電力の脱炭素化にどう取り組む?国内電力確保の転換点

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脱炭素経営

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日本は先進国の中でも非常にカーボンニュートラルへの考えや脱炭素に向けた会社 の経営を疎かにしています。
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地球温暖化の防止に向けた「脱炭素化」の取り組みは、世界中で行われています。脱炭素化とは、二酸化炭素などの温室効果ガスの排出量を削減することを意味しています。実現の手段として、化石燃料の使用を減らしたり、再生可能エネルギーの利用を増やしたりすることが挙げられます。化石燃料の燃焼は、大量の二酸化炭素を発生させ、地球温暖化の一因となっているからです。

日本の場合、主な電力供給源は火力発電で、これが大量の二酸化炭素排出の原因となっています。しかし、最新の研究では、日本の電力供給の脱炭素化は、2035年までに実質的に可能であると示されています。詳しいことは、こちらのサイトよりご確認ください。

参照:日本の電力の脱炭素は2035年にも9割実現、日米研究機関が試算

この記事では、日本がどのように電力の脱炭素化に取り組んでいるのか、具体的な事例とともに詳しく解説していきます。ぜひ脱炭素化に向けた取り組みの参考にしてください。

目次

電力の脱炭素化

ここでは、なぜ電力の脱炭素が必要であるのかを詳しく解説していきます。

電力分野の二酸化炭素排出量が最多

日本では、電力分野の二酸化炭素排出量が最も多いということをご存じでしょうか。だからこそ、電力分野において脱炭素化へ向けて動くことで、全体の二酸化炭素排出量を大幅に減らすことが可能です。

それでは、日本の二酸化炭素排出量を具体的な数字で見てみましょう。2021年度に日本が排出した二酸化炭素の総量は約10億6400万トンでした。また、部門ごとの二酸化炭素排出量は、次の表の通りになっています。

エネルギー転換部門(発電所など) 40.4%
産業部門 (工場など)25.3%
運輸部門(自動車など)16.7%
業務その他部門(商業、サービス、事務所など)5.6%
家庭部門5.8%
工業プロセス(石灰石消費など)4.0%
廃棄物(廃プラスチック、廃油の焼却など)2.8%

参照:【JCCCA】4-04 日本の部門別二酸化炭素排出量(2021年度)

この表から、電力分野の排出量が全体の約4割、数値にして約4億2560万トンを占めていることがわかります。これだけ大量の二酸化炭素が電力分野から排出されています。そのため、電力分野における脱炭素化は、非常に重要だと言えるでしょう。

二酸化炭素排出量の算定方法

電力分野から多量の二酸化炭素が排出されていることが理解できたかと思います。しかし、あなたの企業がどれだけの二酸化炭素を排出しているかを把握していなければ、どれぐらい削減すべきなのか、どの生産過程を改善すべきなのか、目標や計画を立てることができません。そこで、二酸化炭素排出量の算定方法について詳しく解説していきます。

各分野ごとに細かい規定はありますが、簡単に説明すると、「活動量×排出係数」です。活動には、生産、使用、焼却などが含まれます。やや難しく聞こえるかもしれませんが、実は非常に簡単です。こちらのタンソチェックからも、簡単に、そして無料で二酸化炭素排出量をチェックすることができますので、ぜひお試しください。

さらに詳しくは、環境省のホームページやガイドラインから確認することができます。

参照:温室効果ガス排出量 算定・報告・公表制度 排出係数の算出方法について

参照:温室効果ガス総排出量 算定方法ガイドライン Ver. 1.0

取り組み事例

続いては、電力の脱炭素化に日本の企業がどのように取り組んでいるのか、いくつかの事例を紹介します。

  • 富士通
  • 東京電力
  • パナソニック
  • 武田製薬工業

富士通

富士通は、デジタル革新を通じて、脱炭素社会の実現に向けた活動を行っています。その取り組みを、中長期環境ビジョン「Fujitsu Climate and Energy Vision」と名付けました。最終的な目標は、二酸化炭素の排出量を2050年までにゼロにすることです。

また、このビジョンは、「自ら:富士通グループのCO2ゼロエミッション」、「緩和:カーボンニュートラル社会への貢献」、「適応:気候変動による社会の適応策への貢献」の3つの要素で構成されています。

「自ら:富士通グループのCO2ゼロエミッション」

富士通は、自社の二酸化炭素排出量を2050年までにゼロにするという目標を掲げています。この目標を達成するためのロードマップを3つのフェーズに分け、各フェーズでの削減目標を定め、その達成に向けて積極的に取り組んでいます。また、富士通は再生可能エネルギーの使用を増やすために、「RE100」というイニシアチブにも参加しています。

