FIT制度とは?入札制度やメリット・デメリットも解説

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FIT制度(固定価格買取制度)は、再生可能エネルギーの普及を促進するための政策として知られています。

FIT制度を通じて、国は発電事業者から高額で再生可能エネルギーを利用して発電した電気を買い取っています。

しかし、FIT制度の運営資金はどこから来て、どのようにして電気が買い取られているのでしょうか?
また、FIT制度には、どのようなメリットとデメリットがあるのでしょうか?

この記事では、FIT制度の疑問について深く掘り下げていきます。

目次

FIT制度とは?

FIT制度は、再生可能エネルギーの普及を進めるための政策です。
スペインやドイツなど多くの国々で以前から導入されていますが、日本では2012年に導入されました。

再生可能エネルギー導入には、高い初期費用がかかるという大きなリスクがあります。
さらに、その初期投資を回収するまでには長い時間がかかる場合が多いです。
FIT制度は、このリスクや心配を低減する目的で導入されました。

具体的には、国が電力会社に対して一定期間、固定価格で再生可能エネルギーで発電された電力を買い取ることを約束するというものです。

これにより、小規模なプロジェクトでも、一定の収益を見込めるようになりました。
そのため、事業計画が立てやすく、金融機関からの融資も受けやすくなったのです。

さらに日本では、家庭やビルの屋上などで行われる小規模な太陽光発電(10kW未満〜50kW)もFIT制度の対象となっています。

しかし、発電した電力すべてではなく、自家消費分を除いた電力のみが買い取り対象とされるため注意が必要です。
これにより、一般家庭や中小企業でも再生可能エネルギーを導入しやすくなっています。

参照:制度の概要

FIP制度とは?

FIP制度(Feed-in Premium)は、再生可能エネルギーの普及とコスト削減を促進する日本の新しい政策です。
この制度は、従来のFIT制度に変わるものとして、2022年4月から施行されました。

FIT制度というのは、太陽光や風力などの再生可能エネルギーを作る企業や個人に対し、政府が事前に設定した固定価格でそのエネルギーを買い取るというものでした。
これは再生可能エネルギーを増やす手法としては成功していましたが、その費用は最終的に国民の電気代として跳ね返ってきました。

そこで、新たに登場したのがFIP制度です。
FIP制度では、エネルギーの市場価格に応じて電力を買い取る方式を採用しています。
具体的には、発電されたエネルギーの市場価格(参照価格)に加えて、一定の「Premium(プレミアム)」を上乗せした価格で電力を買い取るという仕組みです。

この市場価格とプレミアムを足し合わせた参照価格は、毎月見直される予定です。
具体的には、大手電力会社が扱う「卸電力市場」と、環境に優しいエネルギーが取引される「非化石価値取引市場」の価格を参考にし、そこからいくつかの調整を加えて最終的な価格を決定します。

さらに、FIP制度には長期的な売電価格の基準、いわゆる「基準価格」も存在します。
この基準価格は長期間変わらないため、エネルギーを作る側にとっては、最低限確保できる収益となります。

FIP制度の導入によって、再生可能エネルギーがさらに普及しやすくなるだけではなく、国民にとっては以前よりも電気代が安くなる可能性も秘めています。

そのため、FIP制度は、エネルギーをより持続可能で、より経済的に供給する方法として期待されています。

FIT・FIP制度における入札制度とは?

日本のFIT・FIP制度における入札制度は、再生可能エネルギーの発電事業をより効率的に進めるための政策です。
これは、一定規模の発電所や事業者に対して適用されるもので、政府が先に「これだけの電力容量を買い取りたい」と明言します。

そして、それに応じて各発電事業者が「私たちなら、この価格で、この容量を提供できます!」と提案する形で入札が行われます。

買取価格を設定する方法としては、「Pay-as-Bid(ペイ・アズ・ビッド)方式」「Uniform-Pricing(ユニフォーム・プライシング)方式」の2種類があります。

