カーボンニュートラル税制(CN税制)とは

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脱炭素経営

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日本は先進国の中でも非常にカーボンニュートラルへの考えや脱炭素に向けた会社 の経営を疎かにしています。
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カーボンニュートラルの実施にあたって、まだ時期尚早だと足踏みする企業や事業所もあるかもしれません。しかし、早期だからこそ受けれるメリットも数多くあります。世界中で脱炭素の意識が高まる中、国内でも、ここ数年は中小企業を後押しする、補助金や税制優遇が充実してきています。

補助金との併用もできますので、税制と補助金を組み合わせれば、かなり低コストでの導入が可能です。ぜひともこの機会を有効に活用していきましょう。今回は、カーボンニュートラル税制についてわかりやすくまとめていきます。税制適用のポイントや対象設備についても詳しく見ていきますので、どうぞご確認下さい。

目次

カーボンニュートラル税制の概要(CN税制)

「カーボンニュートラル税制」は、大まかには、企業の脱炭素への対策として設備投資を行った場合に、条件を満たすことで最大10%の税額控除、さらに50%の特別償却が受けれる、といったものです。

経済産業省の「産業競争力強化法」を基盤に、2024年4月を最終期限とした「カーボンニュートラル投資促進税」が施行されました。長期的な視野で企業の「グリーン化」「デジタル化」「新たな日常」への変革を支援する政策の1つです。ここで、概要を簡単にチェックしていきましょう。

税制の正式名称・対象税目

税制の正式名称:「カーボンニュートラル投資促進税」

「カーボンニュートラル税制」または「CN税制」とも呼ばれています。

対象税目:法人税

優遇される税目は法人税です。

参照:カーボンニュートラルに向けた投資促進税制 – 国税庁

応募期間・対象者

応募期間:2021年(令和3年)4月~2024年(令和6年)3月

最終期限は2024年3月31日の予定です。期間内に設備の取得・建設を行い、申請する必要があります。

対象者:青色申告をする法人・事業者

青色申告をする法人・事業者で、かつ事前に「事業適応計画認定事業者」に認定されていることが条件となります。「事業適応計画認定事業者」とは、「事業適応計画」「適応事業者」などとも呼ばれている認定制度のことで、正式には「認定エネルギー利用環境負荷低減事業適応事業者」といいます。

認定を受けるためには、まず設備投資における計画書を提出します。

事業適応計画の認定要件

「2050念カーボンニュートラルの実現を目的に、脱炭素効果が高い製品の導入、事業転換を計る取り組み」であることを表す内容となっています。

  1. 計画期間
  2. 生産性の向上・新需要の開拓
  3. 財務の健全性
  4. 前向きな取組
  5. 全社的取組
  6. 税の要件

上記の6項目を各自の状況に応じて計画を立てます。原則として、3年以内に7.0%以上の炭素性の向上が求められます。炭素生産性とは、企業の付加価値額をCO2排出量で割った比率をいいます。

出典:エネルギー利用環境負荷低減事業適応計画の申請方法・審査のポイント – 経済産業省

事業適応計画の認定要件

出典:産業競争力強化法における事業適応計画について – 経済産業省

経済産業省より「事業適応計画」の認定がおりると、税制優遇制度の申請ができる流れです。計画書の作成にあたっては、いくつかガイドラインが出ており、オンラインで申請可能です。記入例や計算方法など掲載されていますので、参考にされて下さい。

参考ガイドライン

税額控除額・償却額

「カーボンニュートラル税制」では、「事業適応計画」の認定を受け、設備投資の要件を満たした場合に、500億円を上限に最大10%の税額控除または50%の特別償却が適用できます。

  • 税額控除額 → 最大10%(上限500億円)
  • 特別償却 → 50%(上限500億円)

税制優遇の対象となるのは導入した設備・システム等の取得価額です。ただし、控除額・償却額には上限があります。

税額控除額の計算方法

1.取得価額の合計金額が500億円以下の場合

税額控除限度額 = 設備等の取得価額 × 5.0~10.0%

  • 3年以内の炭素生産性が7.0% → 税額控除5.0%
  • 3年以内の炭素生産性が10.0%以上 → 税額控除10.0%
  • DX投資促進税制の対象でもある → トータルで税額控除20.0%

