企業間連携先進モデル支援とは?脱炭素CO2削減企業におすすめ!申請の流れについて解説

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企業間連携先進モデル支援は、複数の企業における脱炭素化に最大5億円の経済支援を行う新事業です。各企業のみならず、連携企業とCO2削減を行うことは、社会的にも高い評価を受けるでしょう。

今回の記事では、企業間連携先進モデル支援に関する以下の事項を解説します。

  • 事業の概要
  • メリット・デメリット
  • 対象事業者
  • 全体の流れ
  • 提出書類と申請方法
  • 審査基準と採択のコツ
  • 補助金交付後の義務
  • 採択の事例
  • 申請時の失敗例

新しい補助金制度であるうえに複数企業の連携が必須となるため、申請の競争率は高くないと考えられます。本記事を通じて採択に必要な手続きや計画策定のコツを理解し、効果的に脱炭素化に取り組みましょう。

目次

企業間連携先進モデル支援とは?

SHIFT事業(Support for High-efficiency Installations for Facilities with Targets)がグリーンリカバリー事業を統合し、2023年に追加された新事業が企業間連携先進モデル支援です。

参照:令和5年SHIFT事業企業間連携先進モデル支援の概要 p.4

事業概要は、以下の表のとおりです。

概要補助対象補助額補助率
Scope3削減に向けて代表企業と連携企業が協力し、CO2排出量50t-CO2以上の工場・事業場の設備更新を支援年間CO2排出量が50t-CO2以上の設備の更新例:高効率設備への更新電化・燃料転換再生可能エネルギー導入廃エネルギー利用応募グループ全体:上限5億円(令和5年度申請額の上限は2億円)1者あたり:上限1億円ESCO事業等:設置先企業ごとに上限1億円中小企業者※:2分の1中小企業者以外:3分の1

中小企業基本法(昭和38年法律 第154号)第2条第1項に規定される企業

参照:令和 5 年度 二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金 (工場・事業場における先導的な脱炭素化取組推進事業(SHIFT 事業)) 企業間連携先進モデル支援 公募要領 p.15

企業間連携先進モデル支援のメリット

企業間連携先進モデル支援には、以下3つのメリットがあります。注目すべきは、複数の企業間で実施するメリットの「サプライチェーン全体の脱炭素化」です。

サプライチェーン全体の脱炭素化

企業間連携先進モデル支援は、サプライチェーン全体の脱炭素化を可能にします。サプライチェーンとは、商品が消費者に届くまでの「供給の連鎖」のことです。具体的には、以下の工程が含まれます。

  • 商品の企画・開発
  • 原材料・部品等の調達
  • 生産
  • 在庫管理
  • 配送
  • 販売
  • 消費

参照:サプライチェーンリスクと危機からの復旧 | 経済産業省

各工場やビルによるCO2削減に加え、企業間の連携を通じて全体の運営・管理体制の改革を実施することで、より大きな削減効果を狙うのです。成功した脱炭素化の取り組みは、他企業への見本となります。取り組みによる知見を共有することで、業界全体の環境改善が可能です。

企業間連携先進モデル支援の活用は個々の企業の努力を超えた、より大きな環境改善効果を生み出します。

参照:令和 5 年度 二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金 (工場・事業場における先導的な脱炭素化取組推進事業(SHIFT 事業)) 企業間連携先進モデル支援 公募要領 p.7

企業価値の向上

企業間連携先進モデル支援を活用することで、企業価値の向上が見込めます。CO2削減は光熱費を節約するだけでなく、環境に配慮した取り組みが顧客や市場からの評価を高め、売上拡大につながる可能性があります。環境に優しい企業への投資や融資に積極的な金融機関からの支援を受けやすくなるため、資金調達の機会も広がります。

企業間連携先進モデル支援の補助事業を通じて、環境・経済面から企業の市場価値を高められるのです。

参照:令和 5 年度 二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金 (工場・事業場における先導的な脱炭素化取組推進事業(SHIFT 事業)) 企業間連携先進モデル支援 公募要領 p.7

環境省による企業PR

企業間連携先進モデル支援に参加する企業は、環境省によってPRされる可能性があります。事業によって得られた情報は、環境省がCO2削減対策の一環として広く普及させる予定です。参加企業は環境省という信頼できる公的機関の広報を通じて、自社の取り組みや成果が外部に紹介されるわけです。