関連記事はこちら:RE100とは?設立の背景や参画方法、メリット・デメリットなどを解説

PhaseⅠ: 2020年までの成果

技術の可能性とコスト効率性を考慮して、既存の省エネ技術を国内で広範囲に展開しました。また、AIを活用した新たな省エネルギー技術の検証と低炭素エネルギーの使用を推進しました。海外、特にEUでは、再生可能エネルギーの積極的な導入を進めました。

PhaseⅡ: 2030年までの目標

排出削減を加速させるために、AIの活用ZEB(ネット・ゼロ・エネルギービル)の普及を目指しています。また、国内で利用しやすくなりつつある再生可能エネルギーの導入も、地域の特性やコスト効率を考慮しながら行っていきます。ちなみにZEBとは、省エネ設備や太陽光発電設備によりエネルギーを創り出すことで、消費エネルギー量を大きく抑えている建築物のことです。

PhaseⅢ: 2030年以降の計画

革新的な省エネ技術の導入や利用拡大を進めるとともに、カーボンニュートラルの実現に向けて、カーボンクレジットを用いたオフセットと再生可能エネルギーの更なる導入を推進していきます。

「緩和:カーボンニュートラル社会への貢献」

富士通は、ICTの力を借りて、カーボンニュートラル社会の実現に貢献しています。例えば、企業間、業界間、地域間のエネルギー利用やエネルギー効率を最適化するために、AIやデジタル技術を活用を活用しています。

「適応:気候変動による社会の適応策への貢献」

富士通は、ICTを用いて社会が気候変動に適応するための解決策を提案しています。具体的には、高度な予測技術を利用してレジリエントな社会インフラを創り出したり、食品ロスを最小化するための戦略を立てたりすることなどの取り組みを行っています。

詳しくは、富士通のホームページからご覧ください。

参照:富士通グループ中長期環境ビジョン Fujitsu Climate and Energy Vision

東京電力

東京電力は、「東京電力ホールディングス」、「東京電力フュエル&パワー」、「東京電力パワーグリッド」、「東京電力エナジーパートナー」、「東京電力リニューアブルパワー」の5社で力を合わせて、カーボンニュートラルを目指すことを宣言しています。

カーボンニュートラル実現のための目標と取り組み

具体的な目標は2つあります。1つは、2030年までの間に、東京電力は2013年の水準から販売電力の二酸化炭素排出量を50%削減することです。もう1つは、2050年にエネルギー供給全体からの二酸化炭素排出を完全にゼロにすることです。これらの目標達成のため、東京電力はゼロエミッション電源の開発と、エネルギーの更なる電化推進に力を入れています。

カーボンニュートラルを顧客とともに実現

また、東京電力はカーボンニュートラルの実現を顧客と共に目指しています。そのために、電源のゼロエミッションだけではなく、電化にも積極的に取り組んでいます。こうすることで、化石燃料を電力に置き換えることができるため、二酸化炭素の排出量の大規模な削減が可能となります。このようにして、エネルギーレジリエンスの強化とともに、快適な生活と環境への負担減少に取り組んでいます。

カーボンニュートラルに向けた送配電ネットワークの整備

さらに、再生可能エネルギーの大量導入に向けて、東京電力は、自然災害に耐えられる強靭な送配電ネットワークの整備にも力を入れています。デジタル技術を活用し、分散型エネルギー(小さな発電所など地域に分散しているエネルギーのこと)の有効利用を推進しています。

カーボンニュートラルを実現するベストミックス

東京電力は、安全性を最優先に、エネルギーの安全保障と経済性を考慮した上で、電源のゼロエミッション化やカーボンニュートラルに向けたベストミックス(電源の最適な組み合わせのこと)を追求しています。

東京電力は、紹介した取り組み以外にも脱炭素に向けて、さまざまな取り組みを行っています。詳しくは、東京電力のホームページから見ることができます。

参照:カーボンニュートラルへの挑戦

パナソニック

パナソニックでも、脱炭素に向けてさまざまな取り組みが行われています。2017年に、「パナソニック環境ビジョン2050」を立ち上げ、省エネルギーとクリーンエネルギーの推進に取り組んできました。このビジョンは、エネルギー消費を削減し、クリーンエネルギーを増加させることを目標にしています。そして、2050年までに創出するエネルギーが、消費するエネルギーを超えることを最終的なゴールに定めています。この取り組みは、世界でも高く評価され、2017年10月にSBT認定を受けました。

関連記事はこちら:脱炭素経営のSBTとは?取り組むメリットも解説

さらにパナソニックは、パナソニック環境ビジョン2050までの中期目標として「GREEN IMPACT PLAN 2024」(GIP2024)という3年間の具体的な環境行動計画を発表しました。この計画には、「OWN IMPACT」、「CONTRIBUTION IMPACT」、「FUTURE IMPACT」の3つの要素があります。それぞれの要素において、二酸化炭素の排出量をどのぐらい削減すべきなのか、具体的な数値を目標に定めています。

