カーボンニュートラルのスコープ1・2・3とは?それぞれ詳しく解説

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現在、地球温暖化の進行を妨げる有効な手段の1つとして、「カーボンニュートラル」が世界的に注目を集めています。カーボンニュートラルとは、二酸化炭素の排出量と削減量の合計をゼロにすることで、大気中の二酸化炭素をこれ以上増やさないようする考え方のことです。

日本では、2050年までにカーボンニュートラルを達成すると公言しています。この目標達成のカギとなるのが、「スコープ」です。スコープとは、温室効果ガスがどのように、どこから排出されているかを示す指標で、スコープ1、2、3に分けられています。この記事では、スコープ1、2、3がどういうものなのか、どのように分類されているのかなど、それぞれ詳しく解説していきます。

目次

スコープ1とは?

まずは、スコープ1について分かりやすく解説していきます。

スコープ1(Scope1)について

スコープ1は、企業が直接出している温室効果ガスの量のことです。具体的には、自社で使った燃料の燃焼や工場での製造過程などから排出されるガスなどです。例えば、自社で使用したガソリンや灯油などから発生するガスがこれに該当します。しかし、電力の利用や製品の運送によって排出される温室効果ガスは含まれません。

そもそもスコープとは、温室効果ガスの排出源を分類するための3つのカテゴリー(スコープ1、スコープ2、スコープ3)のことです。スコープは、企業が温室効果ガス排出量を把握し、削減目標を立てるために使用されます。それぞれのスコープが対象とする排出源が異なります。例として、スコープ1は自社で直接排出するガスの量です。スコープ2、スコープ3については後ほど詳しく解説します。

スコープを理解することは、温室効果ガスを減らすための企業戦略を立てるうえで重要です。特にスコープ1については、燃料の使用状況や製造過程といった自社の活動を見直すことで排出量を直接減らすことが可能です。さらに、スコープ1、スコープ2、スコープ3の排出ガスの合計を「サプライチェーン排出量」と呼びます。サプライチェーン排出量は、企業の環境対策の全体像を理解するための指標として活用されています。

サプライチェーン排出量について

サプライチェーン排出量とは、原料の取り寄せから製品が消費者の手に届くまでの一連の流れで排出される温室効果ガスのことです。つまり、企業の活動だけでなく、関連する取引先や製品を使う消費者まで含んだ範囲で排出される温室効果ガスの量のことを意味しています。

では、なぜサプライチェーン排出量が大切なのでしょうか。それは、日本が2050年までに温室効果ガス排出量を実質ゼロにするという大きな目標を掲げているからです。その実現のためには、各企業が自社の排出ガスを減らすだけでは不十分です。それぞれの取引先や消費者まで含めた製品のライフサイクル全体で排出されるガスの量を把握し、それを減らす努力が企業には求められるのです。

2050年までにどのような取り組み方法で、温室効果ガスの排出量をゼロにしようとしているのかについては、こちらの記事で詳しく解説しています。ぜひご覧ください。

関連記事はこちら:CO2削減における企業の取り組み事例とは?

また、サプライチェーンの排出量をどのように減らすことができるのかについて、こちらの記事で詳しく解説しています。もし詳細を知りたい場合は、ぜひご覧ください。

関連記事はこちら:サプライチェーン含む脱炭素経営の方法とは?方法や事例まで解説

スコープ2

ここでは、スコープ2について詳しく解説していきます。

スコープ2(Scope2)について

スコープ2とは、企業のエネルギー使用によって、間接的に排出している温室効果ガスの量のことです。企業が直接、排出しているわけではないものの、エネルギーを使うことによって間接的に二酸化炭素などの温室効果ガスを排出しています。例えば、電力会社から購入する電気や、他社から購入した熱や冷水、蒸気などの利用によって生じる二酸化炭素などがこれに該当します。

スコープ2の排出量を減らすにはどうすればいいのでしょうか。人気のある手段の1つに、再生可能エネルギーの利用があります。これを利用すると、温室効果ガスを排出せずにエネルギーを得ることができるため、スコープ2の排出量をかなり抑えることができます。