公的機関による露出は、企業のブランド価値や認知度の向上によい影響を与えます。具体的には環境省の広報を通じて露出した企業に対して、他の事業者や顧客からの関心が高まり、新しい仕事の依頼や提携の機会が生まれる可能性が考えられます。

環境省による企業PRは、参加企業にとって価値のあるメリットだと言えるでしょう。

参照:令和 5 年度 二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金 (工場・事業場における先導的な脱炭素化取組推進事業(SHIFT 事業)) 企業間連携先進モデル支援 公募要領 p.7

企業間連携先進モデル支援のデメリット

企業間連携先進モデル支援によりサプライチェーン全体で脱炭素化を図れますが、連携が困難な場合も考えられます。その他にも、複数のデメリットが存在します。

初期投資の必要性

企業間連携先進モデル支援におけるデメリットの1つは、高額な初期投資が必要となる点です。エネルギー効率の高い設備を導入するためには、初期段階で大きな費用が発生します。

例えば、産業用地に太陽光発電設備を設置する場合、環境省の調査によると必要な初期投資は4億円以上に上るとされています。設備を運用するためには人件費もかかり、具体的には年間で約300万円です。補助金が初期投資の一部をカバーしますが、費用の半分以上は事業者が負担しなければなりません。

参照:再生可能エネルギーの導入見込量について コスト等の試算の前提① p.11

エネルギー効率向上と脱炭素化に向けた取り組みは中長期的な利益をもたらすものの、初期投資による財務的負担を伴うことがデメリットとして挙げられます。企業は初期投資を慎重に検討し、資金計画を立てる必要があります。

参照:令和 5 年度 二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金 (工場・事業場における先導的な脱炭素化取組推進事業(SHIFT 事業)) 企業間連携先進モデル支援 公募要領 p.12~13, 15

企業間連携の困難

企業間連携先進モデル支援では、異なる企業間での協調調整の困難がデメリットになるかもしれません。サプライチェーン全体の脱炭素化を目指すにあたり、目標や能力、資源の異なる複数の企業の連携が必須です。そのため共通の目標に合意する過程が複雑化し、調整が難しくなることが考えられます。

例えば、環境対策に対する責任感の違いや資金の調達能力、技術的な能力の差異により、各社の意見が食い違う場合などです。あるいは各企業の経営戦略や優先順位の違いが、共通の脱炭素化戦略の策定や実行に際して障害となるかもしれません。

複数の要因が組み合わさることで、企業間での協調調整は複雑なものとなるのです。

情報公開によるリスク

企業間連携先進モデル支援プログラムに参加することで、採択された企業の整備計画書が公表されます。企業の戦略や業務内容の公開は、競合他社による戦略の模倣や業務上の秘密の漏洩に繋がるかもしれません。そのため、企業が市場で持っていた競争上の利点が薄れるおそれがあります。

情報公開により企業が長期的に保持してきた競争力や市場地位に影響を及ぼす可能性があるため、情報の公開には十分な配慮が必要です。

参照:令和 5 年度 二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金 (工場・事業場における先導的な脱炭素化取組推進事業(SHIFT 事業)) 企業間連携先進モデル支援 公募要領 p.7

企業間連携先進モデル支援の対象企業

企業間連携先進モデル支援の対象企業は、個人や個人事業主を除いた以下4つの要件を満たす民間企業です。

  • 補助事業を実施するために必要な費用の管理と処理ができる経理的基盤を持っていること
  • 直近2期の決算で連続する債務超過(貸借対照表の「純資産」が2期連続でマイナス)がなく、適切な管理体制と経理処理能力を持っていること
  • 別紙1に示された暴力団排除に関する誓約事項に同意し、誓約できること
  • 応募する工場や事業場は、年間CO2排出量が50t-CO2以上であること

上記の要件に加え、以下の資格要件を満たす必要があります。

応募者の種類資格要件
代表企業Scope3削減に向けた取組方針を有すること自社のScope3削減を目指し、関連する企業と連携して脱炭素化の取り組みを主導すること
代表企業の子会社等代表企業の連結財務諸表における子会社や関連会社であること連携企業としては参加不可
連携企業代表企業のScope3のカテゴリー1から15のいずれかに属すること代表企業のScope3削減に貢献すること
ESCO事業者等更新設備の所有者であり、ESCO事業またはリース事業を活用すること複数の連携企業のESCO事業を行うことが可能であることESCO事業者は省エネルギー効果の保証等を実施すること
金融機関代表企業等のScope3削減に向けた支援を行うこと支援内容は金融関係(融資等)や非金融関係(コンサルティング等)など不問

