CO2排出0を実現する完全な脱炭素への道のりは、すごく時間がかかり難しいです。
その第一歩として、まず身近な省エネに取り組むことから始めましょう。
省エネは、脱炭素経営を目指す全ての企業の入口として、非常に重要な取り組みです。
本記事では、企業が省エネに取り組む意義と、実践しやすい省エネテクニックを、具体的な実践例を交えながら詳しく解説していきます。
日々の社内の省エネから始めてみる
脱炭素経営で最初に取り組む、エネルギー使用量の把握ができたら、具体的な取り組みとしては、まず省エネから始めてみましょう。
省エネに取り組む意義は、企業が消費するエネルギーを削減できることだけでなく、事業活動の様々な場面におけるエネルギー消費の実態を、より深く把握出来ることにあります。
全体的なエネルギー使用量を把握しただけでは、現場において、どこに?どのくらいエネルギーが消費されているかは、なかなか見えてきません。
現場レベルで省エネに取り組むことで、精度の高いエネルギー消費の実態を把握することが出来るようになります。
大切なことは目標を見失わないこと
省エネに取り組む上で大切なことは、最終的な脱炭素経営の目標を見失わないことです。
省エネに取り組むと、どうしてもエネルギーの削減自体に一喜一憂し、省エネ自体が目的になってしまいがちです。
しかし、省エネはあくまでも手段であり、最終的な目標はCO2排出0を実現することのはずです。
その目標を達成するためのひとつの手段が、省エネであるという位置づけを忘れてはいけません。
省エネだけでは、いつか必ず頭打ちになる時がやってきます。
その時に、省エネ自体が目的になっていると、そこで取り組みが終わってしまいます。
まずはすぐに取り組める省エネを始めてみた結果、最終的なゴールと現状のギャップが浮彫りになり、その困難さが理解できるはずです。
省エネだけでは、目標にたどりつけない事に気が付くことができれば、根本的な製造プロセスの見直しや、生産設備の更新や導入を、具体的に検討することも必要になると思います。
業務の進め方や、社員の働き方を見直す必要もあるかもしれません。
最終的な目標を見失わずに省エネに取り組むことができれば、結果に一喜一憂することなく、省エネの成果や課題を、次のステップに活かすことが出来るようになり、確実に目標達成に向けた取り組みを、進めることが出来るようになるのです。
企業の省エネを後押しする制度も活用する
事業規模の大きい企業の場合、国の法律である省エネ法(ネルギーの使用の合理化等に関する法律)が適用されることから、すでに日頃から省エネに取り組んでいるケースが多く見られます。
一方で、中小企業や事業規模の小さい企業では、まだまだ省エネへの取り組みが進んでいない現状があります。
そのため国は、特に中小企業の省エネを後押しする制度を多く用意しています。
例えば、省エネに繋がる設備の更新や導入に対する補助金が、環境省や経済産業省から出されています。
また、一般社団法人省エネルギーセンターでは、認定された省エネ診断士による、企業の省エネ診断を安い費用で受けることができ、現在のエネルギー使用状況から、適切な省エネに関するアドバイスなどを受けることが可能です。
こういった制度をフル活用することで、費用を抑えてより効果的な省エネに取り組むことが可能になります。
実践しやすい「省エネ」のテクニック16選
それでは、いくつか企業が実践しやすい省エネのテクニックとして、具体的な実践例をあげていきます。
省エネを考える際には、電気(電源)・空調・照明・水といった分野に分けて、それぞれに取り組める対策がないかを検討すると、アイディアがでやすくなります。
「省エネの具体的な実践例」
1.蛍光灯からLEDへ交換する |
2.点灯する照明の数を減らす、点灯時間を見直す |
3.不在時のこまめな消灯や、人感センサーを設置する |
4.エレベーターの使用頻度を減らし階段を利用する |
5.空調の設定温度を変更する |
6.空調フィルターの定期的な清掃やメンテナンスを行う |
7.作業場を間仕切りし、必要な空間にだけ空調を行う |
8.サーキュレーターなどで室内の空気を動かす |
9.蛇口の口径を変える、節水コマを取り付ける |
10.ライン停止時や非操業時の設備電源を切る |
11.OA機器やパソコンの省エネモードを活用する |
12.外からの熱を遮断する(断熱シートや塗料、外壁緑化など) |
13.外に熱を逃がさないようにする(保温対策の徹底) |
14.廃棄水を再利用する、排ガスから熱回収する |
15.地下水や余剰工業用水の活用を行う |
16.エネルギー効率の良い設備への入れ替えを行う |
まとめ
ここまで、企業が省エネに取り組む意義や、実践しやすい省エネの具体例をご紹介してきました。
まずはすぐに始められる省エネから始めることで、脱炭素経営に向けた意識づけを、社内に促すことも可能になります。
今日からできる省エネを現場で考え、まずは実践してみましょう。
著者のプロフィール
- タンソーマンプロジェクト発起人であり、タンソチェック開発を行うmedidas株式会社の代表。タンソーマンメディアでは、総編集長を務め、記事も執筆を行う。