再生可能エネルギーのバイオマスとは?用途も詳しく解説

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現在、脱炭素社会を目指して世界各国で炭素を削減する取り組みが行われています。その中でも特に活発なのが、再生可能エネルギーの利用です。現在、電力を生み出すために利用されている石油や天然ガスといった化石燃料は、大量の二酸化炭素を排出するエネルギー源です。一方、再生可能エネルギーは、二酸化炭素をほとんど、あるいはまったく排出せずに電力を生み出すことができます。

この記事では、再生可能エネルギーの中でも「バイオマス」を深く掘り下げていきます。バイオマスとはそもそも何かという説明から、バイオマスの用途やその利用割合など詳細に解説します。ぜひ、最後までご覧ください。

目次

再生可能エネルギーとは?

再生可能エネルギーとは、自然から直接電力を取り出すことができるエネルギーのことを指します。これまでは、私たちは化石燃料を主なエネルギー源としてきました。化石燃料とは、石油や天然ガスのようなもので、これらを燃やすことで電力を生み出す、いわゆる火力発電という方法を主に用いてきました。しかし、この化石燃料の燃焼は、大量の二酸化炭素を排出します。

この二酸化炭素が地球温暖化の一因となっています。そのため、化石燃料の代わりとなるエネルギー源が求められており、その答えの1つが再生可能エネルギーなのです。自然の力を利用して電力を生み出すこのエネルギーは、化石燃料と違い二酸化炭素を排出しません。それゆえ、再生可能エネルギーは地球温暖化を防ぐために、また脱炭素化社会を実現するために、必要不可欠なエネルギー源と言えるのです。

再生可能エネルギーの代表例として、太陽光、風力、地熱、水力、バイオマスが挙げられます。この記事では、バイオマスに焦点を当てて解説をします。

バイオマスとは?

バイオマスとは、生物を意味する「bio」(バイオ)かたまりを意味する「mass」(マス)を合わせた言葉です。つまり、動物や植物由来の有機資源を原料として得られるエネルギーのことを指します。これらの資源を直接燃焼させたり、ガス化させて熱を利用したり、発電に使ったりします。また、バイオ燃料として植物からバイオエタノールやバイオディーゼルなどを製造することもあります。

バイオマスを燃焼すると二酸化炭素が発生します。しかし、バイオマス、特に植物由来の資源は、成長過程で光合成により大気中の炭素を吸収しています。そのため、燃焼によって放出される二酸化炭素はもともと吸収したものだと考えられているのです。このように、総合的には二酸化炭素の排出量はゼロとみなされる状態のことを「カーボンニュートラル」と呼びます。

バイオマスは大きく3つのカテゴリーに分けられます。その1つが廃棄物系バイオマスで、食品廃棄物や家畜の排泄物、建設・製材工場の残材などが該当します。2つ目は未利用バイオマスで、現状では活用されずに廃棄されているもの、例えば、稲わらや麦わら、もみがら、林地残材などが含まれます。ただし、運搬コストなどから利用は限られています。最後に資源作物というカテゴリーがあり、これはバイオマス利用のために特別に栽培される作物(サトウキビやトウモロコシなど)を指します。

関連記事はこちら:カーボンニュートラルとは?意味や企業の取り組み、SDGsとの関係まで解説

バイオマスの用途とは?

バイオマスの用途はさまざまです。発電源としてはもちろん、熱や燃料としても利用されています。それぞれ詳しく見ていきましょう。

バイオマス発電

バイオマス発電は、動物・植物由来の資源や廃棄物などを燃焼させ、その熱でタービンを回転させて発電を行います。バイオマス発電には、3つの方法があります。バイオマスを燃焼させる直接燃焼方式、ガス化させて熱を取り出す熱分解ガス化方式、そして有機物を発酵させてガスを作り出す生物化学的ガス化方式の3つです。

まず、直接燃焼方式は、木質ペレットや木質チップを直接燃やして電気を作ります。この方式では、管理や運搬がしやすい燃料を利用できる他、燃料の加工プロセスも少ないという利点があります。続いて、熱分解ガス化方式は、木屑や間伐材、食品廃棄物などをガス化し、そのガスを燃焼して発電します。ガス化することで、元の素材が含む水分を取り除き、より効率的に燃焼させることが可能です。

最後に、生物化学的ガス化方式は、家畜の排泄物や生ごみ、下水汚泥を微生物によって発酵させ、その際に発生するメタンガスを燃料として利用します。発酵後の残りかすは、肥料として再利用することが可能で、資源の有効活用に役立ちます。

参照:バイオマス発電とは?仕組みについてわかりやすく説明

日本のバイオマス発電の割合

バイオマス発電は、日本でどのくらい使用されているのでしょうか。下記の表に2016年から2022年までの日本のバイオマス発電の割合をまとめましたので、ご覧ください。

2016年2017年2018年2019年2020年2021年2022年
バイオマス1.9%2.0%2.3%2.7%3.2%4.1%4.6%
参照:2022年の自然エネルギー電力の割合(暦年・速報)

