脱炭素経営で、最初に取り組むのは省エネです。
これは企業の規模や業界に関わらず、脱炭素経営における具体的な取り組みの第一歩になります。
しかし、省エネを省エネだけで終わらせてはいけません。省エネは、脱炭素経営の入口にすぎないからです。
本記事では、脱炭素経営における省エネの実践方法について、分かりやすく解説していきます。
千里の道も省エネから始まる
脱炭素経営の自社で作成したロードマップで、最初の取り組みとして設けられている活動は、何になっているでしょうか?
どんな企業であっても、最初の具体的な活動は、省エネになっているべきでしょう。
理由としては、省エネは現状のビジネスモデルや、生産プロセスを大きく変えることなく、身近なところからすぐに着手できるメリットがあります。
また、脱炭素経営の入口として、関係者の意識を高め、日々の活動の行動ベクトルを揃えてくれる効果も期待できます。
しかし、その一方で過度な省エネは、活動の全体感やバランスを失うリスクがあります。
最初はすぐに成果が見えやすい省エネ活動自体に満足してしまい、最終的な到達目標や、中長期的な行動目標を見失うリスクがあります。
ただがむしゃらに省エネを頑張れば良いものではなく、2030年や2050年の到達目標に向けた活動への入口として、省エネがあるという意識が大切になります。
ロードマップで作成した目標を見失わない
省エネのメリットを最大限に活かし、デメリットやリスクを低減するには、ロードマップで作成した目標を見失わないことにつきます。
省エネはすぐに取り組みやすく、最初は成果が比較的出やすいことから、一定の満足感を持ってしまいがちです。
しかし、根本的な構造を変えずに、同じ省エネを続けていれば、その成果は年々頭打ちになっていきます。
それが最悪の結果、脱炭素経営自体の行き詰まりに繋がります。
最悪の事態を避けるためには、省エネは2050年の目標に向けて取り組む、脱炭素経営の入口であるという意識をもって、常に最終目標を見失わずに活動することです。
一生懸命に目の前の省エネに取り組むことは、もちろん大切です。
しかし、視点は常に未来に向け、省エネで現状できる限界や最終目標に到達する困難さを理解することの方が、さらに重要になります。
その困難さが理解できれば、抜本的な構造改革やビジネスモデルの転換に取り組む覚悟も決まります。
省エネを省エネで終わらせず、ロードマップで描いた目標を達成させるための、戦略的な活動へと繋げていくことが重要になります。
「省エネに期待される効果」
- エネルギー使用量、CO2排出量削減に寄与する
- 関係者の意識が向上し行動ベクトルが揃う
- 2050年の目標達成の困難さを理解できる
省エネ支援制度について
日本ではかつての石油危機からはじまり、2050年にカーボンニュートラルを実現するという政府の宣言もあり、多くの省エネ支援制度が設けられています。
多くの省エネ制度を活用することで、省エネにより迅速かつ効果的に取り組む事が可能になります。
ここでは、いくつか省エネ支援制度についてご紹介していきます。
省エネルギー診断
一般財団法人省エネルギーセンターが実施する、省エネ最適化診断は、省エネの専門家であるエネルギー診断士が企業に訪問し、現状のエネルギー使用量の調査や、最適な省エネについてのアドバイスを受けられる制度です。
費用も1万円から2万円程度と安く、中小企業でも活用しやすい制度になります。
以下のような項目を、診断および提案してもらえます。
・設備、機器の最適な使い方
・メンテナンス方法の改善による省エネ
・温度、照度など設定値の適正化
・高効率機器への更新
・排熱等エネルギーロスの改善、有効利用
・太陽光発電など再エネ設備導入提案
参照:https://www.shindan-net.jp/service/shindan/
省エネ補助金制度
最新設備の導入や再生可能エネルギー設備の導入、また既存設備の更新にかかる費用など、様々な費用を対象とした補助金が用意されています。
補助額も数100万円から1億円以上と、幅広く設定されています。
汎用的な設備(ユーティリティ設備・生産設備)については、簡易な手続きで申請が可能な補助金も用意されており、補助金は中小企業でも活用しやすく、積極的に活用していきたいところです。
また、全国の自治体も自治体独自の補助金制度を設けている場合が多く、活用できそうな制度があるかを調べてみましょう。
参照:https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saving/enterprise/support/
まとめ
ここまで、脱炭素経営における省エネの実践方法についてご紹介してきました。
省エネは、あらゆる企業にとって、脱炭素経営の第一歩目の活動になります。
ぜひ、2050年に繋がる戦略的な省エネを実践していきましょう。
著者のプロフィール
- タンソーマンプロジェクト発起人であり、タンソチェック開発を行うmedidas株式会社の代表。タンソーマンメディアでは、総編集長を務め、記事も執筆を行う。