2050年の状況を考えた時、大量のエネルギー消費を前提とするビジネスは、衰退していくと考えられます。
しかし、ビジネスモデルの転換は簡単に出来ることではなく、早急に取り組みを開始する必要があります。
結論からお伝えすると、2050年に勝てるビジネスモデルとは、事業のミッションと付加価値のバランスが両立できているビジネスモデルです。
本記事では、エネルギー不足が深刻化するこれからの世の中で「勝てるビジネスモデルを見出すために、しなければいけないこと」を分かりやすく解説していきます。
エネルギー不足と2050年のエネルギー枯渇
2050年の世の中で起きていることを予想するのは、簡単ではないです。
ですが、高い確率で起きるであろう課題のひとつに、エネルギー不足の問題があります。
現在の主力エネルギー資源である、石油や石炭といった化石燃料は、確実に枯渇に向かっていき、その中で価格の高騰や国家間での取り合いが起こることは明白です。
脱炭素化のカギとなる再生可能エネルギーも、現在の技術では、現状の消費されているエネルギーをすべて補えるほどの供給量は確保できません。
当然、2050年までに、ある程度の技術革新は期待できるとしても、それによりエネルギー不足が完全に解決する保証はどこにもありません。
現状より少ないエネルギーで、同じ付加価値を生み出せるビジネスモデルに、2050年までに変わっていかなければいけないのです。
エネルギー生産性を現状の3倍にする
では、2050年には、どれだけエネルギーが不足するのでしょうか?
様々な試算がされていますが、世界で供給可能な太陽光などを由来とする再生可能エネルギーは、現状の世界の消費エネルギーの3分の1程度と言われています。
つまり、2050年に経済規模を今と同じレベルに維持するためには、およそ3倍のエネルギー生産性を実現する必要があるという事になります。
生産性の向上こそが、経済と環境を両立させるために残された道であり、企業の生き残りの道でもあることを、しっかり意識することが重要になります。
事業自体のミッションと付加価値のバランス
生産性の向上が重要だと述べましたが、生産性を向上させることは、簡単なことではありません。
技術開発や革新的な発明が不可欠ですし、それでも3倍まで生産性を向上させる事は、かなり難しいです。
そこで必要になるのが、事業自体の見直しです。
2050年までという時間的な猶予を活かし、ビジネスを改めて見つめ直すことで、2050年にも勝てるビジネスモデルに転換していかなければいけません。
2050年に勝てるビジネスモデルとは、事業のミッションと付加価値のバランスが両立できているビジネスモデルです。
それぞれ次に紹介する項目を見える化していくことで、勝てるビジネスモデルが見えてきます。
どのような社会課題に応えるのか
ビジネスで生まれる利益は、社会の役に立った対価として得るものであり、ビジネスの本質です。
2050年の社会課題に対して、必要とされるサービスを提供できるのであれば、2050年においても存続できる可能性は高くなります。
エネルギーが3分の1になるということは、3分の2のサービスは淘汰されるということを意味します。
様々なサービスが乱立し、消費者が多くの選択肢からサービスを消費する時代から、真に社会の役に立つサービスだけが生き残れる時代になっていくことを再認識し、世の中の役に立ち続けるビジネスであるかを、改めて考えてみましょう。
コストは合理的か
どれだけ世の中の役にたつビジネスであっても、コストが見合わずに利益がでなければ、そのサービスを安定して世の中に提供することは出来ません。
またコスト自体は見合っていても、そのサービスが、化石燃料の使用に依存しているのであれば、これもまた2050年に生き残ることは出来ないでしょう。
ビジネスに要するコストが、長い目で見ても合理的であり、しっかりと利益を出せるビジネスモデルであるかを、しっかりと見える化することが重要です。
生産性で負けていないか
コストの合理性と同じく大切な項目が、生産性で競合に負けていないかという指標です。
エネルギー不足が深刻化した社会において、生き残る企業は誰よりも無駄なくサービスを提供した企業です。
自社のビジネスが社会に役に立つビジネスであり、コストも合理的であっても、より少ないエネルギーで同じ価値を提供する競合が存在すれば、消費者はそちらを支持します。
どれだけ利益がでていても、生産性を常に磨き続けなければ、厳しい市場競争で生き残ることはできないです。
そのためには、ビジネスで得た利益を「ヒト・モノ・カネ」の経営資源に再分配し、生産性の高いビジネスへと昇華させていく、好循環を生み出していくことが重要です。
まとめ
ここまで、エネルギー不足が深刻化するこれからの世の中で、勝てるビジネスモデルを見出すために、しなければいけないことを紹介してきました。
ビジネスモデルの転換や構築は、一足飛びに出来る事ではありません。
将来を見据え、すこしずつ実行していくことが重要です。
著者のプロフィール
- タンソーマンプロジェクト発起人であり、タンソチェック開発を行うmedidas株式会社の代表。タンソーマンメディアでは、総編集長を務め、記事も執筆を行う。