脱炭素のロードマップとは?各自治体の事例も解説

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脱炭素経営

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現在、地球温暖化が進行しており、自然災害の増加など私たちの生活に影響を及ぼし始めています。地球温暖化の進行を防ぐためには、CO₂などの温室効果ガスの排出を抑制すること、すなわち「脱炭素」という考え方が大切です。そのため、日本も企業や地域に脱炭素化の取り組みを推進しています。その取り組みを具体的に示したものが、「脱炭素ロードマップ」です。

この記事では、脱炭素ロードマップの概要と、各自治体がどのように脱炭素に向けて取り組んでいるのかについて詳しく解説します。

目次

脱炭素ロードマップとは?

「脱炭素ロードマップ」は、脱炭素化のために地域や企業がどのように行動すべきかを示す計画書です。特に、2030年までに集中して取り組む施策について詳しく記載しています。例えば、再生可能エネルギーの利用拡大、エネルギーの効率的な利用、廃棄物の削減などが挙げられます。

また、脱炭素ロードマップは、地球温暖化対策の具体的な手段として、取り組みにおける状況を評価するためにも使用されています。さらに、企業にとっては、環境に配慮した経営を進めるための指針となり、その取り組みを外部に示すことで、企業価値の向上にもつながります。

脱炭素先行地域づくり

脱炭素先行地域づくりは、2030年までに少なくとも100か所の「脱炭素先行地域」を作ることを目標にした取り組みのことです。そのために、環境省だけではなく、地方自治体や地元企業、金融機関が協力をして脱炭素化を進めています。脱炭素化を目指しながらも、地域が抱えている問題を解決すること、地元住民の暮らしをよりよくすることも目標に掲げています。

しかし、地域に応じて脱炭素化のためにできることは異なります。そのため、エリアごとに実施すべき取り組みを例示しています。下記の表の通りです。

エリア実施すべき取り組み
住宅街・団地エリア住宅屋根・駐車場の太陽光、ZEH化、断熱性の向上
ビジネス・商業エリア敷地内の太陽光発電、再生可能エネルギー熱利用
自然エリア
(農村・漁村・離島等)
営農型太陽光発電、洋上風力、地熱発電、農作業の効率化、森林整備
施設エリア公的施設等のエネルギー管理の一元化

脱炭素の重点対策

脱炭素の重点対策とは、脱炭素化の基盤となる重要な取り組みのことです。具体的には以下の8つを重点対策に掲げています。

  • 屋根置きなど自家消費型の太陽光発電
  • 地域共生・地域裨益型再生可能エネルギーの立地
  • 公共施設など業務ビル等における徹底した省エネと再生可能エネルギー電気調達と更新や改修時のZEB化誘導
  • 住宅・建築物の省エネ性能等の向上
  • ゼロカーボン・ドライブ(再生可能エネルギー電気×EV/PHEV/FCV)
  • 資源循環の高度化を通じた循環経済への移行
  • コンパクト・プラス・ネットワーク等による脱炭素型まちづくり
  • 食料・農林水産業の生産力向上と持続性の両立

脱炭素に向けた政策

先ほどは、脱炭素化を全国で達成していくために欠かせない重点対策を紹介しました。ここからは、国が重点対策を後押しするために、どのような行動を起こしていくのか解説します。脱炭素化に向けた政策は、大きく分けて下記の3つになります。

  • 地域の実施体制構築と国の積極支援のメカニズム構築
  • グリーン×デジタルによるライフスタイルイノベーション 
  • 社会全体を脱炭素に向けるルールのイノベーション

それぞれ詳しく紹介します。

地域の実施体制構築と国の積極支援のメカニズム構築

簡単に説明すると、「地域と国が一体で取り組む地域の脱炭素イノベーション」です。今後5年間を脱炭素に向けて集中的に取り組む期間として、国が地方自治体や銀行、企業など多くの組織に協力を呼びかけ、一緒に取り組む体制を作ろうとしています。さらに、国は脱炭素化の取り組みを積極的に支援すると宣言しています。

具体的な支援策は、次の3つです。

  • 人材の派遣や研修
  • 情報やノウハウの提供
  • 資金の支援

人材の派遣や研修

地域力創造アドバイザーや、地域活性化企業人などの専門的な知識を持つ人材を地域を派遣します。さらに、地域の首長や自治体職員を研修に参加させることで、脱炭素化のメリットや実現方法に関する知識を深めていく支援を行います。

情報やノウハウの提供

地域に風力発電など脱炭素のために施設の導入方法やそれに必要な知識などを提供します。また、他の地域で行い、成功した事例やそのノウハウなども紹介します。

資金の支援

地方自治体や事業者が脱炭素事業に積極的に取り組むためには、資金面での支援が重要です。そのため、資金支援の仕組みを見直し、複数年度にわたり継続的に支援できる体制を整えている段階です。それだけではなく、民間投資の呼び込みも行います。 

