「SDGsに取り組みたいけど、できれば補助金や助成金を使って取り組みたいな…」と悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
そこで、今回の記事では、SDGsに取り組む際に申請できる補助金・助成金を紹介します。
さらに、申請が通りやすくなる方法や採用された実例もお伝えしますので、ぜひ最後までご覧ください。
SDGsにおすすめの補助金
SDGsにおすすめの補助金として、本記事では下記の3つを紹介します。
- 環境省:再エネ主力化に向けた需要側の運転制御設備等導入促進事業
- 中小企業庁:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金
- 川崎市:SDGs達成に向けたモデル事業創出支援補助金
環境省:再エネ主力化に向けた需要側の運転制御設備等導入促進事業
環境省が提供している「再エネ主力化に向けた需要側の運転制御設備等導入促進事業」は、再生可能エネルギーの導入を増やすための補助金です。
この補助金では、再エネの出力抑制(意図的に発電量を制限すること)を減少させるための設備やシステムの導入を支援します。
他にも、遠隔制御が可能な需要側の設備やシステムの導入、再エネの出力抑制の低減を目的とした発電側の設備やシステムの導入、そして屋外照明のスマート化(遠隔制御や人感センサの搭載など)やゼロエミッション事業(廃棄物ゼロを目指すこと)の支援が挙げられています。
この事業は、民間の企業や団体を対象としており、実施期間は令和2年度から令和7年度の予定です。
補助金額は、事業内容により異なりますが、最大で3/4の補助率が設定されています。
参照:民間企業等による再エネ主力化・レジリエンス強化促進事業のうち、 (3)-1再エネ主力化に向けた需要側の運転制御設備等導入促進事業 p5
詳しくは、こちらの環境省のホームページよりご覧ください。
参照:令和5年度予算 及び 令和4年度補正予算 脱炭素化事業一覧 – エネ特ポータル|環境省
中小企業庁:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金
中小企業庁が提供している「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」は、事業者を対象に、製品やサービスの開発、生産方法の改善に必要な投資を支援するための補助金です。
補助金の対象事業は、大きく分けて次の5つがあります。
- 通常枠
- 回復型賃上げ・雇用拡大枠
- デジタル枠
- グリーン枠
- グローバル市場開拓枠
通常枠
通常枠では、新製品やサービスの開発、生産やサービス提供方法の改善に資する設備やシステム投資に関する費用を補助します。
従業員数によって補助金額が異なり、100〜1,250万円が補助されます。
補助率は基本的に1/2で、特定の場合は2/3に上がります。
回復型賃上げ・雇用拡大枠
回復型賃上げ・雇用拡大枠では、業績が厳しさを感じつつも賃金の引き上げや雇用の拡大を目指す事業者に、補助金が支給されます。
補助金額は100〜1,250万円、補助率は2/3です。
デジタル枠
デジタル枠は、DX(デジタルトランスフォーメーション)に関する取り組みを支援するためのものです。
DXを進めるための製品やサービスの開発、デジタル技術の活用に関わる投資に関する補助が行われます。
補助金額は100〜1,250万円、補助率は2/3です。
グリーン枠
グリーン枠では、温室効果ガスの削減や炭素生産性(CO2排出量あたりの国内総生産)の向上を目的とした取り組みに対する補助金が提供されています。
この枠では、従業員数に応じた3つの類型があり、それぞれで補助金額や上限が異なります。
グローバル市場開拓枠
グローバル市場開拓枠は、海外での事業拡大を目指す事業者を支援するものです。
製品やサービスの開発、生産方法の改善に必要な投資を補助します。
最大3,000万円の補助が可能で、補助率は原則1/2、特定の事業者の場合は2/3です。
さらに、5つの枠を利用して大幅な賃上げを行う事業者には、補助上限額の特例が適用されます。
補助対象の条件に該当するか等は、下記サイトをご確認ください。
参照:公募要領について|ものづくり補助事業公式ホームページ ものづくり補助金総合サイト
川崎市:SDGs達成に向けたモデル事業創出支援補助金
日本全国の地方自治体でも、SDGsの補助金・助成金が提供されています。
その一例として、川崎市の「SDGs達成に向けたモデル事業創出支援補助金」を紹介します。
この補助金は、市内のSDGsの取り組みをさらに普及させる目的で設けられています。
補助の対象となるのは、川崎市SDGs登録・認証制度に基づく企業や団体です。
補助率が1/2以下で、補助限度額は50万円です。
詳細は、川崎市の公式サイトで確認できます。
参照:SDGs達成に向けたモデル事業創出支援補助金 第2期募集を開始します!