※控除比率は以下の要件に応じて異なります。DX投資促進税制の活用がある場合は合計で20.0%の控除が受けられます。

2.取得価額の合計額が500億円を超える場合

税額控除限度額 = 500億円  × (設備等の取得価額/設備等の取得価額の合計)× 5.0~10.0%

※500億円を超えた場合でも、500億円までの部分は税制の対象となります。

税額控除・特別償却のイメージ

出典:エネルギー利用環境負荷低減事業適応計画の申請方法・審査のポイント – 経済産業省

特別償却の計算方法

1.設備等の取得価額の合計が500億円以下の場合

特別償却限度額 = 設備等の取得価額 × 50%

2.設備等の取得価額の合計が500億円を超える場合

特別償却限度額 = 500億円 × (設備等の取得価額/取得価額の合計) × 50%

特別償却では、とくに炭素生産性の基準は設けてありませんので、数値にかかわらず要件を満たす場合は50%の償却が可能です。

※税額控除か特別償却かのいずれか1つが適用されます。

参照:カーボンニュートラルに向けた投資促進税制 – 国税庁

カーボンニュートラル税制の対象設備

では、次にどのような設備が「カーボンニュートラル税制」の対象となるのかを見ていきます。対象となる設備は、2つのタイプに分けられています。

  1. 大きな脱炭素効果を持つ製品の生産設備
  2. 生産工程などの脱炭素化と付加価値向上を両立する設備

大きな脱炭素効果を持つ製品の生産設備

大きな脱炭素効果を持つ製品とは、環境への負荷の低減効果が期待でき、かつ新たな需要開拓につながる製品のことを指しています。省エネ・CO2削減効果が大きいだけでなく、商品開発や生産性の向上にも役立つ製品のことです。おもに機械装置が中心となり、「需要開拓設備」と表記されています。

税制優遇措置:税控除10%または特別償却50%

下記のような商品が該当します。

①化合物パワー半導体

電力の制御若しくは電気信号の整流を行う、化合物半導体素子または、当該素子の製造に用いられる化合物半導体基板

②EVまたはPHEV向けリチウムイオン蓄電池

電気自動車またはプラグインハイブリッド車を構成するリチウムイオン蓄電池

③定置用リチウムイオン蓄電池

7,300回の充放電後に定格容量の60%以上の放電容量を有するもの

④燃料電池

定格運転時における低位発熱量基準の発電効率が50%以上であるもの、もしくは総合エネルギー効率が97%以上であるもの、水素のみを燃料とするものに限る。

⑤洋上風力発電設備の主要専門部品

一基あたりの定格出力が9MW以上であるもの。ナセル、発電機、増速機、軸受、タワー、基礎

参照:エネルギー利用環境負荷低減事業適応計画の申請方法・審査のポイント – 経済産業省

生産工程などの脱炭素化と付加価値向上を両立する設備

脱炭素化と付加価値向上を両立する設備とは、生産の過程においてCO2削減をこなし、かつ付加価値の向上につながる設備のことを指します。CO2削減することが、コスト低下などで売上に貢献できるような設備のことです。様々なタイプの機器・設備があり「生産工程効率化設備」と表記されています。

税制優遇措置:税控除5%~10%または特別償却50%

このタイプの設備に関しては、3年以内で炭素生産性7%以上を向上させることが最低要件となっています。7%以上で5%の税控除、10%以上で10%の税控除が適用できます。

①農場・ハウスでの生産

農業用設備を効率化する機器・設備、ヒートポンプの導入など

②電力・燃料調達

太陽光発電システム、LED照明、各省エネ機器など

③工場での製造

ボイラー、廃熱回収システム、ラインの処理能力システムなど

参照:カーボンニュートラルに向けた投資促進税制 – 農林水産省

「需要開拓設備」

大きな炭素効果
を持つ製品の生産設備
機械装置税控除
10%
特別償却
50%
「生産工程効率化設備」

脱炭素化と
付加価値向上を両立する設備
機械装置
器具備品
建物付属設備
構築物
税控除
3年以内で7%以上
→5%

3年以内で10%以上
→10%
特別償却
50%

事業規模や既存の設備・機器の状況、今後の生産計画などに応じて、それぞれで有益なカーボンニュートラルのやり方も変わってきます。まずは現状を徹底的に分析・把握することから始めてみることで、具体策が見えてくるでしょう。

関連記事はこちら:脱炭素経営で環境・経営のバランスをとる

カーボンニュートラル税制の手続き方法

https://pixabay.com/photos/education-paper-writing-composition-3318158/

次に、申請までの手続き・流れを確認していきます。あらかじめ流れがわかっていれば安心です。

申請手続きの流れ

まず、「カーボンニュートラル税制」の活用を検討する場合、「事業適応計画」の認定が必須となります。計画の認定には、約2か月前に所管の省庁への事前相談が必要となります。

