中小企業事業の窓口への相談があります。

電話や商工会議所で行われる定例相談の場でも相談可能です。

相談する際は、関連書類を手元に準備するとより具体的な話し合いが可能です。
例えば、以下の書類が挙げられます。

  • 会社案内
  • 決算書
  • 事業計画書

参照:中小企業の方|日本政策金融公庫

申し込みに必要な書類を以下の表に記載しています。記載した書類以外にも、提出しなければならない書類が出てくる可能性があります。

詳細は、日本公庫の窓口に問い合わせて確認しましょう。

提出書類備考
会社案内、製品カタログなどの参考資料特記事項なし
法人の登記事項証明書
最新3期分の決算書・税務申告書
納税証明書
最近の試算表決算月から時間が経っている場合に提出
見積書など設備投資を行う場合、投資の概要がわかる資料を提出
登記事項証明書など担保の内容がわかる資料を提出
GX推進計画書(炭素生産性の向上にかかる取組)該当者のみ提出記入例はこちらからダウンロード
GX推進計画書(グリーン分野にかかる取組)該当者のみ提出記入例はこちらからダウンロード
二酸化炭素排出量集計表特記事項なし

「参照」
中小企業の方|日本政策金融公庫
各種書式ダウンロード|国民生活事業|日本政策金融公庫

申請前に確認すべき融資の審査基準

環境・エネルギー対策(GX関連)の融資における審査については、申請者の業績や今後の事業展望、産業の現状と将来の動向、そして提出された計画の具体性や実現可能性を総合的に評価する方法が取られています。

具体的には申請者の過去の財務状況や事業成果を詳細に検討し、そのうえで提案された事業計画が業界の現状に適合しているかが評価基準です。

事業計画の実現性、収益性、および持続可能性が重要な判断材料となります。
さらに事業計画は市場での競争力、技術革新への対応力、環境への影響も評価されます。

さまざまな要素を総合的に考慮し、融資の可否が決定されるのです。

参照:よくあるご質問 事業を営む方 中小企業の方|日本政策金融公庫 Q15

窓口またはオンライン申請の方法

中小企業事業向けの窓口が設置されていることを考慮すると、書類は窓口へ郵送する形式だと思われます。
詳細は、日本公庫に確認しましょう。

書類の提出先は、本社の所在地によって異なります。
中小企業事業の窓口が設置されている支店を以下にまとめましたので、確認してください。

参照:よくあるご質問 事業を営む方 中小企業の方|日本政策金融公庫 Q14

支店名業務区域
札幌支店北海道内の札幌市、小樽市、室蘭市など指定された市および石狩地域、後志地域など
函館支店北海道内の函館市、北斗市および渡島地域、檜山地域
旭川支店北海道内の旭川市、北見市、網走市など指定された市および上川地域、留萌地域など
釧路支店北海道内の釧路市、帯広市、根室市および釧路地域、十勝地域、根室地域
青森支店青森県全域
盛岡支店岩手県全域
仙台支店宮城県全域
秋田支店秋田県全域
山形支店山形県全域
福島支店福島県全域
水戸支店茨城県内の水戸市、日立市、土浦市など指定された市および東茨城郡、那珂郡など
宇都宮支店栃木県全域
前橋支店群馬県全域
さいたま支店埼玉県全域
千葉支店千葉県の指定された市町村および地域
東京支店中小企業営一事業東京都の千代田区および港区
東京支店中小企業営二事業東京都の中央区および台東区
東京支店中小企業営三事業東京都の墨田区、江東区、江戸川区
新宿支店東京都の指定された市区町村および島しょ部*島しょ地域とは、大島・利島・新島・式根島・神津島・三宅島・御蔵島・八丈島・青ヶ島・父島・母島を指します。
大森支店東京都の品川区および大田区
池袋支店東京都の豊島区、北区、板橋区、練馬区および指定された市
千住支店茨城県および千葉県の指定された市町村、東京都の荒川区、足立区、葛飾区
立川支店東京都の指定された市区町村および郡
横浜支店神奈川県の指定された市および郡
厚木支店神奈川県の指定された市および郡
新潟支店新潟県全域
富山支店富山県全域
金沢支店石川県全域
福井支店福井県全域
甲府支店山梨県全域
松本支店長野県全域
岐阜支店岐阜県全域
静岡支店静岡県の指定された市町村および郡
浜松支店静岡県の指定された市および郡
名古屋支店愛知県名古屋市の指定された区および周辺市町村
熱田支店
岡崎支店愛知県の指定された市および郡
津支店三重県全域
大津支店滋賀県全域
京都支店京都府全域
大阪支店中小企業営一事業大阪府大阪市の指定された区および周辺市町村
大阪支店中小企業営二事業大阪府大阪市の指定された区および周辺市
大阪西支店大阪府大阪市の指定された区
阿倍野支店
堺支店大阪府の指定された市および郡
東大阪支店大阪府の指定された市
神戸支店兵庫県全域
奈良支店奈良県全域
和歌山支店和歌山県全域
鳥取支店鳥取県全域
松江支店島根県全域
岡山支店岡山県全域
広島支店広島県全域
下関支店山口県全域
徳島支店徳島県全域
高松支店香川県全域
松山支店愛媛県全域
高知支店高知県全域
福岡支店福岡県の指定された市および郡
北九州支店
佐賀支店佐賀県全域
長崎支店長崎県全域
熊本支店熊本県全域
大分支店大分県全域
宮崎支店宮崎県全域
鹿児島支店鹿児島県全域