ペイ・アズ・ビッド方式は、各事業者が希望する価格で入札し、その中から最も安い提案から順に落札が決まる方法です。
一方、ユニフォーム・プライシング方式では、最も高い価格で落札が確定した事業者の価格が、他の落札者全てにも適用される方式です。

希望価格よりも高い価格で電気を売ることができる可能性があります。

2023年度の太陽光発電における入札では、ペイ・アズ・ビッド方式が採用されました。
政府は、この入札を通して105MWの電力を購入する予定で、合計で4回の入札が行われます。

この入札に参加できるのは、出力が一定以上の企業で、具体的にはFIP制度で500kW以上、またはFIT制度で250kW以上500kW未満の発電設備を持つ企業です。

つまり、この入札制度は、再生可能エネルギーの効率化とコスト削減を目的としつつ、それぞれの規模に適した発電事業者に機会を提供しているわけです。
これにより、再生可能エネルギーの普及と、その持続可能な成長が促されることが期待されます。

なお、入札に参加する場合は、決められた期間までに書類の申請などの手続きを行う必要があります。
詳しくは、下記サイトをご覧ください。

参照:入札実施要綱(太陽光発電)2023年度版の概要

FIT制度のメリット・デメリットとは?

FIT制度は、長期間高い固定価格で再生可能エネルギーを利用して、発電した電気を買い取ってもらえるメリットがあることが分かったかと思います。それでは、FIT制度には他にもメリットはあるのでしょうか?

また、FIT制度にはデメリットは1つもないのでしょうか?
ここからは、FIT制度のメリット・デメリットについて、さらに掘り下げていきます。

FIT制度のメリット

FIT制度には、主に3つのメリットがあります。

  • エネルギー自給率の向上
  • 発電事業者へのリスク低減
  • 環境保全

それぞれ説明していきます。

エネルギー自給率の向上

FIT制度の最大のメリットは、日本のエネルギー自給率を向上させる可能性があることです。
この制度により、国内で再生可能エネルギーによる発電が促進されるため、化石燃料などの輸入エネルギーに依存するリスクが大きく低減します。

成功すれば、国際政治や経済の波によるエネルギー供給の不安定性も減少します。

発電事業者へのリスク低減

FIT制度は、発電事業者に対するリスクを低減することも可能です。
FIT制度では、再生可能エネルギーで発電した電気の買取価格と買取期間を国が事前に確定しているため、事業者は投資回収の計画を立てやすくなります。

つまり、「高い額のお金を投資したのに、まったく元が取れない!」というリスクがないのです。
この安定した環境が、再生可能エネルギーを導入する企業を増やしていくと期待されています。

環境保全

FIT制度は、環境面でもメリットがあります。
FIT制度にって再生可能エネルギーの導入が進めば、温暖化ガスの排出量を削減します。

これは、太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーは、化石燃料と比べて主要な温室効果ガスである二酸化炭素の排出がほとんどないためです。
化石燃料だけを使用し続けていくと、異常気象や海面上昇などを引き起こすリスクが高まります。

FIT制度のデメリット

FIT制度には、2つのデメリットがあると考えられています。

  • 再生可能エネルギー発電促進賦課金による国民への負担
  • FIT制度終了後の大幅な売電価格の低下

1つずつ解説します。

再生可能エネルギー発電促進賦課金による国民への負担

まず、1つ目は「再生可能エネルギー発電促進賦課金」(再エネ賦課金)という、電力会社が電気料金に加算する費用です。
この費用は、再生可能エネルギーの電力を買い取る際のコストを賄うためのもので、結局は電力を使用する国民が負担するものです。

つまり、FIT制度が成功して再生可能エネルギーの使用が増えれば増えるほど、この賦課金の負担も大きくなる可能性があります。

FIT制度終了後の大幅な売電価格の低下

2つ目のデメリットは、「卒FIT」と呼ばれる問題です。
卒FITとは、FIT制度による買取期間が終了することを意味します。

この買取価格は、比較的高い金額を設定されることが多いため、終了後は、買取価格が大幅に下がってしまいます。
FIT制度がスタートした2009年当初は、1kWhあたり48円で電力が買い取られていましたが、期間満了後は、その価格が7~10円程度に下がると言われています。

FIT制度が終了した電力の活用方法とは?

