2050年のカーボンニュートラルの実現は、現状のままだと極めて難しいといえるでしょう。

つまり、現状を打破するような、画期的なイノベーションが各企業には求められます。
本記事では、イノベーションが脱炭素へもたらす影響と、そのために私たちが持つべき視点について、分かりやすく解説していきます。

脱炭素経営にはイノベーションが不可欠

CO2排出量を0にするカーボンニュートラルを2050年までに実現するには、現状の取り組みを30年続けているだけでは、絶対に実現することは不可能です

そのためには、多くのイノベーションと発想の転換により、革新的な技術が生み出される必要があります。
イノベーションが求められるのは、エネルギーを使う側(需要者)と生産する側(供給者)の双方に求められます。

供給者である電力会社は、今よりも効率的にエネルギーを生み出す技術や、CO2フリーな再生可能エネルギーである水素発電や地熱発電など、大きなポテンシャルを秘めている再生可能エネルギーの技術革新を進める必要があります。

一方で、エネルギーを使用する需要者も、より少ないエネルギーで付加価値を生み出せるよう、エネルギー生産性を飛躍的に向上させる必要があります。

現在、石油や石炭で作られ、使用されている製品を、水素やそれらで作られる電気で代替する技術を確立していく事が求められるでしょう。

脱炭素イノベーションはビジネスチャンスでもある

現在、世界中で脱炭素を実現するためのイノベーションや、そこから生まれる革新的な技術を待っている状態です。

そのため、脱炭素イノベーションは大きなビジネスチャンスになり、世界中の企業が脱炭素の研究分野に投資を行っています。
国内の大企業においても、活発に研究がされている事例をご紹介します。

トヨタ自動車
自動車業界では、現在、世界中で電気自動車の開発競争が過熱していますが、トヨタ自動車も、2030年までに5兆円の事業投資を行うことを発表しています。
当初計画では1兆円だったことからも、トヨタ自動車が本気で技術開発に取り組んでいく姿勢が見てとれます。

参照:https://global.toyota/jp/newsroom/corporate/39261208.html

大林組
ゼネコン最大手の大林組では、地熱電力を利用した水素の製造技術の開発に注力しています。
水素はCO2フリーの再生可能エネルギー資源として期待されており、同じく再生可能エネルギーである地熱発電電力を用いて、CO2フリー水素を製造するプラントを国内や海外に建設し、実証実験を行っています。

参照:https://www.obayashi.co.jp/news/detail/news20210718_1.html

イノベーションを起こす視点

このようなイノベーションは、大企業や国家によるものであって、中小企業は関係がないと考えてはいけません。

国内に存在する企業の99%以上が中小企業である以上、中小企業のイノベーションは、日本のカーボンニュートラルの実現に不可欠であることは明らかです

では、イノベーションを起こすためには、どのような視点で取り組むことが必要なのか?いくつか事例を紹介していきます。

脱プラスチック

今の世の中は、プラスチックで出来た製品であふれています。
しかし、化石燃料の枯渇は、プラスチック類の枯渇でもあり、またプラスチック類の多くは再利用が困難で、廃棄物問題に直結している現実もあります。

プラスチックを使用している製品やサービスを、プラスチック以外の原料に置き換えることも、脱炭素の立派なイノベーションです。

ライフサイクルが長い製品開発

20世紀の経済社会は、資源や製品を大量生産し廃棄する社会でした。

しかし、このような社会は脱炭素と逆行するものです。
これからは、ライフサイクルの長い製品開発が求められます。

これらは製品開発だけでなく、収益構造の転換も同時に成功させなければ、生き残ることは出来ないことを意味しています。

シェアリングエコノミーやリースを導入

近年、特に若者を中心に、ものを持たずにシェアする生き方が人気となっており、シェアリングエコノミーという新しい経済の動きが出ています。

買わなければ古くなることもなく、維持費もかからず、置き場所や捨てる場所にも困りません。
日々の生活における、極めて合理的な選択肢として、今後ますます様々な製品サービスで、シェアという選択肢が一般的になるかもしれません。

人々から求められるサービスとは何かを考え、リリースすることも立派なイノベーションなのです。

まとめ

ここまで、イノベーションが脱炭素へもたらす影響と、そのために私たちが持つべき視点について、紹介していきました。

カーボンニュートラルは現状維持では到達できず、現状打破こそが達成のカギとなります。
そのために、1日でも早い技術革新が求められます。

現状に対する危機意識が、イノベーションを引き起こす原動力になるのです。  

著者のプロフィール

福元 惇二
福元 惇二
タンソーマンプロジェクト発起人であり、タンソチェック開発を行うmedidas株式会社の代表。タンソーマンメディアでは、総編集長を務め、記事も執筆を行う。