補助金については、こちらの記事で分かりやすく解説していますので、あわせてご覧ください。

関連記事はこちら:【2023年】令和5年CO2削減・脱炭素の補助金一覧を紹介

関連記事はこちら:2023年度 脱炭素化の補助金は?一覧で解説

グリーン×デジタルによるライフスタイルイノベーション 

ここでは、商品やサービスの温室効果ガス排出量の「見える化」を目指しています。これにより、消費者は自分の選択が環境にどのような影響を与えるのかを理解できるようになります。これにより、より環境に優しい行動選択を消費者に促すねらいがあります。見える化は、商品のパッケージや電子レシートなどに情報を盛り込むことで実現させていきます。

社会全体を脱炭素に向けるルールのイノベーション

国は、社会全体を脱炭素化するために、再生可能エネルギー開発に加え、住宅や建築物、インフラの更新を推進しています。具体的には下記の4つに取り組んでいます。

  • 地域共生・裨益型再生可能エネルギー促進
  • 風力発電促進
  • 地熱発電の開発加速化
  • 住宅・建築物の省エネ対策等の強化

それぞれ解説します。

地域共生・裨益型再生可能エネルギー促進

太陽光発電など、地域でまだ使われていない再生可能エネルギーをより多く使用するために目標を立て、それを特定の地域で進めます。再生可能エネルギーの使用により、環境保全や地域の経済、社会問題の解決を促進させるねらいがあります。

風力発電促進

風力発電の特性や環境への影響を考えた上で、風力発電の導入を促進します。例えば、海上で風力発電をする洋上風力発電の導入については、鳥類などの生態系への影響を考えたり、海外の事例を参考にしたりなど環境保全を最優先にしつつ、導入の手法などについて発信しています。

地熱発電の開発加速化

地域の私たちが安心できるように、科学的なデータを集めて調査を行い、地熱発電の開発を早める取り組みを行っています。地熱源を探すための自然環境の調査や、地元で生産し地元で消費する地熱発電の方法なども考え、2030年までに現在60施設ある地熱発電所の数を倍増させることを目標にしています。

住宅・建築物の省エネ対策等の強化

家や建物で使うエネルギーに関する規制を強化します。具体的には、家や建物が使用できるエネルギー量を規制すること、エネルギーをほとんど使わない家や建物(ZEHやZEB)を多く作ること、既存の家や建物でエネルギーを節約するための対策を充実させることなどです。

関連記事はこちら:カーボンニュートラルは再生可能エネルギーで対応可能?課題から最新技術も解説

脱炭素における分野別の対策や促進策

地域の脱炭素化を実現するためには、地域住民の協力が欠かせません。そこで、国は生活に関わるさまざまな分野の施策と促進策を考えています。それが下記の7つです。

  • 再生可能エネルギーの利用促進
  • 住宅・建築物の省エネ
  • まちづくり、交通、観光の脱炭素化
  • 地域経済や生活を支える産業の脱炭素化
  • 循環経済への移行
  • 自然を活用した脱炭素化(NbS)
  • 地域の生活や循環経済を支えるインフラの脱炭素化

一つずつ詳しく見ていきましょう。

再生可能エネルギーの利用促進

太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーの活用を促進しています。例えば、建物の屋根などの未利用スペースでの太陽光発電の促進や、地域再生可能エネルギーの地産地消の推進などが行われています。

住宅・建築物の省エネ

住宅や建築物のエネルギー効率を上げることで、エネルギー消費の削減を推進しています。省エネ基準を義務付け、建物の省エネ対策の強化に力を入れています。

まちづくり、交通、観光の脱炭素化

私たちの移動や旅行するときにもCO₂は排出されています。そこで、電気自動車の普及や公共交通機関の利用促進などを環境に優しい移動が私たちに求められています。

地域経済や生活を支える産業の脱炭素化

中小企業の省エネや再生可能エネルギー導入、農林業機械、漁船の脱炭素化など、産業全体での脱炭素化を目指しています。

循環経済への移行

私たちにカーボンニュートラルを目指して、プラスチック資源の循環や食品廃棄ゼロを目指すなど、資源を無駄にしない循環経済を呼びかけています。

自然を活用した脱炭素化(NbS)

自然には炭素固定機能が備わっています。炭素固定とは、植物や微生物が光合成を行い、大気中の二酸化炭素を炭水化物として体内に固定することです。新たにCO₂を排出しないという点で非常に重要視されています。そのため、森林や里山などを守ったり、生態系の保全や再生を行ったり、自然の力を活用することが求められています。