参照:中小企業事業の専門職員が常駐する支店の業務区域一覧

環境・エネルギー対策資金(GX関連)の受け取り方法

環境・エネルギー対策資金の受け取り方法は、指定した預金口座への振込です。
送金手数料として220円(消費税込)が必要なこともあらかじめ把握しておきましょう。

送金日と金額は、公庫の担当者との打ち合わせで決定されます。
契約時に追加担保などの条件がある場合は資金の一部の払出しを留保することもあるため、金銭消費貸借契約証書の特約条項を確認することが重要です。

新たに抵当権の設定などが必要な場合は、登記手続きが完了してから資金が送られます。

公庫から渡された書類で登記手続きを行い、登記完了後には法務局から交付される契約証書(原本)、登記完了証、登記識別情報通知とともに、登記事項証明書を提出する必要があります。

順位変更や担保の譲り受けなどの手続きが必要な場合や、動産以外の担保を提供する場合は別途必要な手続きがあるため、公庫の担当者に詳細を問い合わせてください。

抵当権の設定に関しては登録免許税が免除されますが、順位変更登記や資本金額が5億円以上の法人が債務者である場合、抵当権認定登記には登録免許税が必要です。

登記手続きや抵当権の設定などの必要な手続きを行うことで、資金を受け取れます。

参照:日本公庫 中小企業事業資金のご利用にあたって|日本政策金融公庫

環境・エネルギー対策資金(GX関連)の交付後について

環境・エネルギー対策資金(GX)の融資を受け取った後、対応しなければならない義務が複数あります。

返済の義務

環境・エネルギー対策資金を受け取った後は、返済が不可欠です、返済は原則として、預金口座から定められた日に自動で振替されます。

口座の変更や解約を考えている場合は、事前に公庫に連絡しましょう。

払込み計算書の対応

抵当権の設定などが完了し、融資金の一部または全額が公庫によって預かり中の場合、払込み計算書が送られてきます。

計算書は約定日の約3日前に送付されるため、届かない場合は速やかに公庫に連絡しなければなりません。

資金の使途

資金の使途に関しては国の政策に基づき定められているため、計画通りに資金を利用できない場合は、速やかに公庫の担当者に相談することが重要です。

特に特別利率を利用している場合は、利率の取り消しや基準利率との差額の支払い、さらには残元金の繰上償還が必要となる可能性があります。

金銭消費貸借契約証書に記載されている手続きについては、条件が整い次第進められます。
追加担保設定が必要な物件が完成した場合などは、公庫の担当者に連絡することが必要です。

設備資金における支払いの遅延

設備資金を利用する際に工事業者等への支払いが3ヵ月以上遅れる場合は、公庫に通知しなければなりません。

工事の完成や工事代金の支払いが終わった際には、貸付契約日から6ヵ月以内に領収書類の写しを公庫に提出します。
工事や代金の支払いが遅れる場合は、同じように6ヵ月ごとに提出が必要です。

