この記事は2026年10月時点の情報です。本記事は当初2023年度(令和5年度)の補助金を紹介していましたが、その後事業の再編や名称変更が進んだため、令和8年度の環境省の事業に合わせて内容を更新しました。脱炭素化を支援する国の補助金は、毎年度の予算で事業内容や補助額が見直されます。公募の時期や締切も事業ごとに異なるため、申請を検討する際は各事業の最新の公募要領を確認してください。
本記事では、環境省のエネルギー対策特別会計で実施されている令和8年度の脱炭素化支援事業のうち、企業や個人が利用しやすい事業を「再生可能エネルギーの導入」「交通と物流」「資源循環・廃棄物」「住宅」の4つの分野に分けて紹介します。
脱炭素化の補助金がある理由
二酸化炭素の排出を減らすには、再生可能エネルギーの利用やエネルギー効率の高い設備の導入が欠かせません。しかし、こうした設備は初期費用が大きく、投資の回収にも時間がかかります。そこで国は、補助金によって企業や個人の初期負担を軽くし、脱炭素化への投資を後押ししています。
環境省の令和8年度の事業概要では、多くの事業の目的として、地球温暖化対策計画で示された2030年度、2035・2040年度の各目標や、2050年カーボンニュートラルの実現への貢献が掲げられています。
補助金の一覧を調べる方法
環境省は、エネルギー対策特別会計による補助・委託等事業をまとめたパンフレットと、事業ごとの概要をまとめた「脱炭素化支援事業 事業概要(合本版)」を公開しています。各事業の予算や補助額(補助率)は事業概要に記載され、問い合わせ先は各ページの下部に示されています。実際の公募は、事業ごとに指定された執行団体が行います。
以下では、令和8年度予算の事業概要をもとに、分野ごとの主な事業を紹介します(金額は事業概要の記載によるもので、括弧内は前年度予算額です)。
再生可能エネルギーの導入
民間企業等が自家消費型・地産地消型の再生可能エネルギーを導入する取組は、「民間企業等による再エネの導入及び地域共生加速化事業」(令和8年度予算額3,200百万円(3,450百万円)、令和7年度補正予算額4,500百万円)で支援されています。この事業には、次のようなメニューがあります。
ストレージパリティの達成に向けた太陽光発電設備等の価格低減促進事業
オンサイトPPAなどにより、業務用施設や産業用施設等に自家消費型の太陽光発電設備と蓄電池(車載型蓄電池を含む)を導入する場合を支援します。ストレージパリティとは、太陽光発電設備を導入する際に、蓄電池を導入しない場合よりも導入した場合の方が経済的なメリットがある状態のことです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 補助額 | 太陽光発電設備:PPA・リース 5万円/kW、購入 4万円/kW 定置用蓄電池:補助対象経費の1/3が上限 外部給電可能なEV・PHVをV2H充放電設備とセットで購入する場合:蓄電容量の1/2×4万円/kWh(上限あり) |
| 主な条件 | 蓄電池または車載型蓄電池の導入が必須。太陽光発電の電力を系統に逆潮流しないものに限る(戸建住宅は逆潮流可) |
| 補助対象 | 民間事業者・団体等 |
| 実施期間 | 令和6年度〜令和11年度 |
令和8年度は、一般財団法人環境イノベーション情報機構を執行団体として公募が行われ、二次公募は2026年10月2日正午に締め切られています。
設置場所の特性に応じた再エネ導入・価格低減促進事業
地域との共生を前提に、設置場所の特性に応じた太陽光発電設備などの導入を支援します。
- 地域共生型の太陽光発電設備の導入促進(営農地・水面等を活用。補助率1/2、コスト要件あり)
- 駐車場等への太陽光発電設備の導入促進(ソーラーカーポート等と充電設備。補助額8万円/kW、補助率1/2)
- 窓、壁等と一体となった太陽光発電設備の導入促進(建材一体型。補助率3/5、1/2)
このほか同事業には、離島の脱炭素化推進事業、浮体式洋上風力導入と地域ビジネス促進事業、新手法による電力融通モデル創出事業、データセンターのゼロエミッション化・地域共生加速化事業が含まれています。
交通と物流
商用車等の電動化促進事業(令和7年度補正予算)
