カーボンニュートラルLPガスとは?メリット・デメリットも解説

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カーボンニュートラルLPガスという言葉をご存知でしょうか。これは、二酸化炭素の排出量と吸収量の合計をゼロにする「カーボンニュートラル」を目指すための特別なLPガスのことです。しかし、「カーボンニュートラルLPガスのことを詳しくは知らない」という方もまだいらっしゃるかと思います。また、「カーボンニュートラルLPガスを利用するメリットやデメリットは何だろう?」と疑問に思っている方も多いでしょう。

この記事では、カーボンニュートラルLPガスについての基本的な情報を解説し、その利用のメリットやデメリットについて詳しく説明します。カーボンニュートラルLPガス導入を検討する上での参考となれば幸いです。ぜひ最後までお読みください。

目次

カーボンニュートラルLPガス

まずは、カーボンニュートラルLPガスについて詳しく解説します。

カーボンニュートラルLPガスについて

カーボンニュートラルLPガスとは、原料採掘から最終的な燃焼までのすべての過程で排出される二酸化炭素を、環境保全活動などを通じて「実質ゼロ」にするLPガスのことです。つまり、二酸化炭素を実質的に排出せずに使用できるLPガスを意味しています。実質ゼロを実現するために、カーボンクレジットという制度が利用されています。

カーボンクレジットは、企業や団体が植林や森林管理など環境保全活動を行うことで取得できる「二酸化炭素の削減証明書」のようなものです。1クレジットで1tの削減を証明し、自社の二酸化炭素排出量と相殺することができます。このカーボンクレジットについては、後ほど詳しく解説します。

そもそも、LPガスとは一体何なのでしょうか。LPは、”Liquefied Petroleum Gas”の略称で、LPGや液化石油ガスとも呼ばれています。LPガスは、化石燃料の中でも比較的に炭素排出が少ないクリーンなエネルギーです。日本では約2,400万世帯、つまり全世帯の約半数がLPガスを利用しています。

LPガスの原材料は、主にプロパンやブタンで、これらは原油の精製過程で副生されるものです。原料は主にアメリカ、オーストラリア、アラブ首長国連邦などの海外から輸入されています。LPガスをカーボンニュートラルにするために、海外での原油採掘から日本への輸送、そして国内での輸送と使用というすべての過程で発生する温室効果ガスを相殺する必要があります。

そのためにはまず、一連の過程で発生する温室効果ガスの量を計算し、その合計を把握しなければなりません。次に、温室効果ガスを相殺するための環境活動を行います。その一例が、カーボンクレジットの利用です。

カーボンクレジットについて

カーボンクレジットは、企業や組織が二酸化炭素の排出量を削減したり、森林管理などにより二酸化炭素を吸収することで得られるクレジットのことです。例えば、再生可能エネルギーを使うことで二酸化炭素の排出を抑えたり、森林保護や植林活動を行い、二酸化炭素を吸収したりすることで取得できます。1クレジットは、1tの二酸化炭素削減を証明するものです。自社の排出量を相殺する以外にも、他の企業に売ることもできます。

日本では、「J-クレジット」という制度があります。省エネや再生可能エネルギーの利用、森林の適切な管理などで削減、あるいは吸収できた二酸化炭素の量を、J-クレジットとして国が認証する制度のことです。J-クレジットに関する詳しい情報や申請方法については、こちらの経済産業省のサイトを参照してください。

参照:J-クレジット制度

しかし、ガス事業者が二酸化炭素の排出量を削減する試みを行っても、目標の削減量には届かないことが多いです。そこで、ガス事業者はカーボンクレジットを購入し、自社の排出量と相殺することで、結果として全体の排出量の削減をゼロにする取り組みを行っています。このようにして、ガス事業者は、カーボンニュートラルLPガスを提供しています。経済産業省のWebサイトでもカーボンクレジットについて詳しく解説していますので、あわせてご確認ください。

