カーボンニュートラルの問題点とは?矛盾は存在する?

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近年、カーボンニュートラルが環境問題に対処する切り札として注目されています。しかし、カーボンニュートラルを実現するための活動は、新たな問題をもたらす可能性があるのです。この記事では、カーボンニュートラルに向けた取り組みを手短に紹介した後、カーボンニュートラルが抱えている問題点や矛盾点について詳しく解説します。

目次

カーボンニュートラルに向けた取り組み

そもそも、カーボンニュートラルとは、二酸化炭素の排出量と吸収量を等しくすることで、大気中の二酸化炭素の総量を増やさないようにする考え方のことです。カーボンニュートラルに向けた取り組みの多くは、排出する二酸化炭素の量を削減しようとするものが多いです。

その取り組みとして一般的なのが、再生可能エネルギーの利用です。二酸化炭素が排出される主な原因の一つは、石炭や石油などの化石燃料を利用したエネルギー供給で、特に、火力発電からの脱却が求められています。再生可能エネルギーは、化石燃料を使用しないため、二酸化炭素の排出量をかなり抑えることができるのです。ここでは、3つの再生可能エネルギーを紹介します。

バイオマス

バイオマス発電は、植物や動物などを燃やすことで発電を行う方法です。燃焼時に出る二酸化炭素は、植物が成長する際に吸収した二酸化炭素と同量であるため、燃焼による二酸化炭素の排出量は実質ゼロ、つまりカーボンニュートラルであるとみなされています。

ただし、原料となる植物を適切に管理することが求められます。過度な伐採や不適切な農法は、環境に悪影響を及ぼす可能性があるため、注意が必要です。

太陽光

太陽光発電は、太陽の光を直接電気エネルギーに変換する技術です。そのため、太陽光発電は燃料を必要とせず、二酸化炭素を排出しないため、環境に優しいとされています。また、太陽光エネルギーは、化石燃料のように枯渇するリスクがないため、持続可能な社会を支える上で非常に重要です。太陽光発電の設備は、屋根に設置することが一般的で、中小企業や個人でも簡単に導入することができます。

風力

風力発電は、風の力を利用して発電を行う方法です。風車を使って、風を電気エネルギーに変換します。風力発電は、太陽光発電と同様に、エネルギーを得るために化石燃料を必要としない環境に優しいエネルギー源です。特に、風が安定している地域では大量の電力を供給することができます。

しかし、風力発電にも課題が存在します。例えば、風が不安定な地域では、電力供給が不安定になる可能性があります。さらに、風車が鳥類の生態系に影響を与える可能性もあるため、環境への影響にも十分な配慮が必要となります。

再生可能エネルギーについては、こちらの記事でさらに詳しく解説していますの。ご参照ください。

関連記事はこちら:カーボンニュートラルは再生可能エネルギーで対応可能?課題から最新技術も解説

また、カーボンニュートラル実現のために、再生可能エネルギーの利用以外の取り組みも複数あります。下記リンクより、カーボンニュートラルに取り組んでいる企業と具体的な取り組み方法について紹介していますので、ぜひご覧ください。

関連記事はこちら:CO2削減における企業の取り組み事例とは?

関連記事はこちら:中小企業も行うべきカーボンニュートラルとは?取り組み方法や事例も解説

カーボンニュートラルの問題点

ここからは、カーボンニュートラルの4つの問題点について解説していきます。

  • 再生可能エネルギーの導入に多額の費用が必要
  • 火力発電への依存
  • 二酸化炭素の排出量ゼロは実現困難
  • 先進国と発展途上国の格差

再生可能エネルギーの導入に多額の費用が必要

再生可能エネルギーは、カーボンニュートラルの実現には欠かせません。しかし、その導入には多額の費用が必要です。例として、太陽光発電によって、二酸化炭素の排出量を1%削減するためには、毎年1兆円の費用がかかっていることが明らかとなっています。

さらに、公益財団法人地球環境産業技術研究機構(RITE)の試算によれば、2050年にカーボンニュートラルの達成し、その状態を維持するためには約90兆円が必要になるとのことです。日本の国家予算が約100兆円であることからも、90兆円がいかに大きな額であるのかが分かります。

ただし、原子力発電を利用することでこの費用を54兆円まで下げられます。しかし、東日本大震災による福島第一原子力発電所の事件があったこともあり、原子力発電所を増やすという選択肢は容易には取れない状況があります。