トラック・タクシー・バスなどの商用車と建設機械の電動化(BEV、PHEV、FCV等)を支援する事業です。令和7年度補正予算額は30,000百万円です。省エネ法に基づく非化石エネルギー転換目標を踏まえた中長期計画の作成義務化に伴い、脱炭素に意欲的に取り組む事業者や、非化石エネルギー転換の影響を受ける事業者等に対して、車両・建機と充電設備の導入費の一部を補助します。補助額は、標準車両(ディーゼル車両等)との差額や安全・安心のための取組状況等を考慮して車種ごとに定額などとされています。補助対象は民間事業者・団体、地方公共団体等です。
環境配慮型先進トラック・バス導入加速事業
令和8年度予算額は3,302百万円(3,302百万円)で、国土交通省との連携事業です。実施期間は令和元年度〜令和8年度とされています。
| メニュー | 内容 | 補助率 |
|---|---|---|
| ハイブリッド及び天然ガストラック・バス導入支援事業 | 一定の燃費性能を満たすハイブリッド(HV)トラック・バスと、天然ガス自動車(NGV)トラック・バスの購入を支援 | 標準的燃費水準車両との差額の1/2等 |
| 低炭素型ディーゼルトラック普及加速化事業 | 中小トラック運送業者による、2025年度燃費基準を達成したトラックへの買い替え等を支援 | 買い替え:差額の1/2、新規購入:差額の1/3(2025年度燃費基準+5%達成車等は+5万円) |
運輸分野ではこのほか、地域の公共交通×脱炭素化移行促進事業や、空港・港湾・海事分野・フォークリフトを対象とした産業車両等の脱炭素化促進事業なども実施されています。
資源循環・廃棄物
プラスチック資源・金属資源等のバリューチェーン脱炭素化のための高度化設備導入等促進事業
令和8年度予算額は7,297百万円(4,280百万円)、令和7年度補正予算額は3,000百万円で、補助率は1/3、1/2です。実施期間は令和5年度〜令和9年度です。
- 省CO2型プラスチック資源循環設備への補助:メーカー・リテイラー・ユーザー・リサイクラーによるリサイクル設備、再生可能資源由来素材の製造設備、リユースに必要な設備、紙おむつ等の複合素材のリサイクル設備などの導入を支援します。
- 再エネ関連製品・金属資源・ベース素材等の省CO2型資源循環高度化設備への補助:太陽光パネルやリチウム蓄電池などの再エネ関連製品、レアメタルを含むe-scrapなどの金属資源やベース素材を再資源化する高度なリサイクル設備の導入を支援します。
先進的な資源循環投資促進事業
令和8年度予算額は20,000百万円(15,000百万円)で、経済産業省との連携事業です(補助率1/3、1/2)。脱炭素が困難な産業(Hard-to-Abate産業)の排出削減に貢献する廃プラスチックや金属などの大規模で高度な分離回収・再資源化設備や、蓄電池などの革新的なGX製品向けに高品質な再生品を供給するリサイクル設備の実証・導入を支援します。
住宅
住宅の脱炭素化促進事業
令和8年度に新設された事業で、令和8年度予算額は8,000百万円、令和7年度補正予算額は1,000百万円です(経済産業省・国土交通省との連携事業、実施期間は令和8年度〜令和10年度)。戸建住宅のZEH化、集合住宅のZEH-M化、既存住宅の断熱リフォームを支援します。
| 区分 | 補助額・補助率 |
|---|---|
| 新築戸建住宅 ZEH | 55万円/戸(1〜3地域)、45万円/戸(4〜8地域) |
| 新築戸建住宅 ZEH+ | 90万円/戸(1〜4地域)、80万円/戸(5〜8地域) |
| 新築集合住宅 ZEH-M(低層・中層) | 40万円/戸(LCCO2の算定を行った場合は50万円/戸) |
| 既存住宅のZEH化改修 | 改修費用の1/3相当(上限250万円/戸)。既存住宅の省エネ診断は1/3 |
| 既存住宅の断熱リフォーム | 1/3(戸建住宅の上限120万円/戸、集合住宅の上限15万円/戸。玄関ドアも改修する場合は20万円/戸) |
