現代の社会では、持続可能なビジネス活動がますます重要性を増しています。特に、地球温暖化や気候変動といった環境問題に対処するためには、二酸化炭素(CO2)などの温室効果ガスの排出を削減することが必須です。こうした背景から、再生可能エネルギーが注目を集めています。再生可能エネルギーとは、地球に優しいエネルギー源であり、CO2を排出することなく、持続可能な発展を実現するための重要な手段となっています。

本記事では、再生可能エネルギーの種類、再生可能エネルギーを用いるメリット、二酸化炭素の排出量を減らすことの重要性、二酸化炭素を減らすことによるビジネス上のメリットについて解説します。

再生可能エネルギーとは

再生可能エネルギーとは、地球の自然なプロセスや持続可能な資源から生み出されるエネルギー源の総称です。これは化石燃料に頼る代わりに、地球に優しい方法でエネルギーを生成する手段を指します。再生可能エネルギーは、持続可能性と環境への配慮を重視する社会において、エネルギー供給の安定性と環境保護の両立を可能にする重要な要素となっています。

再生可能エネルギーの主な形態には、太陽光エネルギーや風力エネルギー、水力エネルギー、バイオマス、地熱エネルギーなどがあります。これらのエネルギー源は、自然のエネルギー循環を活用しており、燃料を消費することなくエネルギーを供給する特徴を持っています。これに対して、化石燃料は有限であり、その燃焼によってCO2などの温室効果ガスを大量に排出するため、地球温暖化の原因となっています。

再生可能エネルギーの利用は、環境への影響を最小限に抑えるだけでなく、経済的なメリットももたらします。再生可能エネルギーは、燃料の調達において化石燃料に依存する必要がなくなるため、エネルギー価格の変動に左右されにくくなります。また、再生可能エネルギーの導入によって地域の雇用創出が促進されることもあります。

さらに、再生可能エネルギーの導入は、企業の社会的責任(CSR)を果たす上での有力な手段となります。環境への配慮や持続可能性への取り組みは、消費者や投資家からの支持を受けやすくなり、ブランド価値の向上につながる可能性があります。以下では、再生可能エネルギーの種類やメリットについて詳しく解説します。

再生可能エネルギーの種類

ここでは、5つの再生可能エネルギーについて、それぞれの発電の仕組みと特徴、メリットについて解説します。

太陽光発電

太陽光発電は、太陽光から直接電力を生み出すエネルギー変換方式です。この方式では、太陽光が太陽光発電パネル(ソーラーパネル)に当たり、光励起によって電気エネルギーを生成します。発電された電力はインバーターを通じて交流電力に変換され、家庭や事業所で利用できる電力になります。

太陽光発電の特徴とメリットは、再生可能なエネルギー源であるため、二酸化炭素やその他の有害な排出物をほとんど出さない点にあります。太陽光は豊富に存在し、再生可能エネルギーの中で最も普及しているため、導入が比較的容易です。また、ソーラーパネルの寿命は長く、メンテナンスコストが低いため、長期的な利益をもたらす点も魅力です。さらに、遠隔地にも導入可能で、電力供給の確保が難しい地域にも利用価値がある点も挙げられます。

風力発電

風力発電は、風の運動エネルギーを回転する風力タービンを通じて電力に変換する方式です。風力タービンの回転により発電機が発電し、電力を得ることができます。風力発電の特徴とメリットは、風は持続的なエネルギー源であり、風が吹けば常に発電が可能である点が挙げられます。この方式は比較的低コストで導入できるため、大規模な発電所から小規模な個人の発電施設まで幅広く利用されています。

発電所の運転コストが低く、燃料費が不要であるため、長期的な投資収益が期待できるという利点もあります。また、風力発電所は土地を有効活用することができ、他の用途にも利用できる柔軟性も魅力です。

水力発電

水力発電は、水の流れや高低差を利用して発電する方法です。水力発電所では、水がタービンを回転させ、発電機が電力を生み出します。水力発電の特徴とメリットは、非常に安定した電力供給が可能で、需要に合わせた調整が容易な点です。一度建設されると、長期間にわたって安定した電力を供給できるため、エネルギーの予測性が高いという利点もあります。