表からは、バイオマス発電の利用が、年々増加傾向にあることが分かります。2016年のバイオマスの割合が1.9%であったのに対し、2022年には4.6%まで上昇しました。つまり、バイオマスがエネルギー供給の一部として、ますます重要な役割を担っていることが読み取れます。

バイオマスが再生可能エネルギーの1種であり、地球温暖化の防止に有効な手段であることが、利用割合の増えている理由であると考えられます。カーボンニュートラルの実現に向けて、バイオマス発電の利用割合は今後も高くなっていくでしょう。

関連記事はこちら:日本の再生可能エネルギーの割合は?世界と比較しながら解説

世界のバイオマス発電の割合

日本のバイオマス発電の割合を見てきました。それでは、世界のバイオマス発電の割合は、どの程度なのでしょうか。その結果をまとめたのが、下記の表です。

17ヶ国のバイオマス発電の割合(2022年)

国名バイオマス
デンマーク20%
イギリス11%
フランス11%
インド11%
スウェーデン9%
ドイツ9%
ブラジル8%
チリ7%
ポルトガル7%
イタリア6%
アメリカ6%
スペイン3%
アイルランド3%
カナダ2%
中国2%
韓国2%
オーストラリア1%
参照:統計|国際エネルギー

1位はデンマークで、全エネルギーの20%をバイオマスが占めています。次に、イギリス、フランス、インドがそれぞれ11%で並んでいます。そして、スウェーデンとドイツは9%で、ブラジルが8%、チリとポルトガルが7%と続きます。最後に、スペイン、アイルランド、カナダ、中国、韓国、オーストラリアは、それぞれ3%から1%の利用割合となっています。

全体として、各国が自国のエネルギーポリシーや利用可能な資源に応じて、バイオマスエネルギーの利用割合には大きな差があることが分かります。再生可能エネルギーとしてのバイオマスの可能性は高いものの、それをどの程度利用できるかは、政策や技術、地理的な条件などに大きく関係しているのです。

バイオマス発電の取り組み事例

ここからは、日本でのバイオマス発電の取り組み事例を3つ紹介します。

グリーン発電大分

「グリーン発電大分」は、森林の管理からエネルギー生産までの一連の流れを地域内で行っています。発電所では、林地の残材や間伐材、さらに製材工程で出る木くずをバイオマス燃料として活用しています。これらは廃棄されることが多い材料で、それを燃料として有効利用することで森林管理とエネルギー供給の両方を支えています。

さらに特筆すべきは、発電過程で生じる温水を近くの園芸ハウスに提供し、地域の農業を支援している点です。これにより、地域の農業活性化と二酸化炭素排出の削減を両立させています。

コープこうべ 廃棄物処理施設

「コープこうべ 廃棄物処理施設」は、バイオマスの一種である食品廃棄物や排水処理施設から出る汚泥を活用しています。これらの生ゴミや汚泥を発酵させ、発生するメタンガスを発電源として利用するという方式です。これにより、通常は廃棄されることが多いゴミや汚泥からエネルギーを回収し、工場内で再利用することが可能となっています。これは脱炭素社会、持続可能な社会の実現にとって、非常に効果的なエネルギーの生成方法だと言えるでしょう。

京浜バイオマス発電所

「京浜バイオマス発電所」は、閉鎖された京浜製油所の跡地に建設された発電所です。この施設では、木質ペレットやパームヤシ種殻といった木質系のバイオマス燃料だけをエネルギー源として利用しており、化石燃料は一切使用していません。既存の工業地帯を再利用し、環境にやさしいエネルギー生産を実現しています。

参照:バイオマス発電

バイオマス熱利用

バイオマス熱利用とは、バイオマス資源の利用により生み出される熱やガスをエネルギー源として利用することです。例えば、バイオマス資源を直接燃やし、その燃焼によって生じる熱は、廃熱ボイラーから出る蒸気の熱として活用されます。さらに、バイオマス資源を発酵させることでメタンガスを作ることができます。このガスを都市ガスの代替品として利用することも可能です。

このバイオマス熱利用には、エネルギー利用の効率をよくしたり、廃棄物を再利用することで処理にかかる負担を減らしたりできるといった利点があります。一方で、あらゆる場所に資源があるため、収集や運搬、管理にコストがかかってしまうことが課題です。

バイオマス熱利用の取り組み事例

北海道十勝の鹿追町環境保全センターでは、地元で豊富にある畜産系バイオマスを発酵させてエネルギーに変換しています。発酵過程で出るメタンガスは、発電や熱供給、さらには水素化に利用されています。

特筆すべきは、発電からの余剰熱を活用してチョウザメの飼育水槽やマンゴー栽培のビニールハウスで使用している点です。これらの取り組みを通じて、バイオマスエネルギーの可能性を最大限に引き出しています。

