この記事は2026年10月時点の情報です。地域脱炭素ロードマップで掲げられた「2025年度までに少なくとも100か所の脱炭素先行地域を選定する」という目標は、2026年2月13日公表の第7回選定で累計102提案となり達成されました。これにより脱炭素先行地域の募集は終了しています。地域への資金支援は「地域脱炭素推進交付金」として令和8年度も続いており、これまでに選定された地域や重点対策に取り組む自治体への交付が行われています。
地域脱炭素ロードマップは、地域ごとの特性に合わせて温室効果ガスの排出削減を進めるための国の工程表です。本記事では、地域脱炭素ロードマップの概要、脱炭素先行地域の選定状況、自治体の取り組みを支える交付金の仕組みを解説します。
地域脱炭素ロードマップとは?
脱炭素の概要
「脱炭素」とは、石炭や石油などの化石燃料の使用に伴う二酸化炭素の排出を実質ゼロにすることを指します。再生可能エネルギー(太陽光、風力など)の導入、エネルギー効率の向上、森林による吸収の確保といった手段を組み合わせて進められます。
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ロードマップの意味
ロードマップとは、ある目標に到達するための段階的な計画です。脱炭素のロードマップでは、再生可能エネルギーの導入、省エネの推進、交通の電動化や公共交通の強化などについて、手段とスケジュールを明らかにします。行うべきことが明確になることで、自治体・企業・住民が同じ方向で取り組みやすくなります。
地域脱炭素ロードマップの位置づけ
地域脱炭素ロードマップは、令和3年6月9日の第3回国・地方脱炭素実現会議で決定されました。脱炭素を通じて地域課題を解決し、地域の魅力と質を高める地方創生につなげることを目指しています。柱となるのは次の2つです。
- 少なくとも100か所の脱炭素先行地域をつくり、2025年度までに取り組みの道筋をつけ、2030年度までに実行する
- 自家消費型太陽光発電や住宅・建築物の省エネなどの重点対策を、全国で実施する
こうした取り組みを先行地域から全国へ広げていくことを「脱炭素ドミノ」と呼び、2050年を待たずに脱炭素で強靱な地域社会を全国で実現することを目指しています。現在の交付金は、このロードマップと地球温暖化対策計画(令和7年2月18日閣議決定)等に基づいて実施されています。
脱炭素先行地域とは
脱炭素先行地域とは、民生部門(家庭部門及び業務その他部門)の電力消費に伴うCO2排出の実質ゼロを実現し、運輸部門や熱利用なども含めたその他の温室効果ガスの排出削減も、地域特性に応じて実施する地域です。農山漁村、離島、都市部の街区など多様な地域で、脱炭素と地域課題の解決を同時に実現するモデルとなることが期待されています。
選定の状況
脱炭素先行地域は2022年から2026年2月までに7回の選定が行われ、全国45道府県133市町村の102提案が選定されました。目標の100か所に達したため、募集は終了しています。
| 回 | 結果公表 | 選定数(提案数) |
|---|---|---|
| 第1回 | 2022年4月26日 | 26(79) |
| 第2回 | 2022年11月1日 | 20(50) |
| 第3回 | 2023年4月28日 | 16(58) |
| 第4回 | 2023年11月7日 | 12(54) |
| 第5回 | 2024年9月27日 | 9(46) |
| 第6回 | 2025年5月9日 | 7(15) |
| 第7回 | 2026年2月13日 | 12(18) |
第7回では、共同提案を含む39の地方公共団体から18件の計画提案があり、12提案(4県14市町)が選定されました。選定後は、評価委員会による中間評価も行われており、令和7年度の中間評価結果の総評が令和8年3月27日に公表されています。各地域の計画の内容は、環境省の脱炭素地域づくり支援サイトで確認できます。
地域脱炭素のための交付金(地域脱炭素推進交付金)
地域脱炭素ロードマップを資金面で支えているのが、環境省の「地域脱炭素推進交付金」です。意欲的に脱炭素に取り組む地方公共団体等に対して、複数年度にわたって継続的かつ包括的に支援することを目的としています。地域脱炭素移行・再エネ推進交付金と、特定地域脱炭素移行加速化交付金(GX)などで構成されています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 予算額 | 令和8年度予算 270億1,800万円(前年度 385億2,100万円)、令和7年度補正予算 335億円 |