計画変更時の対応

計画の変更は、公庫の承認を受けた場合以外は認められません。設備の変更や用途の変更、設備金額の増減がある場合には、速やかに公庫に連絡しましょう。

公庫の承認なしに計画を変更した場合や資産計上の確認ができない場合は、特別利率の取り消しや追加の費用発生のリスクがあります。

また融資対象物件の登記や登録は、借入者名義で行うことが必須です。

参照:日本公庫 中小企業事業資金のご利用にあたって|日本政策金融公庫

環境・エネルギー対策資金(GX関連)の審査を通りやすくするコツ

環境・エネルギー対策(GX関連)の融資を申し込む際に審査を通過しやすくするためには事業の過去の業績を整理し、堅実で信頼性のある経営が行われていることを示すことが重要です。

事業計画に市場分析や収益予測などの具体的かつ現実的な内容を盛り込めると計画の実現可能性を高められるため、高評価を受けやすくなります。

業界の動向に関する深い理解と業界内での自社の位置づけや競争力を明確にすることも重要です。
さらに環境やエネルギーに関する対策を取り入れる手法も効果的です。

自社の業績や信頼性を示しつつ、収益性や環境保全に関する要素を漏れなく事業計画に記載することで融資の承認を受けやすくなります。

参照:よくあるご質問 事業を営む方 中小企業の方|日本政策金融公庫 Q15

環境・エネルギー対策資金(GX関連)を受け取るポイントや注意点

環境・エネルギー対策資金の受け取りに際して、提供された資金は迅速かつ計画通りに使用しましょう。

例えば、工事業者への支払いが貸付契約後3ヵ月を超える場合または資金が3ヵ月以上使用されない場合は、特別利率の適用が取り消される可能性があります。

特別利率が取り消されると企業は貸付当初の基準利率との差額を支払い、未返済の融資金(残元金)の繰り上げ返済が求められる場合もあります。

繰り上げ返済とは計画された返済計画よりも早く、残っている借入金の全額を返済することです。
場合によっては、財務状況をひっ迫するおそれがあります。

事業計画や資金計画の変更は、事前に公庫の承認を得ることが必要です。
設備の変更、用途の変更、設備金額の増減などが生じた場合には、速やかに事業担当者に連絡を取りましょう。

資金の使用が当初の事業計画から逸脱していると判断された場合、特別利率の取り消しと、残元金の繰り上げ返済が課される可能性があるため、慎重な計画と実行が必要です。

参照:日本公庫 中小企業事業資金のご利用にあたって|日本政策金融公庫

まとめ

環境・エネルギー対策資金(GX)には長期の資金調達、長期的な返済期間、信頼性のある情報受信のメリットがあります。
しかし、返還の義務、特別利率の取り消しリスク、融資後の厳格な管理などのデメリットも考慮すべきです。

温室効果ガス排出量を算定し、GXに取り組む中小企業が融資の対象となります。
環境・エネルギー対策資金(GX関連)の大まかな流れは、以下の通りです。

  1. 相談
  2. 申し込み
  3. 審査
  4. 融資
  5. 返済

申し込みに必要な書類を以下にまとめています。
提出書類が増える場合もあるため、公庫に確認しましょう。

  1. 会社案内、製品カタログなどの参考資料
  2. 法人の登記事項証明書
  3. 最新3期分の決算書・税務申告書
  4. 納税証明書
  5. 最近の試算表
  6. 見積書など
  7. 登記事項証明書など
  8. GX推進計画書(炭素生産性の向上にかかる取組)
  9. GX推進計画書(グリーン分野にかかる取組)
  10. 二酸化炭素排出量集計表

申請は、本社所在地に近い日本公庫の中小企業事業向け窓口に書類を提出する形式で行います。
審査は過去の業績、将来の事業展望、業界の動向、計画の具体性に焦点を当てて行われます。

提供された資金は計画通りに使用し、変更がある場合は公庫の承認が必要です。
不適切な資金使用は、特別利率の取消や残元金の繰り上げ返済を招くため、注意しましょう。

著者のプロフィール

川田 幸寛
小学校教員として、カーボンニュートラルや脱炭素に関する授業を行った経験がある。子どもたちが理解できるように、専門用語を分かりやすく、かみ砕いて説明することを心がけた。この経験を活かし、脱炭素化の重要性を広く伝えるために、誰にとっても理解しやすい記事を作成している。

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総編集長
福元 惇二(フクモト ジュンジ)

タンソーマンプロジェクト発起人であり、タンソチェック開発を行うmedidas株式会社の代表。タンソーマンメディアでは、総編集長を務め、記事も執筆を行う。

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