参照:令和 5 年度 二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金 (工場・事業場における先導的な脱炭素化取組推進事業(SHIFT 事業)) 企業間連携先進モデル支援 公募要領 p.9~10

企業間連携先進モデル支援の事業アイデア

企業間連携先進モデル支援の事業アイデアを考える上で重要なのは、CO2排出量の削減に焦点を当てた効果的な設備更新の計画を策定することです。

企業は自社のScope1・2の排出量だけでなく、サプライチェーン全体のCO2排出量を明確にし、環境目標を設定する必要があります。Scope1とは、企業によるCO2排出のことです。具体的には、化石燃料の使用やセメントの製造などが該当します。Scope2はエネルギー由来の間接的な排出であり、購入した電気や熱の使用などが含まれます。

参照:排出量算定について – グリーン・バリューチェーンプラットフォーム | 環境省

サプライチェーン全体の排出量を知るためには他企業との連携が不可欠となり、共通の目標達成に向けた協力体制の構築が求められます。具体的な設備更新計画ではCO2削減効果が定量的に把握可能であり、運用費の削減効果も考慮しなければなりません。資回収年数や既存設備の撤去・廃止計画も、事業を考えるうえで重要となります。

CO2排出削減や連携などの観点から目標の達成に加えて、経済的な効果も同時に追求できるかを考えることが事業アイデアの捻出に欠かせません。

企業間連携先進モデル支援の流れについて

企業間連携先進モデル支援の申請から補助金交付までの流れを、以下の表に記載しています。

流れ概要
応募申請代表企業が協会に書類提出
審査・採択決定申請内容を基に審査が行われ、採択者の決定
交付申請連携企業等は、代表企業の同意を得た後に提出
審査・交付決定交付内容の審査後、補助金の交付者を決定
事業実施工事の契約や設備更新の実施、工事費用の支払い等を実施
中間検査設備更新から事業完了までの間に行う審査
完了実績報告書事業の完了後に報告書を提出
交付額決定報告書を確認し、補助金額を確定
積算払請求定められた期日までに提出
補助金交付一般社団法人温室効果ガス審査協会(GAJ)より補助金を交付

参照:令和 5 年度 二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金 (工場・事業場における先導的な脱炭素化取組推進事業(SHIFT 事業)) 企業間連携先進モデル支援 公募要領 p.17

補助金申請手続きの事前準備と必要書類

応募に必要な書類は、以下の表の通りです。設備更新を行う事業者のみ提出が求められる書類もあるため、注意深く確認しましょう。提出書類は、こちらからダウンロードできます。

提出書類備考
応募申請書(様式1)および様式1別紙1:整備計画書代表企業のみ提出記入例
様式1別紙1:整備計画書(補助事業実施者用)設備更新を実施する代表企業・代表企業の子会社、連携企業が提出記入例
様式1別紙2:経費内訳設備更新を実施する代表企業・代表企業の子会社、連携企業が提出記入例
事業者の業務概要がわかる資料・定款または寄附行為代表企業、設備更新を実施する代表企業の子会社、連携企業が提出
事業者の直近2期分の財務諸表(貸借対照表、損益計算書)代表企業、設備更新を実施する代表企業の子会社、連携企業が提出法人設立から1会計年度を経過していない場合:申請年度の事業計画及び収支予算を提出法人設立から1会計年度を経過し、2会計年度を経過していない場合:直近の1決算期に関する貸借対照表、損益計算書を提出。
導入する設備・技術に関する説明資料設備更新を実施する代表企業・代表企業の子会社、連携企業が提出導入する高効率機器や電化・燃料転換設備の仕様書・カタログ・システム構成図等
様式1別添1:固定価格買取制度の設備認定に関する誓約書再生可能エネルギー発電設備を導入する事業者のみ提出
消費税免税事業者に関する資料消費税免税業者のみ提出
環境指標等の取組に関する資料該当者する代表企業のみ、取り組みの証明書類を提出
中小企業等を証する書類中小企業のみ提出※財務諸表の資本金が中小企業の条件を満たしている場合は不要
対象設備に関するリース・ESCO契約書等(案)、リース料・ESCO料金計算書(任意様式)ESCO事業者・リース事業者が所有者の場合、法定耐用年数をカバーする契約書と補助金によるリース料・ESCO料の減額を示す計算書を提出