| 交付対象 | 地方公共団体等(民間事業者等も事業を実施する場合は、地方公共団体を通じて支援) |
| 実施期間 | 令和4年度~令和12年度 |
| 担当 | 環境省 大臣官房地域脱炭素推進審議官グループ 地域脱炭素事業推進課 |
脱炭素先行地域づくり事業
環境省が選定した脱炭素先行地域において、民生部門の電力消費に伴うCO2排出の実質ゼロの実現などに向けた取り組みを支援します。
- 交付要件:脱炭素先行地域に選定されていること等
- 交付率:原則2/3
- 事業期間:概ね5年程度
重点対策加速化事業
地域共生・地域裨益型の再エネ導入や、住宅の省エネ性能の向上など、脱炭素の基盤となる重点対策を加速的に進める取り組みを支援します。
- 交付要件:再エネ発電設備を一定以上導入すること等(都道府県・指定都市・中核市・施行時特例市は1MW以上、その他の市町村は0.5MW以上)
- 交付率:2/3~1/3、定額
- 事業期間:概ね5年程度
民間裨益型自営線マイクログリッド等事業(GX)
官民連携により民間事業者が裨益する自営線マイクログリッド等を構築する地域などで、温室効果ガスの排出削減効果の高い再エネ・省エネ・蓄エネ設備等の導入を支援します。
- 交付要件:一定の民間裨益が見込まれること等
- 交付率:原則2/3
- 事業期間:概ね5年程度
交付金で導入される設備の例
環境省の事業概要では、屋根置き自家消費型太陽光発電、木質バイオマスや家畜排せつ物のエネルギー利用、蓄電池、エネルギーマネジメントシステム、再エネ水素の利用、ZEB・ZEH、省エネ設備、ゼロカーボン・ドライブ、自営線マイクログリッドなどが例示されています。
採択額の確認方法
各年度の採択額は、環境省の脱炭素地域づくり支援サイトで事業区分ごとに一覧が公表されています。令和8年度分は、脱炭素先行地域づくり事業と重点対策加速化事業が2026年9月7日付、民間裨益型自営線マイクログリッド等事業が2026年4月24日付で掲載されています。
企業にとっての意味
地域脱炭素推進交付金は地方公共団体等が交付を受ける制度ですが、民間事業者が事業を実施する場合は地方公共団体を通じて支援される仕組みがあります。脱炭素先行地域や重点対策加速化事業に取り組む自治体では、交付金を財源として事業者や住民向けの補助制度を設けている例があります。自社の所在地の自治体が先行地域に選定されているか、どのような補助制度を設けているかを確認するとよいでしょう。
また、企業向けには、環境省の二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金など、事業者が直接申請できる国の補助金もあります。いずれの場合も、まず自社のCO2排出量を把握しておくと、補助制度の要件確認や削減計画の作成がしやすくなります。
まとめ
地域脱炭素ロードマップは、脱炭素先行地域づくりと重点対策の全国展開を2本柱とする国の工程表です。脱炭素先行地域は2026年2月の第7回選定で累計102提案となり、目標の100か所を達成して募集を終えました。今後は、2030年度までの実行に向けて、地域脱炭素推進交付金による支援と中間評価が続きます。自治体の補助制度を含め、地域の動きを確認しながら自社の脱炭素化を進めることが大切です。
参考資料
- 環境省「脱炭素地域づくり支援サイト」
- 環境省「脱炭素先行地域」
- 環境省 報道発表「脱炭素先行地域選定結果(第7回)について」
- 環境省「脱炭素先行地域選定結果(第7回)について」(令和8年2月13日)
- 脱炭素先行地域評価委員会事務局「令和7年度脱炭素先行地域中間評価結果の総評について」(令和8年3月27日)
- 環境省「地域脱炭素推進交付金」
- 環境省「地域脱炭素推進交付金」事業概要(令和8年度)
著者のプロフィール
- 小学校教員として、カーボンニュートラルや脱炭素に関する授業を行った経験がある。子どもたちが理解できるように、専門用語を分かりやすく、かみ砕いて説明することを心がけた。この経験を活かし、脱炭素化の重要性を広く伝えるために、誰にとっても理解しやすい記事を作成している。
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