申請手続きのイメージ

出典:エネルギー利用環境負荷低減事業適応計画の申請方法・審査のポイント – 経済産業省

1.事前相談(認定を計画する2か月程度前)

要件に合致するかなど、省庁にて事前の相談を行う。WEB申請。

2.計画の申請(1か月程度)

所定の申請書と必要な添付書類を提出。WEB申請。

3.計画の認定(計画開始)

計画の認定と併せて、投資設備が税制の対象か審査。

4.税制対象投資の実施

認定を受けたら、設備・機器等を取得。税制優遇を受けることが可能となる。

5.税務申告

対象設備・機器を取得した年度の確定申告にて申請を行う。認定書の写しが必要。

6.実施状況報告書提出

事業適応計画の実施期間中は、毎年度提出が必要です。事前相談と計画の申請にかかる日程は2~3か月ほどかかります。申請期限は2024年の3月31日ですから、最低でも2023年12月までには動き出す必要があります。1つ1つの過程で時間がかかる可能性もあり、余裕をもって早めに動いていくことが成功のコツです。

よくある質問Q&A・問い合わせ先

それでは、最後によくある質問や、不明点があった時に相談できる官公庁の問い合わせ窓口をご紹介しておきます。

よくある質問Q&A

経済産業省では、カーボンニュートラル税制においてよくある質問をまとめています。目を通しておくと、税制の仕組みがより明確になります。

カーボンニュートラル税制Q&A

問い合わせ先

事前相談は、それぞれ都道府県の省庁にて対応しています。漠然としているかもしれませんが、相談し始めることで何をすればよいか見えてくるものです。

地方経済産業局担当課電話番号
北海道経済産業局資源エネルギー対策課011-709-1753
東北経済産業局資源エネルギー環境課022-221-4927
関東経済産業局地域エネルギー推進課048-600-0356
中部経済産業局資源エネルギー環境課052-951-2792
近畿経済産業局新エネルギー推進室06-6966-6055
中国経済産業局エネルギー対策課082-224-5741
四国経済産業局資源エネルギー環境課087-811-8532
九州経済産業局資源エネルギー環境課092-482-5513
内閣府沖縄総合事務局エネルギー・燃料課098-866-1759

カーボンニュートラル支援窓口

ある程度、導入したい設備・機器が決まっている方は、先に業者の方に相談してみてもよいかもしれません。手続き・申請のノウハウが得られるでしょう。

まとめ

https://pixabay.com/photos/ecology-environment-pollution-4521276/

日本政府は2030年に46%のCO2削減(2013年比)を表明、世界は2050年のカーボンニュートラに向かって加速しています。最近では、企業や自治体のみならず、個人の消費者においても脱炭素を意識する動きが見られています。遅かれ早かれ、いずれは導入を検討する時期はくるでしょう。

いずれ導入するのであれば、税制や補助金が十分に整っている本年度こそ決意する絶好のチャンスです。「カーボンニュートラル税制」と「各補助金」との併用も可能です。導入にあたっては、おそらく「事業適応計画」の認定が最初の難関となります。経済産業省のガイドライン等を参考にしてもわかりづらく、プロのサポートを受けることが避けられません。

不安に思う方も多いかもしれませんが、税制や補助金の活用方法は、各省庁の窓口にて相談できます。加えて、設備等の専門業者の多くが申請をサポートしています。相談してみることで、専門家に任せながら進めていけますので安心です。まずは、お気軽に問い合わせてみましょう。また、自社におけるCO2排出量がどのくらいなのか気になる方は、無料のタンソチェックツールをご活用下さい。

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著者のプロフィール

Takasugi
Takasugi
太陽光発電・蓄電池等を専門とする住宅設備会社での勤務歴10年。再エネの専門知識からエネルギー系の株式投資と記事執筆を開始する。エネルギー専門の投資家兼ライターとして独立して7年。過去にNY、ロンドンの移住歴あり、国内・海外メディアを駆使した情報収集が強み。

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総編集長
福元 惇二(フクモト ジュンジ)

タンソーマンプロジェクト発起人であり、タンソチェック開発を行うmedidas株式会社の代表。タンソーマンメディアでは、総編集長を務め、記事も執筆を行う。

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