参照:令和 5 年度 二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金 (工場・事業場における先導的な脱炭素化取組推進事業(SHIFT 事業)) 企業間連携先進モデル支援 公募要領 p.23

申請前に確認すべき補助金の審査基準

企業間連携先進モデル支援の審査項目は、以下の8つです。事業によるCO2削減効果や環境保全の実績が評価されます。

  1. 事業のCO2排出削減量が大きいこと
  2. 事業の費用対効果が高いこと
  3. 事業のCO2排出削減量のうち、連携企業による削減割合が大きいこと
  4. 連携企業の数が多いこと
  5. 中小企業の数が多いこと
  6. 代表企業がSBTTCFDRE100再エネ100宣言 RE Actionエコアクション21エコファーストのいずれかを宣言・獲得・認定取得していること、または設備更新を行う代表企業の工場・事業場がISO14001の認証を取得していること
  7. 代表企業がパートナーシップ構築宣言でグリーン化における取り組みの宣言を行っていること
  8. 金融関係(融資等)・非金融関係(コンサルティング等)を問わず、Scope3削減に向けて金融機関が参画していること

参照:令和 5 年度 二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金 (工場・事業場における先導的な脱炭素化取組推進事業(SHIFT 事業)) 企業間連携先進モデル支援 公募要領 p.16

窓口またはオンライン申請の方法

企業間連携先進モデル支援の申請は、郵送にて行います。まずは、提出書類の正本を1部作成しましょう。正本は2つ穴を開けて紐で綴じるか、ファイリング形式で整理してください。ホチキス留めや製本は、認められていません。

その後、正本の電子データをCD-Rに1枚に保存しましょう。様式1別紙1(補助事業実施者はこちら)と様式1別紙2はExcelファイルで、その他の書類はPDF形式で保存します。電子データの提出はCD-Rの郵送に代わり、オンラインストレージサービスやメール(shift@classnk.or.jp)でも可能ですが、USBやSDカードは使えません。

郵送は書留郵便など配達記録の残る方法を使い、指定の期間内に必着させる必要があります。書類と電子媒体は、一般財団法人日本海事協会交通物流部宛に送り、封筒に「SHIFT事業応募書類在中」と記載してください。提出書類は返却されないので、必ずコピーをとっておきましょう。

企業間連携先進モデル支援への申請は、郵送で行います。規定の方法で正本・CD-Rを作成し、指定の期間内に実施することが重要です。

参照:令和 5 年度 二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金 (工場・事業場における先導的な脱炭素化取組推進事業(SHIFT 事業)) 企業間連携先進モデル支援 公募要領 p.24~25

企業間連携先進モデル支援補助金の受け取り方法

企業間連携先進モデル支援における補助金は、指定口座への振り込まれます。補助事業者は設備更新が完了してから30日以内、または特定の期日までのいずれか早い日に完了実績報告書を協会に提出しなければなりません。

自社製品の調達がある場合は、利益相当分を除外した製造原価を実績額として計上しましょう。報告書は協会によって、事業の成果が交付決定の内容に適合するかどうかの審査が行われます。問題なしと判断されると補助金の交付額を決定し、補助事業者に通知します。交付額は、申請額と実際の経費のうち少ない方の額です。

事業者は、通知を受けてから2週間以内に精算払請求書を提出します。この際、支払いを証する書類の添付が必要です。協会は事業者から請求書を受け取り次第、30日以内に一般社団法人温室効果ガス審査協会(GAJ)から指定口座に補助金を振り込みます。複数の過程を通じて、補助金は事業者の指定口座へ交付されるのです。

参照:令和 5 年度 二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金 (工場・事業場における先導的な脱炭素化取組推進事業(SHIFT 事業)) 企業間連携先進モデル支援 公募要領 p.21

企業間連携先進モデル支援の補助金交付後について

企業間連携先進モデル支援で補助金を受けた後、代表企業は特定の義務を果たす必要があります。補助事業が完了した年度終了後の3年間、毎年度終了後30日以内にCO2削減効果に関する事業報告書を提出しなければなりません。報告書には連携企業のCO2削減効果も含め、毎年同じ様式で作成してください。