参照:カーボン・クレジット・レポートの概要 2022年6月

さらに、こちらの記事でもカーボンクレジットや、それに関連する事項についてより細かく説明しています。ぜひご覧ください。

関連記事はこちら:カーボンクレジットビジネスとは?市場性や今後の課題も解説

関連記事はこちら:カーボンクレジットとは?種類や仕組み、脱炭素で重要な理由まで解説

カーボンオフセットLPガスについて

ここまでカーボンニュートラルLPガスについて詳細に説明してきました。しかし、カーボンオフセットLPガスも環境に優しいガスとして注目を集めているで、あわせて紹介します。カーボンオフセットLPガスとは、供給されたガスが燃焼する際に生じる二酸化炭素排出量を実質ゼロにするLPガスのことです。カーボンオフセットLPガスの特徴は、オフセット(相殺)の対象となる範囲が燃焼による二酸化炭素排出のみであることです。

一方で、カーボンニュートラルLPガスは、採掘、製造、輸送、そして燃焼といったすべての過程で生じる二酸化炭素の排出を対象にしています。そのため、カーボンニュートラルLPガスと比較すると、カーボンオフセットLPガスはオフセットの対象範囲が狭く、その分だけコストも抑えられます。この手軽さから、多くの企業がカーボンオフセットLPガスの導入を始めています。カーボンオフセットLPガスの詳細は、こちらの富士酸素工業株式会社のサイトをご覧ください。

参照:1分でわかる!カーボンオフセットLPガスとは?専門家が解説します。

カーボンニュートラルLPガスのメリット

カーボンニュートラルLPガスを活用することで、一体どのようなメリットがあるのでしょうか。今回は、環境保全と企業ブランドの向上について解説します。

環境保全

カーボンニュートラルLPガスを使うことで、新たに省エネルギーや再生可能エネルギーの設備を導入したり、業務に変更を加えたりすることなく、自然環境への影響を減らし、二酸化炭素の排出を削減することができます。特に、新しい設備の導入には、多額の投資が必要です。高額なコストをかけることなく、環境保全を行うことができます。

また、植林や森林を通じたカーボンニュートラルLPガスの提供は、その保全活動によって二酸化炭素の吸収量を増やすことができます。これは、カーボンニュートラルの実現だけではなく、土砂災害の予防や生物多様性の保護、そして人々の命さえも守ることにもつながります。

企業ブランドの向上

カーボンニュートラルLPガスを導入することで、他社の製品やサービスと差別化を図ることができるため、自社の企業ブランドの向上につながります。例えば、カーボンニュートラルLPガスを使用し、温室効果ガスの排出量を実質ゼロしていることを公表することで、環境問題に取り組んでいるとPRすることができます。さらに、カーボンニュートラルLPガスによる二酸化炭素排出量をゼロとして計算することも可能です。

また、カーボンニュートラルLPガスを供給する企業にもメリットがあります。それは、その企業が環境問題と向き合い、解決に向けた努力を行っている証明となることです。この取り組みは、消費者や取引先などさまざまな団体に対して非常に好印象を与えることができます。

こうしたカーボンニュートラルLPガスの取り組みは、新しいチャンスになる可能性も秘めています。新たなビジネスパートナーや地方自治体とのつながりが生まれ、新しいビジネスチャンスをつかむきっかけや、新たなビジネスモデルを生み出す機会になるかもしれません。

こういった環境に対する取り組み、特に二酸化炭素の排出量を削減する取り組みには他にもさまざまなメリットがあります。こちらの記事でそのメリットについてや、具体的な取り組み方法について紹介しています。ぜひ一度ご覧ください。

関連記事はこちら:脱炭素経営の取り組み事例とは?企業が行うべき理由も解説

カーボンニュートラルLPのデメリット

続いては、カーボンニュートラルLPガスを活用するデメリットについて紹介します。デメリットは2つあります。1つはカーボンクレジット利用に必要な手続きが複雑であること、もう1つはコストが高額であることです。