また、建設による環境への影響が大きいこともありますが、運転中のCO2排出はほとんどないため、長期的な環境負荷を低減できる点も重要です。

地熱発電

地熱発電は、地下の地熱を利用して発電する方法です。地下の蒸気や高温の水を利用し、タービンを回転させて発電機を駆動します。地熱発電の特徴とメリットは、地熱は地球内部に豊富に存在し、再生可能なエネルギー源として持続的に利用できる点です。

燃料を消費することなく発電が行われるため、二酸化炭素をほとんど排出しないという環境への配慮が際立つ特徴があります。さらに、発電所が地下に設置されるため、風景や自然環境への影響が少なく、景観保全にも寄与するという利点も挙げられます。

バイオマス発電

バイオマス発電は、廃棄物や農業残渣などのバイオマス(有機物)を発酵させて発生させたバイオガスを燃料として利用し、発電を行います。バイオマス発電の特徴とメリットは、バイオマスは再生可能な資源であり、廃棄物を有効活用することができるという環境への配慮が際立ちます。発電プロセスにより二酸化炭素が放出されるため、そのまま放置されるよりも温室効果ガスの排出削減に寄与するという地球環境への貢献が特徴です。

また、バイオマス発電は地域の自給自足型のエネルギーシステムの構築に適しており、地域の経済活動を活性化させるメリットもあります。

再生可能エネルギーを用いるメリット

再生可能エネルギーは、地球温暖化や気候変動といった環境問題への対策として注目を集めています。その使用にはさまざまなメリットがあります。以下では、「環境への負荷が小さい」と「地域経済への貢献」について詳しく解説します。

環境への負荷が小さい

再生可能エネルギーの利用は、環境への負荷を大幅に減らすことができます。主な環境への負荷軽減点は以下の通りです。

①温室効果ガスの削減
再生可能エネルギーは、燃料をほとんど消費しないか、全く消費しないため、二酸化炭素(CO2)やその他の温室効果ガスの排出をほとんど生じません。これにより、地球温暖化の原因となる温室効果ガスの排出を抑制し、気候変動に対する貢献が期待できます。

②大気汚染の低減
再生可能エネルギーの発電プロセスでは、燃焼による有害物質の排出がほとんどありません。これにより、大気汚染の軽減が期待できます。特に、化石燃料に依存する発電所が多い地域では、再生可能エネルギーの導入により空気の質が改善され、公衆衛生にも好影響をもたらします。

③水質への影響の低減
水力発電以外の再生可能エネルギー形式では、水質への直接的な影響がほとんどありません。一方、化石燃料の採掘や発電に伴う水質汚染や海洋生態系への影響を減らすことができます。

地域経済への貢献

再生可能エネルギーの導入は地域経済へ多くの利益をもたらします。以下に、地域経済への貢献点をいくつか示します。

①雇用創出
再生可能エネルギーの産業は成長産業とされており、太陽光発電や風力発電などの施設の設置、運営、保守に多くの労働力が必要とされます。そのため、地域において雇用の創出が期待できます。特に、地域の特性に合った再生可能エネルギーの活用が進められることで、地域住民の雇用機会が増加し、経済活動が活性化します。

②地域産業の育成
再生可能エネルギーの導入には、様々な機器や材料の供給が必要とされます。これにより、地域の企業が需要に応じて再生可能エネルギーに関連する機器や部品を供給することで地域産業が育成されます。地域経済全体の活性化に寄与します。

③産地創りと観光資源の活用
風力発電や太陽光発電施設は、風や太陽の豊富な地域に建設されることが一般的です。これにより、地域の特産品と再生可能エネルギーを組み合わせた「産地創り」が進むことがあります。また、美しい風景に設置された再生可能エネルギー施設は観光資源としても魅力を持ち、地域観光産業の発展に寄与することがあります。ただし、逆に、太陽光パネルが風景を乱すことが一部の地域では課題になっているので注意が必要です。

二酸化炭素の排出量を削減することの重要性

ここでは、なぜ二酸化炭素の排出量を減らすことが重要なのかについて解説します。

二酸化炭素排出による問

二酸化炭素(CO2)は地球温暖化の主要な原因とされており、気候変動や環境への多くの問題を引き起こしています。

①気候変動
二酸化炭素は温室効果ガスの代表的なものであり、大気中に増加することで太陽からの熱を地球にとどめる役割を果たします。しかし、人間の活動による大量の二酸化炭素排出が、大気中のガス量を増加させ、地球の温暖化を引き起こしています。これにより、異常な気候変動が進行し、自然災害の頻発や異常気象の増加などが見られるようになりました。