FIT制度が終了した後も、発電した電力を有効に活用する方法はいくつかあります。
もちろん、特に何もしないという選択肢もありますが、その場合は発電した電気が無償で電力会社に渡ってしまいます。

「それは何だかもったいない気がするな……」と感じる方は、次の活用方法を検討しましょう。

  • 蓄電池を導入し、非常用電源として利用
  • 電力販売(売電)

それぞれ分かりやすく説明します。

蓄電池を導入し、非常用電源として利用

FIT制度が終了した電力の活用方法の1つ目は、蓄電池を導入し、非常用電源として利用する方法です。
FIT制度の終了に伴い、売電価格は大きく低下するため、発電した電気を自分で利用した方が良いと考え、蓄電池を導入するケースが増加しています。

具体的には、発電した電気を蓄電池に貯めていきます。
蓄電池には初期投資が必要ですが、日中に発電した余った電力を蓄えておくことで、雨天時や夜間、さらには自然災害などで停電が起きたときでも蓄えた電力を使うことができます。

これにより、普段の電気代も削減できます。
また、一部の地方自治体では蓄電池の導入に補助金が出る制度があるため、導入の負担を減らすことも可能です。

もう1つの方法は、電気自動車(EV)のバッテリーに発電した電力を蓄える方法です。
この場合、V2H(Vehicle to Home、車両から家庭への電力供給)というシステムが必要になりますが、これによって車のバッテリーを家庭の電源として使うことができます。

日中に発電した電力を蓄え、夜間や非常時に自家消費することで、購入電力を削減することが可能です。

電力販売(売電)

FIT制度が終了した後でも、売電は可能です。
しかし、FIT制度が終了すると、買取価格は下がる可能性が高いです。

そのため、新たに電力を買い取ってもらう場合は、できるだけ大きな電力会社との契約を検討し、可能な限り高い価格で売ることを目標としましょう。

この方法で売電収入を得ることはできますが、注意点もいくつかあります。
まず、売電先の選定は慎重に行う必要があります。各電力会社ごとに買取価格が異なるため、比較と検討が必要です。

また、契約を新しくする場合、その手続きには一定の時間がかかることもあります。
さらに、特定のサービスに加入する必要があったり、対象者が限られている場合もあるので、契約条件にも目を向ける必要があります。

まとめ

FIT制度は、再生可能エネルギーの普及を進めるための政策です。

この制度の運用資金は、国民が再生可能エネルギー発電促進賦課金として負担します。
FIT制度は、入札制度を取り入れており、これによって一定規模以上の発電事業者が提供できる価格と容量を競い合うことで、再生可能エネルギーのコスト低減を行っています。

FIT制度のメリットとしては、エネルギー自給率の向上、発電事業者へのリスク軽減、そして環境保全が挙げられます。
しかし、デメリットとしては、再生可能エネルギー発電促進賦課金による国民への負担や、制度終了後に発生する売電価格の急激な低下が考えられます。

国は、再生可能エネルギーの導入を進めることで、温室効果ガスを削減し、環境を守ろうとさまざまな取り組みを行っています。
しかし、再生可能エネルギーの導入にはコストや運営の問題もあり、導入が難しい企業も多いでしょう。

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著者のプロフィール

川田 幸寛
小学校教員として、カーボンニュートラルや脱炭素に関する授業を行った経験がある。子どもたちが理解できるように、専門用語を分かりやすく、かみ砕いて説明することを心がけた。この経験を活かし、脱炭素化の重要性を広く伝えるために、誰にとっても理解しやすい記事を作成している。

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総編集長
福元 惇二(フクモト ジュンジ)

タンソーマンプロジェクト発起人であり、タンソチェック開発を行うmedidas株式会社の代表。タンソーマンメディアでは、総編集長を務め、記事も執筆を行う。

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