
低圧の系統用蓄電池(低圧蓄電所)には、待機と応動の間に失われる電力量を電力網から買い足す「充電の電力費」がかかり、年100万円台になることがあります。売上から差し引く費用の中でも大きな項目です。
本記事は、低圧の系統用蓄電池(低圧蓄電所・低圧蓄電池、出力50kW未満・49.9kW級)の充電費がなぜ生じるのか、契約で何を確かめるのかを説明します。全体像は低圧の系統用蓄電池 総合ガイドをご覧ください。
なぜ充電の電力費がかかるのですか?
蓄電池は充放電のたびに電力の一部を失い、待機中も残量を保つ必要があるためです。
一次調整力では、約定した時間帯に周波数の変化に応じて出力を自動で増減します。その間に生じる損失や、待機のために残量を調整する分を、電力網から買い足します。充放電効率は往復で85〜90%程度とされ、戻らない分が費用になります。詳しくは充放電効率とはで説明しています。
誰が電力費を負担し、どの基礎から手数料を取るかは契約で決まる。
充電費はいくらくらいですか?
年100万円台になることがあります(解説ブック低圧編、2026年10月時点)。
出力49.9kW・約定率90%の計算例では、平均の約定単価5円で年間売上は約393万円、3円で約236万円です。単価が低いほど、充電費が売上に占める割合は大きくなります。売上の試算は低圧蓄電所の売上試算ツールで確かめられます。
充電費は誰が負担するのですか?
負担区分はアグリゲーター契約で決まるため、契約前に書面で確かめます。
| 確かめる項目 | 見方 |
|---|---|
| インバランス・充電費 | 実際に流れた電力量の精算と、充電の電力費を誰が負担するか |
| 手数料の計算基礎 | 「売上」に掛けるか、「運用益(売上−充電費など)」に掛けるか |
| 入金の時期 | 運用月から入金まで数か月かかるのが一般的 |
手数料が売上基準なら、充電費を引く前の金額に手数料がかかります。運用益基準なら充電費を引いた後に掛かるため、同じ料率でも手取りが変わります。違いはアグリゲーター手数料の見方で例示しています。
卸電力市場の値差で充電費は相殺できますか?
昼夜の値差を取る運用は収入の一部になり得ますが、充電費を必ず相殺できるものではありません。
低圧蓄電所の収入の中心は一次調整力の待機の対価で、卸電力市場(kWh)は副次的な位置づけです。どの収入源をいつ使うかはアグリゲーターが市場を見て決めるため、運用方針と収支の前提に充電費がどう入っているかを確かめます。
収支資料で何を見ればよいですか?
充電の電力費が費用として計上されているか、金額の前提が開示されているかを見ます。
充電費が「アグリゲーター負担」とされている場合でも、その分が手数料や精算の条件に反映されていないかを確かめます。どの費用を誰が持つかを一覧にして、オーナーの手元に残る金額を計算し直すと比べやすくなります。
単価、約定率、充電の電力費、劣化率、機器の更新費がすべて開示されているかは、案件を比べる12項目の一つです。
まとめ
- 充電の電力費は、待機と応動で失う電力量を買い足す費用で、年100万円台になることがあります。
- 負担区分と手数料の計算基礎はアグリゲーター契約で決まるため、書面で確かめます。
- 単価が低いほど充電費の比重は大きくなるため、収支資料に計上されているかを見ます。
出力49.9kWの低圧蓄電所については、低圧蓄電所のご案内をご覧ください。
出典
- 株式会社タンソーマンGX「系統用蓄電池 投資の基礎解説ブック 低圧編」(2026年10月) 第3章・第4章・第6章・第12章
※本記事は制度と市場の一般的な解説です。個別の投資を勧めるものではありません。