SDGsにおすすめの助成金
SDGsにおすすめの助成金は、次の2つです。
- 厚生労働省:両立支援等助成金
- 日本財団
厚生労働省:両立支援等助成金
厚生労働省が提供する「両立支援等助成金」は、労働者が仕事と家庭、特に子育てや介護を両立できる環境を整えるための支援策です。
今回は、「育児休業支援コース」の紹介をします。
育児休業支援コースでは、労働者の育休や職場復帰を支援した際に、事業主は補助金を受け取れます。
例えば、事業主が「育休復帰支援プラン」を策定し、それに基づいた労働者の育児休業の取得や職場復帰の支援を行う場合、最大60万円(各30万円、2回まで)が支給されます。
さらに、労働者が育児休業を3ヶ月以上取得した後、その3ヵ月の穴を埋めていた代替要員を新たに雇用する、あるいは代替要員に手当を支給する場合、最大50万円(新規雇用の場合)や10万円(手当支給の場合)の助成が受けられます。
他にも、厚生労働省は様々な補助金を提供しています。
詳細は、厚生労働省のホームページよりご覧いただけます。
日本財団
日本財団は、社会問題に取り組む団体を支援する助成金を提供しています。
対象事業は、「海や船に関する事業」と「社会福祉、教育、文化などの事業」の2つです。
海や船に関する事業では、海や船に関する研究、海を支える人々の育成、海の安全・環境保護、そして人々が海と触れ合う機会の増加を支援しています。
社会福祉、教育、文化などの事業では、子ども、障がい者、高齢者、社会全体を対象としたプロジェクトが該当します。
助成金の対象者は、非営利活動や公益事業を行う団体です。
ただし、法人格のない任意団体や、一般財団法人および一般社団法人の中でも非営利性が不確かな団体は、一部の事業を除き対象外とされています。
参照:2024年度 助成金申請ガイド(通常募集) | 日本財団
「補助金・助成金」の申請を通りやすくするためには
補助金・助成金は申請すれば必ず取得できるものではありません。
そこで、ここからは、申請が通りやすくするために重要なことを3つお伝えします。
- ルールをきちんと守る
- 募集要項に合った取り組みを行う
- 目的・計画・事業内容を明確にする
ルールをきちんと守る
補助金や助成金の申請には、様々なルールが設けられています。
申請の際は、募集要項の細部まで注意深く確認し、これらのルールを必ず守りましょう。
手続きや提出書類の準備には時間がかかることもあるため、期限内にきちんと完了することが大切です。
もし、ルールを無視して必要な手続きを省略したり、提出期限を守らなかったりすると、どれだけ内容が優れていても申請は通りにくくなります。
募集要項に合った取り組みを行う
募集要項は、申請者の手引きとなるものです。
申請者に何が求められているのか、どのようなプロジェクトや取り組みが評価されるのかを教えてくれます。
目的・計画・事業内容を明確にする
申請書に目的や計画、事業内容を明確に記載することは非常に重要です。
申請内容がぼんやりとしていたり、計画が分かりにくい場合、それだけで不採用のリスクが高まります。
一方、明確で具体的な計画や事業内容を書くことで、申請先の機関に取り組みの価値や成果を上手く伝えられるでしょう。
「補助金・助成金」が通った実例
それでは、実際に補助金・助成金の提供を受けた実例を2つ紹介します。
どのような事業が補助金・助成金の対象になれるのか、参考になれば幸いです。
- 特定非営利活動法人エミフル
- 日本舶用工業会
特定非営利活動法人エミフル
特定非営利活動法人エミフルは、川崎市の「SDGs達成に向けたモデル事業創出支援補助金」の提供を受けました。
補助金を利用し、廃棄予定の資源の再利用や、障がい者の就労支援事業を進めました。
まず、エミフルは近所のクラフトビール工場から排出される廃棄予定の麦芽を回収しました。
そして、障がい者就労施設に持っていき、焙煎機を使用して麦芽を乾燥させ、乾燥した麦芽をうどん製造に利用するとともに、地域の美化活動を行いました。
これらの取り組みは、障がいを持つ人々にとって、地域への貢献として大きな意義を持っています。
また、事業にかかった費用は775,669円です。
これに対して、交付された補助金額は517,112円でした。
さらに、補助を受けて実施した取り組みが評価され、エミフルが運営する障がい者就労支援事業所が町内会の美化清掃活動を正式に受託することになりました。
麦芽を再利用する新たな取り組みとして、町内美化活動の肥料として活用できないか検討が進められています。
参照:令和4年度 SDGs達成に向けたモデル事業創出支援補助金 を活用したモデル事業
日本舶用工業会
日本舶用工業会は、東京都港区に所在する一般社団法人です。
舶用工業の発展と拡大を目指す団体として、様々な技術開発やセミナーを行っています。
近年では、その取り組みが補助金・助成金の対象となり、数多くの事業が資金面での支援を受けています。
例えば、日本舶用工業会が推進する新技術の研究開発です。
AI画像認識を用いた物標検出センサや、船上センサのセンサフュージョン技術(取得データを統合し、より正確なデータを得る技術)の開発が行われ、これには約2,400万円の補助金が支給されました。
他にも、船体に付着した生物を除去する技術の開発や、次世代燃料エンジン用のガス漏洩検知センサーの開発なども行われています。
まとめ
SDGsに関する補助金・助成金は、環境省や厚生労働省などの行政機関を始め、様々な機関が提供しています。
あなたの企業でも、SDGsの取り組みの一環として、排出するCO2の測定から行ってみませんか?
下記リンクより、無料でCO2の排出量を測定可能です。
この機会にぜひご利用ください。
著者のプロフィール
- 小学校教員として、カーボンニュートラルや脱炭素に関する授業を行った経験がある。子どもたちが理解できるように、専門用語を分かりやすく、かみ砕いて説明することを心がけた。この経験を活かし、脱炭素化の重要性を広く伝えるために、誰にとっても理解しやすい記事を作成している。