再生可能エネルギーについて

再生可能なエネルギーとは、自然界から得られるエネルギーのことです。主な例としては、太陽光、風力、水力、地熱、バイオマスなどがあります。これらの再生可能エネルギーは、エネルギーを生成する過程で二酸化炭素をほとんど、またはまったく排出しません。

通常、エネルギーを得るためには、化石燃料(石炭、原油、天然ガスなど)を燃焼する必要があり、その際に大量の二酸化炭素が排出されます。それに対して、再生可能エネルギーは、化石燃料を燃焼することなくエネルギーを得ることができるため、二酸化炭素を排出せずに済むのです。

一方で、バイオマスエネルギーは、他の再生可能エネルギーとは少し異なります。バイオマスエネルギーは、使用時には二酸化炭素を排出しますが、エネルギーの生成過程で排出量と同量の二酸化炭素を吸収しているため、二酸化炭素の排出量は実質ゼロであるという考え方のエネルギーです。これは、バイオマスエネルギーの原料となる植物が生長する過程で光合成を行い、大気中の二酸化炭素を吸収するからです。このようにして、再生可能エネルギーは、二酸化炭素排出量の大幅な削減を可能にしています。

また、再生可能エネルギーについては、こちらの記事でさらに深く掘り下げていますので、ぜひご覧ください。

関連記事はこちら:カーボンニュートラルは再生可能エネルギーで対応可能?課題から最新技術も解説

スコープ3

続いて、スコープ3について説明します。

スコープ3(Scope3)について

スコープ3とは、企業の活動によって間接的に排出された温室効果ガスの量のことを指します。スコープ2は、エネルギーの使用に限定した間接的に排出される温室効果ガスでしたが、スコープ3は、かなり広い範囲が対象となります。例えば、原材料の調達から商品の運送、販売、使用、そして廃棄が範囲に含まれます。さらに、従業員の出張や通勤、資本財の調達、フランチャイズ、投資などで排出するものも対象範囲となっています。

このうち、製造から販売、供給までの範囲を「サプライチェーン」といい、それ以降の範囲「バリューチェーン」といいます。スコープ3は、この二つの範囲を考慮に入れることで、温室効果ガス排出量の全体像を捉えられるようになっています。しかし、各企業だけでは、スコープ3で排出されている温室効果ガスを削減することは難しいです。それにもかかわらず、なぜスコープ3が重要視されているのでしょうか。それは、提携している企業や取引先などと協力して、より多くの二酸化炭素の排出量を削減することが可能になるからです。

スコープ3のカテゴリーについて

温室効果ガスの排出量を細かく把握するために、スコープ3は上流と下流の2つに分類されています。分類の仕方については、物品の流れではなく、お金の流れに焦点が当てています。企業が購入する場合を上流、販売する場合を下流です。また、上流と下流は、さらに15のカテゴリーに分類されています。

企業が何かを購入したり、サービスを受けたりする場合は、カテゴリーの1~8に該当します。この8つのカテゴリーが上流です。具体的には、製品やサービスの原材料調達(カテゴリ1)、生産設備の増設(カテゴリ2)、事業活動のための燃料や電力調達(カテゴリ3)、商品の輸送(カテゴリ4)、事業活動から出る廃棄物の処理(カテゴリ5)、従業員の出張や通勤(カテゴリ6、7)、レース資産の稼働(カテゴリ8)などが含まれます。

カテゴリー活動具体例
1. 購⼊した製品・ サービス原材料などの採掘、加⼯など原材料や消耗品の調達
2. 資本財⼯場などの資本財の製造や資材 の採掘、加⼯など生産設備の増設
3. 燃料・エネルギー関連購⼊燃料・電⼒の採掘、精製など燃料の採掘や精製
4. 輸送、配送 (上流)購⼊物品の物流 委託物流調達物流、出荷物流
5. 事業から出る廃棄物⾃社拠点から発⽣する廃棄物の 処理廃棄物の処理や輸送
6. 出張出張に伴う移動従業員の出張
7. 雇⽤者の通勤通勤に伴う移動従業員の通勤
8. リース資産 (上流)リース使⽤している倉庫の運⽤時企業が賃借中のリース資産の稼動