②海洋酸性化
二酸化炭素は大気と海洋の間で相互に作用し、海洋にも吸収されます。この過程により、海水のpHが低下し、海洋酸性化が進行しています。海洋酸性化は、サンゴ礁や貝殻形成生物など、多くの海洋生物に影響を与え、生態系のバランスを乱す原因となっています。

③生物多様性への影響
気候変動と海洋酸性化の影響により、生物多様性への悪影響が増加しています。気温の上昇による生息地の変化や、海洋酸性化による海洋生物の生育障害が、多くの生物種の存続を脅かしています。

二酸化炭素を減らすことによるビジネス上のメリット

二酸化炭素の排出を削減することは、ビジネス上でさまざまなメリットをもたらします。以下に、その具体的なメリットを示します。

①グリーンイメージの向上
企業が再生可能エネルギーを導入したり、二酸化炭素排出を削減する取り組みを行うことで、環境に対する意識が高いとのイメージを築くことができます。これにより、消費者や投資家からの信頼性が向上し、ブランド価値の向上や新たなビジネス機会の拡大につながることがあります。

②法規制への対応
世界各国で環境への配慮が進む中、二酸化炭素排出の削減を求める法規制が厳格化しています。企業がこれらの規制に積極的に対応し、環境への負荷を低減する姿勢を示すことで、リスク回避や罰則を回避することができます。

③エネルギー効率の向上
再生可能エネルギーや省エネルギー技術の導入により、エネルギーの効率が向上します。エネルギーの効率化は、企業の経費削減に繋がり、競争力の向上に寄与します。

④新たな市場の開拓
再生可能エネルギーや低炭素技術に関連した市場は急成長しており、新たなビジネスチャンスが広がっています。例えば、再生可能エネルギーの機器やシステムの開発・販売、エネルギーの貯蔵技術など、多くの分野で成長産業としての可能性があります。

⑤投資への誘引
近年、ESG投資が増加しており、環境への負荷を低減する取り組みを行う企業への投資意欲が高まっています。企業が環境への配慮を重視することで、投資資金の誘引や長期的な資本の安定獲得につながる可能性があります。

二酸化炭素削減に向けた企業の取り組み

ここでは、世界的な大企業であるAppleの事例を紹介します。Appleは、カーボンニュートラルを達成するために、革新的な手段を活用しています。世界中のクリーンエネルギーソリューションの拡大や排出ガスの削減を支援するため、47億ドルのグリーンボンドを活用しています。これにより、大規模な太陽光発電プロジェクト、低炭素設計、エネルギー効率向上、炭素除去などに投資し、再生可能エネルギーの普及と持続可能な技術の開発を進めています。

AppleのCEOであるティム・クック氏は、「Appleは自社の事業においてカーボンニュートラルであり、気候変動への対処を急務として取り組んでいます。世界中のパートナーと協力し、グローバルサプライチェーンでの電力消費に再生可能エネルギーを導入し、次世代のグリーンテクノロジーへの投資を進めています。この課題は非常に大きな挑戦ですが、Appleは強い決意を持って解決に取り組んでいます」と述べています。

Appleの取り組みは、再生可能エネルギーの普及と環境への負荷軽減に向けた模範となるものであり、企業が持続可能な未来を築くために果たすべきリーダーシップの一例と言えるでしょう。ビジネスと環境の両面での成果を追求するAppleの姿勢は、世界の企業に対してインスピレーションを与えています。

まとめ

本記事では、再生可能エネルギーの種類、再生可能エネルギーを用いるメリット、二酸化炭素の排出量を減らすことの重要性、二酸化炭素を減らすことによるビジネス上のメリットについて解説しました。二酸化炭素の排出量を削減するためには、再生可能エネルギーを使用することが近道です。是非、それぞれの種類の特徴を吟味したうえで、導入を検討してください。

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著者のプロフィール

福元 惇二
福元 惇二
タンソーマンプロジェクト発起人であり、タンソチェック開発を行うmedidas株式会社の代表。タンソーマンメディアでは、総編集長を務め、記事も執筆を行う。