複雑な手続き

カーボンクレジットを購入するためには、国や各種機関への申請が必要です。申請には、複数の手続きが求められるため、特に中小規模のプロパンガス事業者にとっては、困難な作業となる可能性があります。通常、中小のガス事業者はカーボンニュートラルLPガスの完成品を卸売業者から購入します。

しかし、大企業でも他社からカーボンニュートラルLPガスを購入していることは意外にも多いです。これは、自社でカーボンニュートラルLPガスを製造するのが難しいだけでなく、手続きが複雑であるという理由もあるのかもしれません。

高額なコスト

カーボンニュートラルLPガスの導入には、高額なコストがかかります。このコストの高さから、多くの企業が導入を見送っているのが現状です。ガス会社も、同じ製品を販売しながら経費が増えてしまうという問題に直面しています。結果的に、消費者のガス料金が上昇する可能性もあります。

現段階では、カーボンニュートラルLPガスは、通常のLPガスよりも高価です。ただし、プロパンガス料金は自由価格制度のため、将来的には通常のLPガスと同じ価格帯になる可能性もあります。カーボンニュートラルの実現を目指している国からのさまざまな支援も期待できます。これにより、将来的には、一般家庭でもカーボンニュートラルLPガスが手頃な価格で利用可能になるかもしれません。

ただ、現状は高額なコストのために、カーボンニュートラルLPガスは主に関連事業者に販売されています。また、販売においては、料金設定などを当事者間でしっかりと話し合い、契約締結を行った上で行われています。こうした状況を考慮すると、一般家庭でカーボンニュートラルLPガスが利用できるのは、まだかなりの時間が必要であると考えられます。

まとめ

カーボンニュートラルLPとは、原材料の採掘から、製造、輸送、そして燃焼という一連の過程を通じて、二酸化炭素の排出量を実質ゼロにしようという考えに基づいて開発されたLPガスのことです。実質ゼロを達成するために、カーボンクレジットという制度が利用されています。

カーボンクレジットとは、自社の排出した二酸化炭素を相殺したり、クレジットを他の企業に売却したりすることができる制度です。一定量の二酸化炭素排出量の削減すると、クレジットを獲得できます(1クレジット=1tの二酸化炭素削減)。このクレジットを購入することで、排出した二酸化炭素量が相殺されて実質ゼロになるため、カーボンニュートラルが実現できるという仕組みです。

それから、カーボンニュートラルLPガスのメリット・デメリットについても解説しました。メリットは、環境保全ができることと、企業ブランドが向上することです。一方、デメリットとして、クレジット取得のための手続きが複雑である点、そしてカーボンニュートラルLPガスが高額である点を指摘しました。

二酸化炭素の削減は、大企業だけではなく、中小企業も取り組むべき課題です。削減には、さまざまな方法がありますが、まずは、自社がどれほどの二酸化炭素を排出しているのかを把握する必要があるでしょう。そうでなければ、削減目標を立てることが困難だからです。

そこで、二酸化炭素排出量を無料で計算できるツールを紹介します。登録も簡単で、すぐに活用できますので、ぜひ一度お試しください。詳細なサービスの内容やアカウント登録は、以下のリンクから可能です。

参照:タンソチェック【公式】-CO2排出量算定削減サービス

著者のプロフィール

川田 幸寛
小学校教員として、カーボンニュートラルや脱炭素に関する授業を行った経験がある。子どもたちが理解できるように、専門用語を分かりやすく、かみ砕いて説明することを心がけた。この経験を活かし、脱炭素化の重要性を広く伝えるために、誰にとっても理解しやすい記事を作成している。

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総編集長
福元 惇二(フクモト ジュンジ)

タンソーマンプロジェクト発起人であり、タンソチェック開発を行うmedidas株式会社の代表。タンソーマンメディアでは、総編集長を務め、記事も執筆を行う。

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