参照:Scope3 〜算定編〜p15 サプライチェーン排出量算定に関する説明会

一方、企業が販売する場合は、カテゴリーの9~15に該当します。この7つのカテゴリーとその他が下流です。こちらは、製品の輸送(カテゴリ9)、中間製品の加工(カテゴリ10)、製品の使用と廃棄(カテゴリ11, 12)、他者に賃貸しているリース資産の稼働(カテゴリ13)、フランチャイズ店舗の活動(カテゴリ14)、投資(カテゴリ15)などが含まれます。

カテゴリー活動具体例
9. 輸送・配送 (下流)出荷後、所有権移転後の物流倉庫保管、店舗販売
10. 販売した製品の 加⼯販売された中間製品(部品、素材)の出荷先での加⼯中間製品の加⼯
11. 販売した製品の 使⽤販売された製品の使⽤製品の使⽤
12. 販売した製品の 廃棄販売された製品の廃棄製品の処理や輸送
13. リース資産 (下流)リース貸ししている資産の客先運⽤他社に賃貸中のリース資産の稼働
14. フランチャイズフランチャイズ店舗の稼動フランチャイズ店舗のスコープ1と2にあたる活動
15. 投資投資先の稼動株式や債券などの運用
その他(オプション)従業員や消費者の⽇常⽣活に関する排出等従業員や消費者の⽇常⽣活

参照:Scope3 〜算定編〜p16 サプライチェーン排出量算定に関する説明会 

スコープ3の温室効果ガス排出量の算定方法について

スコープ3の温室効果ガス排出量は、企業の「活動量」とその活動による温室効果ガスの排出量である「排出原単位」をかけ算することで算定が可能になっています。排出原単位の例として、電気の使用量1kWh当たりや輸送の1トン当たりの排出量などがあります。スコープ3は、15のカテゴリーごとに「活動量×排出原単位」の計算を行い、その値をすべて合計することで、スコープ3の温室効果ガス排出量を算定します。

排出原単位は、既に定義されているものを使用するのが一般的です。しかし、取引先から具体的な排出量の関する情報が共有されることもあります。活動量と排出原単位の細かい分類やルールについては、下記リンクの環境省のサイトよりご覧ください。

参照:排出量算定について – グリーン・バリューチェーンプラットフォーム –

まとめ

スコープ1は、企業が直接排出する温室効果ガスのことです。燃料の使用などで排出される二酸化炭素量などがこれに該当します。スコープ2は、エネルギーの使用時に間接的に排出している温室効果ガスを指します。例えば、電力会社から購入した電気を使用する際に生じる二酸化炭素量などが含まれます。スコープ3は、それ以外で間接的に排出される温室効果ガスを意味しています。

温室効果ガスの算定方法は、「活動量×排出原単位」で求めることが可能です。この計算を行うためには、自社がどれだけの二酸化炭素を排出しているのかを把握する必要があります。こちらのサイトでは、無料で二酸化炭素量の排出量を簡単に計算することが可能です。ぜひ一度、お試しください。

参照:タンソチェック【公式】 CO2排出量測定削減サービス

著者のプロフィール

川田 幸寛
小学校教員として、カーボンニュートラルや脱炭素に関する授業を行った経験がある。子どもたちが理解できるように、専門用語を分かりやすく、かみ砕いて説明することを心がけた。この経験を活かし、脱炭素化の重要性を広く伝えるために、誰にとっても理解しやすい記事を作成している。

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総編集長
福元 惇二(フクモト ジュンジ)

タンソーマンプロジェクト発起人であり、タンソチェック開発を行うmedidas株式会社の代表。タンソーマンメディアでは、総編集長を務め、記事も執筆を行う。

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