代表企業の情報に変更がある際は、協会への連絡が求められます。計画した年間CO2排出削減量が達成できない場合は、設備の運用改善や再生可能エネルギーへの切り替えなどによって、CO2排出量をさらに削減する努力が必要です。

報告書の提出先は、環境省地球環境局地球温暖化対策課地球温暖化対策事業室、または環境省が指定する団体です。補助事業に関連するすべての帳簿と証拠書類は適切に管理し、5年間は保存する義務もあります。

補助金で取得した単価50万円以上の機械や器具は、減価償却資産の耐用年数が経過するまで協会の承認なしに使用変更や譲渡、貸し出し、担保差出は禁じられています。財産の処分を行う際には、時間に十分な余裕を持って協会に承認申請を行いましょう。

補助金の交付後であっても、報告書の提出や取得機器の適切な管理が必要です。

参照:令和 5 年度 二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金 (工場・事業場における先導的な脱炭素化取組推進事業(SHIFT 事業)) 企業間連携先進モデル支援 公募要領 p.5, 21~22

企業間連携先進モデル支援の審査を通りやすくするコツ

企業間連携先進モデル支援の申請が審査を通過しやすくするためには、CO2排出削減の面で大きな影響を持つように事業計画を策定することが重要です。費用対効果が高いプロジェクトも評価されます。

CO2排出削減の実現において連携企業の役割が大きいほど良いとされているため、連携企業の数を多くできると効果的です。中小企業の参加は、より高い効果を期待できます。

代表企業が環境関連の標準や認証を取得していることも、審査の際に有利に働きます。例えば、以下の標準・認証です。

代表企業がグリーン化に関するパートナーシップ構築宣言を行っていることや、金融機関がScope3削減に向けて参画していることもプラスに作用します。Scope3とは自社の事業活動によって、他社が排出するCO2量のことです。

参照:排出量算定について – グリーン・バリューチェーンプラットフォーム | 環境省

高いCO2削減効果や対費用効果、環境保全の実績を事業計画に組み込み、書類を提出することで申請の採択率を高められます。

参照:令和 5 年度 二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金 (工場・事業場における先導的な脱炭素化取組推進事業(SHIFT 事業)) 企業間連携先進モデル支援 公募要領 p.16

企業間連携先進モデル支援を受け取るポイントや注意点

企業間連携先進モデル支援を受け取るには、提出書類への正確な情報記載が不可欠です。虚偽の内容や事実と異なる情報を記載した場合、事業の不採択や交付決定の取消し、または支払われた補助金の返還が求められることがあります。さらに、返還には年10.95%の利率が加算されます。

協会からの資料の提出依頼や確認事項には、迅速かつ適切に対応することも重要です。適切な対応ができない場合も、交付決定の取消しや補助金の返還の対象となる可能性があります。補助金の交付決定を受ける前に行われた発注やその他の経費は、特定の場合を除き、補助金の交付対象外となることも留意しましょう。

書類への正しい情報記載や適切な対応が、補助金を受け取るうえでの鍵となります。

参照:令和 5 年度 二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金 (工場・事業場における先導的な脱炭素化取組推進事業(SHIFT 事業)) 企業間連携先進モデル支援 公募要領 p.5

企業間連携先進モデル支援の事例紹介

企業間連携先進モデル支援に採択されたサントリーホールディングス株式会社と、ジヤトコ株式会社の取り組み事例を紹介します。

サントリーホールディングス株式会社 

サントリーホールディングス株式会社は、企業間連携先進モデル支援の補助金を活用して、環境目標2030に向けた重要な取り組みを実施しています。目標には自社拠点で50%、バリューチェーン全体で30%の温室効果ガス排出(GHG)削減を含んでおり、2019年の排出量を基準に設定されています。

サントリーグループは全世界の自社拠点とバリューチェーン全体でGHG削減に取り組んでおり、持続可能な経営を推進しているのです。具体的には株式会社CSIジャパンと東洋製罐株式会社の設備更新をサポートし、包材調達に関連するCO2排出量の削減を目指しています。