地域の生活や循環経済を支えるインフラの脱炭素化

廃棄物処理システムの脱炭素化や、上下水道施設の脱炭素化に向けた施設の更新や集約再編など、インフラ全体での脱炭素化を推進しています。

ここまでの内容を詳細に知りたい方は、下記リンクをご覧ください。

参照:地域脱炭素ロードマップ

参照:地域脱炭素ロードマップ【概要】

各自治体の事例の解説について

ここでは、各自治体の脱炭素に向けた実際の取り組みを紹介していきます。

  • 徳島県
  • 長野県松本市
  • 北海道松前町

それぞれ解説していきます。

徳島県

徳島県は、脱炭素化を推進するためのロードマップを作成しました。このロードマップの推進期間は2021年度から2030年度までの10年間です。2030年度までに、温室効果ガスの排出量を2013年度比で50%削減し、自然エネルギーによる電力自給率を50%以上にすることを目標にしています。最終的に、2050年に二酸化炭素の排出と吸収がゼロにする「カーボンニュートラル」の達成を目指しています。

温室効果ガスの排出量を減らすために、自然エネルギーの導入、水素エネルギーの推進、プラスチックごみや食品ロスの削減に取り組んでいます。

詳しくは、下記リンクをご覧ください。

参照:「徳島県版・脱炭素ロードマップ」を策定しました

長野県松本市

松本市の乗鞍高原地区は、ゼロカーボンパークの実現を目指しています。この地域は、再生可能エネルギーの導入とCO2排出の削減により、脱炭素化を進めています。具体的には、太陽光発電と小水力発電を活用しています。これらのエネルギー源は、住宅、公共施設、宿泊施設などの電力需要を満たすために使用されています。

また、地域のエネルギー源としての太陽光と小水力発電の活用、地域の景観を保全しながらエネルギーを生み出す木質バイオマス熱利用や、環境に優しい交通手段の導入など、地域の特性を生かした取り組みも進められています。これらの取り組みは、地域のエネルギー自立を促進し、観光資源としての地域の魅力を高めることで、地域の活力を引き上げ、人口増加を実現することを目指しています。

詳しくは、下記リンクをご覧ください。

参照:環境省「脱炭素先行地域」に松本市(乗鞍高原地域)が採択

北海道松前町

北海道松前町は、風力などの再生可能エネルギーによる電力発電が進んでおり、町内で消費される電力を上回る電力を発電しています。

そこで、松前町は民間事業者と協力し、脱炭素化に向けたロードマップを作成しました。2050年の脱炭素化を最終目標としています。また、2030年までに将来の二酸化炭素排出量の推計と政策の方向性を示しています。2030年までに温室効果ガス排出量を2013年度と比較して80%削減することを中期目標にしています。

詳しくは、下記リンクをご覧ください。

参照:松前町の脱炭素・再生可能エネルギーの推進に向けて

まとめ

脱炭素ロードマップは、地球温暖化防止のための行動計画で、企業や地域が脱炭素化に向けた取り組みを示すものです。2030年までに集中的に取り組む施策が詳しく記載されています。具体的には、再生可能エネルギーの導入省エネなど効率的なエネルギーの利用が促進されています。

それから、脱炭素化に向けた各自治体の事例についても紹介しました。自然エネルギーの導入や省エネ対策、食品ロスの削減などさまざまな対策を行っていることが分かりました。これらの取り組みは、地球温暖化防止だけでなく、地域の経済活性化や地域住民の生活の質の向上にもつながります。

さらに、脱炭素化に向けて動き出している企業は、外部から高い評価を得ることができます。ぜひ脱炭素化に向けて、まずはあなたの企業がどれほど二酸化炭素を排出しているのかを知るところから始めてみてはいかがでしょうか。下記リンクより、簡単かつ無料で二酸化炭素の排出量を確認することができます。ぜひお試しください。

参照:タンソチェック【公式】-CO2排出量算定削減サービス

著者のプロフィール

川田 幸寛
小学校教員として、カーボンニュートラルや脱炭素に関する授業を行った経験がある。子どもたちが理解できるように、専門用語を分かりやすく、かみ砕いて説明することを心がけた。この経験を活かし、脱炭素化の重要性を広く伝えるために、誰にとっても理解しやすい記事を作成している。

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福元 惇二(フクモト ジュンジ)

タンソーマンプロジェクト発起人であり、タンソチェック開発を行うmedidas株式会社の代表。タンソーマンメディアでは、総編集長を務め、記事も執筆を行う。

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日本は先進国の中でも非常にカーボンニュートラルへの考えや脱炭素に向けた会社 の経営を疎かにしています。
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