参照:バイオマス熱利用

バイオマス燃料

バイオマス燃料とは、文字通り、バイオマス資源(動物や植物を原料とする資源)から作られた燃料のことです。ただし、生物の死骸が堆積し続けて作られる化石燃料は、バイオマス燃料に含まれません。バイオマス燃料には、木質ペレット、バイオエタノール、バイオガスなど、さまざまな種類があります。

木質ペレット

木質ペレットは、間伐材や残材などの乾燥した木材が細かく粉砕し、圧縮したものです。木質ペレットを燃やしたときに排出される二酸化炭素は、木材が成長過程で吸収したものであり、化石燃料が大気中に放出する二酸化炭素を増加させることはありません。

さらに、木質ペレットは、他の木質燃料に比べて発熱量が大きいという特徴があります。これは、ペレットが水分をほとんど含まず、圧縮されているためです。木片や、のこ屑をそのまま燃やすよりも高い熱効率を持っているのも特徴の1つです。

バイオエタノール

バイオエタノールは、特定の微生物や酵母が原材料(サトウキビやトウモロコシ、稲わら、廃棄された木材など)を発酵させて作られます。具体的には、原材料に含まれる糖分を酵母が分解し、アルコールと二酸化炭素を生み出します。このアルコールが、バイオエタノールと呼ばれています。

バイオエタノールは、ガソリンの代替品として使われることが多いです。また、クリーンな燃焼特性を持つため、環境に対する影響も化石燃料に比べて大幅に小さく、二酸化炭素の排出を抑制することができます。

バイオガス

バイオガスとは、微生物を利用して、廃棄物を発酵させることで生産されるガスエネルギーのことです。原料は主に、下水、し尿、家畜の排泄物、肥料、汚泥が使用されています。バイオガスは、二酸化炭素を排出せず、廃棄物の再利用を可能にするという意味で、非常にクリーンなエネルギー源と言えます。しかし、課題も残されています。

1つは、発酵施設の建設です。バイオガスを生産するには、廃棄物を適切に発酵させるための施設が必要となります。設計から建設、そして運用に至るまでのコストと時間が必要です。もう1つは、原料となる廃棄物の収集です。どのようにして効率的に、かつ持続可能な方法で廃棄物を収集し、施設まで運ぶのかを考えなければなりません。

関連記事はこちら:エンジン車でも利用可能なカーボンニュートラル燃料とは?

バイオマス燃料の取り組み事例

日本におけるバイオマス燃料の取り組み事例を2つ紹介します。

真庭エタノール実証プラント

「真庭エタノール実証プラント」は、岡山県真庭地区にあります。真庭地区は林業が盛んで、製材所も約30か所も存在しています。そこで、この地域にある製材端材や林地残材を活用し、酵母を使って1日に約250kgのバイオエタノールを製造しています。

精製されたバイオエタノールは、三井造船の開発した技術により無水化されています。これは、バイオエタノールに水分が含まれていると、燃料として上手く機能しない可能性があるためです。

セルロース系エタノール実証プラント

「セルロース系エタノール実証プラント」では、廃パルプやコーヒー滓、廃菌床といったセルロース系廃棄物を原料に、バイオエタノールの生産までを一貫して行える技術の開発に取り組んでいます。また、原料の前処理する技術として、「連続水蒸気爆砕法」という方法が採用されています。

連続水蒸気爆砕法は、バイオマスを高温・高圧の水蒸気を利用して細胞壁を破壊する方法です。細胞壁を破壊することで、バイオマス内の多糖類(セルロースやヘミセルロース)が酵素による分解を受けやすくなります。

参照:バイオマス燃料製造

まとめ

バイオマスは、bio(バイオ)とmass(マス)を合わせた言葉で、「生物資源」を意味しています。バイオマスには、さまざまな用途があります。代表的なものは、発電源や熱源、そして燃料として利用することです。資源の収集や輸送などにコストがかかるという課題はあるものの、二酸化炭素を排出しない点に加え、廃棄物を再利用できるという利点から、日本でも世界各国でも導入が進められています。

ぜひ、あなたの企業でも二酸化炭素削減に取り組みましょう。最初にできることは、自社の二酸化炭素の排出量を把握することです。タンソチェックでは、無料で二酸化炭素排出量の計算を行っております。ぜひ一度、ご利用ください。
参照:タンソチェック【公式】 – CO2排出量測定削減サービス

著者のプロフィール

川田 幸寛
小学校教員として、カーボンニュートラルや脱炭素に関する授業を行った経験がある。子どもたちが理解できるように、専門用語を分かりやすく、かみ砕いて説明することを心がけた。この経験を活かし、脱炭素化の重要性を広く伝えるために、誰にとっても理解しやすい記事を作成している。

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総編集長
福元 惇二(フクモト ジュンジ)

タンソーマンプロジェクト発起人であり、タンソチェック開発を行うmedidas株式会社の代表。タンソーマンメディアでは、総編集長を務め、記事も執筆を行う。

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