火力発電への依存

火力発電は、化石燃料を燃焼して電力を生成するため、大量の二酸化炭素を排出してしまいます。そのため、カーボンニュートラルの実現には、火力発電からの脱却が必要です。しかし、一部の地域では、火力発電のように安定したエネルギー源の確保が難しい現状があります。

IEAの”Key World Energy Statistics 2019”によると、エジプトやイラン、トルコなどの国は、電力供給の90%以上が火力発電となっています。そのため、火力発電の代わりとなるエネルギー源を見つけ出すことが重大な課題となっています。詳しくは、IEAのサイトよりご覧ください。

参照:Key World Energy Statistics 2019 – Event – IEA

原子力発電が、火力発電の代替エネルギー源として考えられますが、原子力発電所に関わる事故のリスクから、その運用は難しい面があります。また、使用した核燃料の処理などの問題もあるため、最善策とは言えないでしょう。

二酸化炭素の排出量ゼロは実現困難

二酸化炭素の排出をゼロにすることが、カーボンニュートラル達成の理想的な状態です。しかし、実現は非常に困難だと言えます。例えば、電気自動車は、走行中は二酸化炭素を排出しませんが、電気自動車の製造や充電の過程で化石燃料を利用することが多いため、間接的に二酸化炭素を排出してしまいます。

さらに、再生可能エネルギーについても同様の問題があります。再生可能エネルギーの設備を製造したり、設置したりする際に必要なエネルギーは、化石燃料から生成されている場合がほとんどです。

先進国と発展途上国の格差

現在の二酸化炭素排出量の計算方法は、発展途上国と先進国との間に大きな格差を生んでいます。発展途上国は、インフラを整備するためなど、化石燃料を利用することが多く、二酸化炭素の排出量が増えています。さらに、先進国の企業がコスト削減のために発展途上国に工場を設置する場合、その工場で生産された製品やその製品を輸出する過程で排出された二酸化炭素は、発展途上国の排出量として計上されてしまいます。

さらに問題なのは、カーボンニュートラルの目標を達成するための二酸化炭素排出基準の設定と検証が難しいことです。たとえ先進国が国内の二酸化炭素排出量をゼロにしたとしても、その国が発展途上国に工場を持ち、そこで二酸化炭素を排出し続けていると、全世界の二酸化炭素排出量は減りません。

つまり、現在の計算方法では、先進国の二酸化炭素排出量が表面上減ったように見えるだけで、実際の排出量は減らないという状況を生み出す恐れがあるのです。

カーボンニュートラルの矛盾点

カーボンニュートラルには、2つの矛盾点があります。

  • 二酸化炭素排出の許容
  • 環境への悪影響

二酸化炭素排出の許容

カーボンニュートラルとは、全体としての二酸化炭素の排出量をゼロしようという目標です。しかし、それはある意味で、二酸化炭素の排出を許容していると考えることもできます。つまり、「二酸化炭素を排出しても、その排出量を他の方法で相殺すれば問題はない」という考え方を生み出す恐れがあるのです。

例としてバイオマス発電を挙げてみましょう。バイオマス発電は、植物や動物を原料として発電する手法であり、二酸化炭素排出が比較的少ない再生可能なエネルギーの一つとされています。しかし、原料となる森林や植物を伐採してしまうとそれ以上、二酸化炭素の吸収ができなくなってしまいます。他にも、食物や家畜の餌として使われるべきトウモロコシをエネルギー源として使うことに対する批判も存在します。また、原料となる植物を安定して供給できるかという課題もあります。

つまり、二酸化炭素の排出をゼロにするだけではなく、その過程が環境に配慮し、持続可能であるかどうかを考える必要があるのです。

環境への悪影響

再生可能エネルギーは環境に優しいと一般的には言われていますが、実際にはそうとは限りません。例えば、風力発電は、火力発電や原子力発電と比べて同じ量のエネルギーを作るためには遥かに大きなスペースが求められます。その結果、風力発電設備の設置のために広範な森林を伐採しなければならない状況を生み、環境に悪影響を及ぼす可能性があります。

実際に、この問題は現実のものとなっています。ドイツでの事例を見てみましょう。風力発電の設置が進んでいたドイツですが、ここ数年ではその数が激減しています。これは、風車が引き起こす健康被害や生態系への影響、風車からの騒音、さらにはバードストライク(鳥が風車の羽にぶつかること)といった問題が引き金となり、大規模な反対運動が巻き起こっているからです。

