脱炭素経営の2050年のゴールを見据えた時に、再生可能エネルギーの自家発電の導入は、一度は必ず検討したい取り組みになります。

本記事では「再生可能エネルギーの自家発電を導入するメリットからその方法まで」わかりやすく解説していきます。

再エネはサステナブルなエネルギー資源

再生可能エネルギーの自家発電の導入は、脱炭素経営の軸である「CO2排出削減」と「資源の枯渇リスクへの対策」という2つの取り組みに対して、極めて有効な手段となります

なぜなら、再エネは、CO2排出量が0なだけでなく、枯渇しないエネルギー資源でもあるからです。
石油や石炭のような化石燃料と違い、再エネの燃料といえる太陽光や風は、尽きることがありません。

再エネは、資源の枯渇リスクを解決する、サステナブルなエネルギー資源といえるのです。

再エネ導入の注意点

再生可能エネルギーの自家発電の導入には、慎重な検討を要することは言うまでもありませんが、特に注意したいポイントは以下のような事項になります。  

再エネ資源の地理的分布

再エネ資源の分布には偏りがあり、企業の活動拠点を考慮した検討が必要です。

太陽光発電は、日照時間の多い地域と少ない地域では、確保できるエネルギー量に大きな差がでますし、風力発電は住宅地が広がるエリアでは設置自体が困難となります。

発電地と消費地が離れていても、送電網を利用して、電力を託送することは技術的には可能ですが、託送料などを考えると、発電地と消費地は近接していることが望ましいでしょう。

拠点の移動を検討する際には、再生可能エネルギーの発電地としての地理的優位性が、判断材料のひとつとなってきます。

自家発電設備の維持管理

しっかりと検証が必要なのが、再エネの自家発電設備を導入した後の維持管理についてです。
当然導入設備は使用していれば経年劣化がおきますので、メンテナンス費用が経費として発生します。

例えば、太陽光発電に使用するシリコンパネルは、野外に設置されるため、雨風の影響を受け、およそ10年程度で修繕や取り換えが必要になります。

現在、国内に流通しているシリコンパネルの大部分を中国製のものが占めており、価格がなかなか安定していません。
今後、価格高騰のリスクがあることも想定しておく必要があります。

維持管理にかかる費用がキャッシュを圧迫すれば、脱炭素経営に向けた投資が後回しになり、活動がじり貧になるリスクもあります。
脱炭素経営の取り組みとして導入した設備が、脱炭素経営の弊害になっては本末転倒です。

どの程度の費用が毎年発生するのか?をしっかりと検討するようにしましょう。

再エネの導入は補助金制度を活用しよう

再エネの自家発電設備の導入には、国や自治体から様々な補助金が用意されています。
自社で活用できるものがないか、必ず検討をするようにしましょう。

設備を販売するメーカーや代理店も、補助金の情報にはアンテナを高く張っていますので、検討をする際に、これらの購入先から活用できる補助金がないかを聞くのも良いでしょう。

補助率の半分から多いものでは3分の2を、高額なものであれば、数千万円の補助がでるものもありますので、設備導入を力強く後押ししてもらえます。

近年注目を集めるオンサイトPPA

近年、再生可能エネルギーの自家発電設備の導入において、注目を集めているのが、オンサイトPPAという導入手法です。

オンサイトPPAとは、発電事業者(PPA事業者)が、再生可能エネルギーを活用したい企業(需要家)の保有施設の屋根や遊休地に発電設備を設置し「運用・保守業務」を実施し、そこで発電された電力を需要家に販売する手法です。
(PPAはPower Purchase Agreementの略)

需要家である企業は、自社で自家発電設備の導入費用や維持管理費用を負担することなく、再生可能エネルギーの調達が可能になります。

また、発電事業者との電力の契約は、長期に渡るケースが多いです。
購入する電力は再エネ由来のため「再エネ賦課金」や「燃料調整費」が免除され、電気料金上昇の影響を受けにくいというメリットもあります。

さらに、契約期間が終了後は、設備を需要家である企業が引き取れるケースが多く、うまく活用すれば、企業にとって非常にメリットの多い、再エネの導入方法になりえます。

まとめ

ここまで、再生可能エネルギーの自家発電を導入するメリットから、その方法までご紹介してきました。

再生可能エネルギーの自家発電は、費用面などから簡単に取り組める施策ではありませんが、近年は設備の導入負担が軽減されるPPAという手法も広がっており、導入ハードルは徐々に下がってきています。

一度自社での導入を、シュミレーションされてみてはどうでしょうか。

著者のプロフィール

福元 惇二
福元 惇二
タンソーマンプロジェクト発起人であり、タンソチェック開発を行うmedidas株式会社の代表。タンソーマンメディアでは、総編集長を務め、記事も執筆を行う。