ZEHは、高断熱化と高効率設備によってできる限り省エネルギーに努め、太陽光発電などでエネルギーを創ることで、1年間に消費する住宅のエネルギー量が正味(ネット)でおおむねゼロ以下となる住宅です。ZEH+は、ZEH以上の省エネと断熱等性能等級6以上の外皮性能を満たしたうえで、再生可能エネルギーの自家消費の拡大措置または高度エネルギーマネジメントの要素を1つ以上満たす住宅です。蓄電システムやCLT(直交集成板)、EV充電設備等には別途補助があります。
断熱リフォームは、住宅全体の暖冷房エネルギーを15%以上削減する「トータル断熱」と、居間の窓をすべて改修する「居間だけ断熱」のいずれかが対象です。
過去の実績(令和5年度の主な事業)
本記事の初版で紹介した令和5年度の事業のうち、主なものの現在の状況は次のとおりです。
- ストレージパリティの達成に向けた太陽光発電設備等の価格低減促進事業:令和8年度は「民間企業等による再エネの導入及び地域共生加速化事業」の一メニューとして継続しています。
- 商用車の電動化促進事業:令和7年度補正予算で「商用車等の電動化促進事業」として、建設機械も対象に加えて実施されています。
- 環境配慮型先進トラック・バス導入加速事業:令和8年度もハイブリッド・天然ガス車と低炭素型ディーゼルトラックを対象に継続しています。
- プラスチック資源・金属資源等のバリューチェーン脱炭素化のための高度化設備導入等促進事業:令和8年度も継続しています(実施期間は令和9年度まで)。
- 戸建住宅ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)化等支援事業:令和5年度はZEH 55万円/戸、ZEH+ 100万円/戸でした。令和8年度は「住宅の脱炭素化促進事業」として、地域区分に応じた補助額に見直されています。
補助金を活用する際の注意点
- 補助金の多くは、交付決定の前に契約・発注した経費を対象としません。設備の導入時期は公募スケジュールに合わせて計画してください。
- 同じ設備について国の他の補助金と重ねて受けることは、原則としてできません。
- 公募期間が短い事業や、予算に達した時点で受付を終了する事業もあります。執行団体のホームページで公募予告を確認しておくと準備がしやすくなります。
関連記事
まとめ
脱炭素化の補助金は、再生可能エネルギーの導入、交通と物流、資源循環・廃棄物、住宅など幅広い分野で用意されています。令和8年度の環境省事業では、自家消費型太陽光・蓄電池の導入を支援するストレージパリティ事業、HV・天然ガストラックや低炭素型ディーゼルトラックの導入支援、リサイクル設備の導入支援、新設の住宅の脱炭素化促進事業などが実施されています。事業の内容や金額は年度ごとに変わるため、環境省のパンフレットと事業概要で全体像を確認したうえで、各執行団体の公募要領を確かめて申請を進めてください。
参考資料
- 環境省「エネルギー対策特別会計における補助・委託等事業(パンフレット)」
- 環境省「2026年度 エネルギー対策特別会計における補助・委託等事業」パンフレット(PDF)
- 環境省「脱炭素化支援事業 事業概要(合本版)令和8年度予算」
- 環境省「脱炭素化支援事業 事業概要(合本版)令和7年度補正予算」
- 環境省「エネルギー対策特別会計 よくある質問」
- 環境省 報道発表「令和8年度ストレージパリティの達成に向けた太陽光発電設備等の価格低減促進事業(二次公募)」
- 環境省「2023年度 エネルギー対策特別会計における補助・委託等事業」(過去の資料)
著者のプロフィール
- 小学校教員として、カーボンニュートラルや脱炭素に関する授業を行った経験がある。子どもたちが理解できるように、専門用語を分かりやすく、かみ砕いて説明することを心がけた。この経験を活かし、脱炭素化の重要性を広く伝えるために、誰にとっても理解しやすい記事を作成している。
最新の投稿
脱炭素経営2026年10月23日省エネ投資促進支援事業の補助金ガイド|令和7年度補正の省エネ・非化石転換補助金
脱炭素経営2026年10月23日冷蔵庫買い替え補助金ガイド|2026年度の自治体制度と対象製品・申請の注意点
SDGs/ESG2026年10月23日SDGsに関する補助金・助成金一覧|2026年度の主な制度と申請のポイント
補助金/助成金2026年10月23日省エネ補助金とは?2026年度の省エネ・非化石転換補助金の仕組みと申請の流れ