「OWN IMPACT」では、現在の1.1億トンの二酸化炭素排出量を2024年度には1,634万トンまで削減することを目指しています。特に重視されるのは、2021年の9工場から2024年度には37工場まで、製造過程での二酸化炭素排出量をゼロにする工場を増やすことです。

「CONTRIBUTION IMPACT」では、2024年度までに社会全体での二酸化炭素の削減貢献量を3,830万トンにするという目標を掲げています。ここで力を入れているのは、電化、エネルギー効率、水素の分野での競争力の強化です。これにより、削減貢献量を9,300万トンに引き上げることを目指しています。

「FUTURE IMPACT」では、エネルギー改革に焦点を当てています。水素エネルギーの分野において新規事業を展開し、技術開発を進めることを通じて、一億トンの削減貢献を行うことが目標です。詳しくは、パナソニックのホームページからご覧ください。

参照:環境:中長期環境ビジョン

武田製薬工業

武田薬品工業では、2040年までに自社の直接的な温室効果ガスの排出をゼロにすると発表しました。さらに、2025年度までに2016年度比で40%の排出量削減を目指しています。そのために、エネルギー効率を高めたり、再生可能エネルギーを利用したりなどの活動を行っています。

製薬業界では、医薬品の製造と保管には特定の温度と湿度を維持する必要があり、それを実現するための空調システムが大量のエネルギーを消費し、それが二酸化炭素の主な排出源となります。そのため、武田薬品工業ではエネルギー消費の効率化と再生可能エネルギーの利用拡大により、二酸化炭素排出量の削減を図っています。

脱炭素は、環境のためだけに役に立つのではありません。新薬の製造拠点を選ぶとき、その場所の二酸化炭素の排出量も重要視されるようになりました。もし排出量が高ければ、製造場所として選ばれない可能性があるのです。そのため、温室効果ガスの排出量を減らすことは、日本の製薬産業がグローバルな競争に勝つためには欠かせない要素となっています。

また、2050年度までに排出量をゼロにすることを目標にしている企業が多いことに疑問を持った方もいらっしゃるのではないでしょうか。それについては、こちらの記事で分かりやすく解説していますので、ご覧ください。

関連記事はこちら:カーボンニュートラルの宣言とは?2050年に向けた企業の宣言を解説

国内電力確保の転換点

武田薬品工業は、新薬の製造場所の選択に二酸化炭素の排出量が大いに関係することを明らかにしました。このように現代では、製造業者が再生可能エネルギーを活用しているかどうかが製品の評価に大きな影響を与えるようになってきています。そのため、化石燃料の代わりに太陽光などの再生可能エネルギーを活用することは、今後ますます重要になるでしょう。

これは、日本が電力供給の新たな道筋を探る必要があるというシグナルでもあります。化石燃料の使用を控え、再生可能エネルギーを積極的な導入が求められている今こそ、国内電力確保の転換点だと言えるでしょう。

まとめ

ここまで日本の企業がどのように電力の脱炭素化に向けた取り組みを進めているかを解説してきました。電力分野における二酸化炭素の排出量は、全体の4割を占めていることからも、早急に取り組む必要があることが理解できたかと思います。

化石燃料に依存しがちなエネルギー供給を、エネルギー効率の高い設備や再生可能エネルギーの導入することによって、脱炭素化させることが求められています。その第一歩として、あなたが所属する企業がどれだけの二酸化炭素を排出しているのかを把握することから始めてみてはいかがでしょうか。下記リンクから、簡単かつ無料で二酸化炭素排出量を調べることができますので、ぜひお試しください。

参照:タンソチェック【公式】-CO2排出量算定削減サービス

著者のプロフィール

川田 幸寛
小学校教員として、カーボンニュートラルや脱炭素に関する授業を行った経験がある。子どもたちが理解できるように、専門用語を分かりやすく、かみ砕いて説明することを心がけた。この経験を活かし、脱炭素化の重要性を広く伝えるために、誰にとっても理解しやすい記事を作成している。

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福元 惇二(フクモト ジュンジ)

タンソーマンプロジェクト発起人であり、タンソチェック開発を行うmedidas株式会社の代表。タンソーマンメディアでは、総編集長を務め、記事も執筆を行う。

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脱炭素経営

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日本は先進国の中でも非常にカーボンニュートラルへの考えや脱炭素に向けた会社 の経営を疎かにしています。
しかし、近年は日本でも脱炭素経営を行う企業が増えています。いますぐ脱炭素経営に取り組みませんか?

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