多くの企業が脱炭素経営に乗り出し、世界的な脱炭素への動きは加速していますが、それでも2050年のカーボンニュートラルの実現は、極めて困難な目標です。
その険しい道程を乗り越え、脱炭素を実現するためには、ロードマップの作成が必要不可欠です。
本記事では、脱炭素経営においてロードマップの作成がなぜ必要なのか?その理由をわかりやすく解説していきます。
ロードマップを作る理由
脱炭素経営におけるロードマップとは、2050年の脱炭素の実現に向けて、これから30年をかけて行っていく必要がある事項をまとめた「目標達成というゴールまでの地図のこと」です。
このロードマップの作成は、脱炭素経営に取り組む企業にとって、必要不可欠な作業になります。
なぜロードマップの作成が必要不可欠なのか、その理由を説明していきます。
①大きな決断をするためにロードマップが必要
我々はついつい大きな決断を先延ばしにし、日々の小さな活動に没頭してしまいます。
そうして、本当に重要なことに時間を使うことができず、日々の作業で満足してしまう事があります。
この現象を「計画のグレシャムの法則」と呼びます。
これは脱炭素経営にも当てはまります。日々の小さな改善や省エネで精一杯に頑張っているように思えても、その延長だけでは2050年の脱炭素は達成できません。
最初の段階では成果も出やすい省エネ活動は、もちろん脱炭素経営において大切な活動のひとつです。
ですが、どこかのタイミングで思い切った設備投資やビジネスモデルの転換など、大きな決断をしなければ、どこかで頭打ちになってしまいます。
ロードマップに必要になる意思決定をあらかじめ描いておくことで、日々の忙しい活動に没頭することなく、するべき決断に目を向けることが出来るようになります。
②決断のタイミングが明確になる
大きな決断や意思決定は重要なものであればあるほど、そのタイミングが命となります。
タイミングが早すぎれば、十分な効果が出ない可能性があります。
反対にタイミングが遅すぎれば、すでに手遅れで効果がでないことになります。
そうならないために、ロードマップを用いて、決断の最適なタイミングを明確にすることが重要になります。
これにより、重要な意思決定や、大きな決断の効果を最大化する事ができます。
③関係者に方針を伝えるために必要
脱炭素経営の成功には、個人の努力も大切な一つです。
ですが、一人一人がどれだけ頑張ってもその方向性がバラバラであったら、やはり成果を出すことは出来ません。
企業や世の中が何を目指しているか?社員一人一人が明確に理解し、行動のベクトルを揃えることが必要になります。
ロードマップは関係者に自社の方針や、描いている2050年の姿を伝えるツールとして、有効に活用することが出来ます。
④日々の行動指針を作るために必要
2050年の目標達成はとても遠い話に思えますが、日々の小さな改善活動の積み重ねが、大きな目標を実現する上ではとても大切です。
日々の成果をロードマップと照らしあわせることで、活動に改善すべき事があるのか、このまま積み重ねていけば良いのか、そのような答え合わせが可能になります。
ロードマップを作成すれば、日々の活動の行動指針となり、自信をもって活動を進めることが出来るようになるのです。
ロードマップで着地点を明確にしよう
ロードマップ作りにおいて重要なことは、2050年における自社の「着地点」を明確にしておくことです。
着地点が決まればあとは逆算で、いつまでに何をすべきかが明確になってきます。
2050年にCO2排出量100%を達成するのであれば、必ずどこかで再生可能エネルギーを導入し、またビジネスモデルの転換にも着手し、さらには画期的なイノベーションも生み出さなければいけないでしょう。
現状と2050年の着地点とのギャップ次第では、さらなる取り組みや改革も必要になるかもしれません。
まずは2050年に事業を取り巻く環境がどう変化しおり、自社はどうなっているのか?その姿をロードマップのゴールとして描くことが重要です。
まとめ
脱炭素経営においてロードマップの作成がなぜ必要なのか?その理由をご紹介してきました。
地図がなければ道に迷ってしまうように、ロードマップがなければ、脱炭素経営という長く困難な道程を乗り越えることは出来ません。
これから本サイトで、ロードマップの作り方を一緒に学んでいきましょう。
著者のプロフィール
- タンソーマンプロジェクト発起人であり、タンソチェック開発を行うmedidas株式会社の代表。タンソーマンメディアでは、総編集長を務め、記事も執筆を行う。