参照:「もっと再エネを」声高まるドイツで風力発電が伸び悩み 現地で見えたその理由

また、再生可能エネルギーの一種であるバイオマス発電も同じ問題を抱えています。バイオマス発電は二酸化炭素の排出が少ないエネルギーとして注目されていますが、バイオマスを作るためには森林を伐採する必要があるのです。これは、また別の環境問題を引き起こしています。

これらを見ると、単にカーボンニュートラルを目指すだけでは地球の問題が解決しないことが分かります。それどころか、カーボンニュートラルを達成しようという目的が、新たな問題を生んでしまう可能性もあります。だからこそ、単にカーボンニュートラルを追求するだけでなく、その取り組み自体が持続可能で環境に優しいものであることが求められます。

カーボンニュートラルの問題点・矛盾点の解決策

それでは、これらの問題点や矛盾点にどのように対処すればいいのでしょうか。その解決策について解説します。

各国の二酸化炭素排出量を「消費量」で計算

現在、二酸化炭素排出量の計算には、各国で排出された量が使用されています。しかし、これを各国の消費した量で計算することで、先進国と発展途上国の間にある二酸化炭素排出の格差はなくなると考えられます。

カーボンニュートラルの実現に向けた技術開発

カーボンニュートラル実現には、新たな技術の開発とその実用化が非常に大きなカギとなります。例えば、火力発電に代わる新たなエネルギー源の開発や二酸化炭素を吸収する技術、再生可能エネルギーをより安価にするための技術開発などが挙げられます。

二酸化炭素を吸収する技術には、CCUS(発電所や工場から排出される二酸化炭素を回収し、地中に埋める技術)やDAC(大気中の二酸化炭素を回収し、地中に埋める技術)などがあります。また、新たなエネルギー源の開発としては、化石燃料の代わりとなる合成メタンや合成石油が注目されています。

しかし、これらの技術はまだ高価であり、大量生産への課題を抱えています。これらの課題を解決できれば、より多くの二酸化炭素を吸収し、再生可能エネルギーの利用が増えるため、二酸化炭素の排出量を大幅に削減することができます。それにより、カーボンニュートラルの実現が一気に現実味を帯びてくるはずです。

まとめ

カーボンニュートラルとは、二酸化炭素の排出量を全体でゼロにすることを目指す考え方です。この実現には、いくつかの問題があります。例えば、排出量の大部分を占めている火力発電から脱却が困難であること、再生可能エネルギー導入に多額の費用が必要となることなどです。また、先進国が発展途上国に設置した工場で排出した二酸化炭素は、発展途上国の排出量として計上されることも大きな問題となっています。

さらに、カーボンニュートラルには矛盾点が存在します。二酸化炭素の排出量をゼロにすることを目指しているにも関わらず、、排出自体を許容していることや、環境保全のための施策でありながら、風力発電などの普及が、逆に環境や生態系に悪影響を及ぼす可能性があるなどです。

これらの問題を解決するには、二酸化炭素の排出量を各国が排出した量ではなく、消費した量で計算することが求められます。また、カーボンニュートラル実現に向けて、環境に優しい技術開発が必要です。例えば、再生可能エネルギーをより安価にするための技術開発や、CCUSやDACなど二酸化炭素を回収し、地中に埋める技術などが挙げられます。

さまざまな問題はあるものの、カーボンニュートラルの実現は地球を守るために欠かせません。その実現には、大企業だけではなく、中小企業も積極的に取り組むことが必要不可欠です。そこで、まずは自社がどれほどの二酸化炭素を排出しているのかを把握するところから、取り組みを行ってみてはいかがでしょうか。

こちらのサイトから、簡単に二酸化炭素量の排出量を計算できます。費用は一切かかりませんので、ぜひ一度お試しください。

参照:タンソチェック【公式】 – CO2排出量測定削減サービス

著者のプロフィール

川田 幸寛
小学校教員として、カーボンニュートラルや脱炭素に関する授業を行った経験がある。子どもたちが理解できるように、専門用語を分かりやすく、かみ砕いて説明することを心がけた。この経験を活かし、脱炭素化の重要性を広く伝えるために、誰にとっても理解しやすい記事を作成している。

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総編集長
福元 惇二(フクモト ジュンジ)

タンソーマンプロジェクト発起人であり、タンソチェック開発を行うmedidas株式会社の代表。タンソーマンメディアでは、総編集長を務め、記事も執筆を行う。

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