株式会社CSIジャパンではコンプレッサーとチラーの更新を通じて、年間187トンのCO2削減を見込んでいます。東洋製罐株式会社では受電用変圧器の更新により、年間14トンのCO2削減が可能となる試算です。

サントリーグループは連携企業の設備更新により、合計で年間201トンのCO2削減を実現する計画を策定し、企業間連携先進モデル支援の採択者となりました。複数企業の設備更新は、サプライチェーン全体の脱炭素化に向けて欠かせない取り組みです。

参照:企業間連携先進モデル支援︓採択事業者一覧 p.3

ジヤトコ株式会社

ジヤトコ株式会社は企業間連携先進モデル支援の補助金を活用して、環境目標2030および2050の実現に向けた重要な取り組みを実施しました。自社・サプライチェーンを構成する2社の工場において省CO2型設備への更新を行い、年間1,096トンのCO2排出量削減を目指しています。

ジヤトコ株式会社はボイラ設備の更新と空調設備の燃料転換・更新を行うことで、年間1,081トンのCO2削減を実現させる予定です。連携企業である株式会社エヌエスシイではコンプレッサーの更新を実施し、15トンのCO2削減を目指しています。

ジヤトコ株式会社は、設定したサプライチェーン全体のカーボンニュートラル実現目標に向けて設備更新を行うことで企業間連携先進モデル支援に採択されました。環境への影響を軽減しつつ、事業活動を行う同社の取り組み方針を反映しています。

参照:企業間連携先進モデル支援︓採択事業者一覧 p.2

企業間連携先進モデル支援の補助金が受け取れない失敗例

補助金の条件に対する違反行為と虚偽内容の記載が、補助金を受け取れない失敗例として考えられます。

補助金の条件に対する違反行為

企業間連携先進モデル支援の補助金を受け取るうえでの失敗例として、補助金の条件に違反する行為が挙げられます。例えば、補助金を受けるために導入した設備に関して、国から他の補助金を受けている場合が該当します。重複申請は、企業間連携先進モデル支援の補助金が受け取れなくなる要因の1つです。

固定価格買取制度による売電を行う設備に、補助金を使用することも避けましょう。別の補助金を受けている設備に対して、企業間連携先進モデル支援の補助金を申請すると、補助金の受給資格を失うことになります。

違反が発覚した場合は、受け取った補助金の返還を求められる可能性があります。補助金申請の際には設備に関する補助金の重複受給がないことを確認し、必要な条件を遵守することが重要です。

参照:令和 5 年度 二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金 (工場・事業場における先導的な脱炭素化取組推進事業(SHIFT 事業)) 企業間連携先進モデル支援 公募要領 p.5

虚偽内容の記載

企業間連携先進モデル支援の補助金を受け取る際、提出する書類に虚偽の内容を記載することは避けてください。応募書類に事実と異なる情報や虚偽のデータを含めたことが発覚すると、事業の不採択や交付決定の取り消しが行われます。

支払われた補助金については返還を求められることになり、返還額には年10.95%の利率が加算されます。申請書類に正確かつ誠実な情報を提供することが非常に重要です。

虚偽の情報を提出することは補助金の受給資格を失うだけでなく、さらなる経済的負担をもたらす可能性があるため、絶対に避けるべきです。

参照:令和 5 年度 二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金 (工場・事業場における先導的な脱炭素化取組推進事業(SHIFT 事業)) 企業間連携先進モデル支援 公募要領 p.5

まとめ

企業間連携先進モデル支援は、サプライチェーン全体でCO2削減に取り組む工場・事業場の設備更新を最大5億円まで支援する事業です。高額な補助金が提供されますが、複数企業で連携を行う際に生じる困難や多額の初期投資の必要性も考慮する必要があります。

事業の大まかな流れは、以下の通りです。

  1. 応募・交付申請
  2. 事業実施・検査
  3. 完了実績報告書
  4. 交付額決定・積算払請求
  5. 補助金交付

重要なのは、審査を通過することです。具体的には、8つの項目が審査基準となっています。

計画策定時は、上記の項目を踏まえると良いです。ただし、虚偽内容の記載は不採択や補助金の返還を引き起こすため注意しましょう。

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福元 惇二(フクモト ジュンジ)

タンソーマンプロジェクト発起人であり、タンソチェック開発を行うmedidas株式会社の代表。タンソーマンメディアでは、総編集長を務め、記事も執筆を行う。

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